「2歳児に辛いものを食べさせて大丈夫?」
「そもそも子どもは何歳になったら辛いものを食べることができるの?」
子どもが大人と一緒に食事をしていると、こんな疑問が出てくる場面があると思います。
子どもに適した辛さのレベルや摂取量は、年齢によって異なります。
今回は、子どもが辛いものを食べられる年齢や摂取量、調理方法について保育士のみき先生にインタビューを行いました!
みきせんせい
地元の公立園で10数年勤務し、みらいくに入職して3年目になります。 保護者の方の気持ちに寄り添い、大切なお子さまの成長を共に喜び合いながら日々保育をしています。
目次
辛いものは何歳からOK?
子どもが何歳から辛いものを食べられるのか気になります。
子どもがいつから辛いものを食べられるかについての明確な基準は存在しませんが、「10歳頃から食べさせ始める」というのが一般的です。
乳幼児期から食べさせることはあまり推奨されていません。
例えば、キムチが国民食となっている韓国でも、子どもには水で洗い流して辛さを取り除いたキムチを与えるそうです。これは、辛さを取り除いて旨味だけを残すための工夫です。
また、香辛料を豊富に使用するインドやタイでも、子どもが辛さに慣れるのはだいたい8〜10歳頃と言われています。
子どもがまだ小さいうちは、大人と別メニューにし、辛さを取り除いて味付けを調整するとよいでしょう。
なぜ小さい子どもは辛いものを食べない方がよいの?
なぜ乳幼児に辛いものを与えない方がよいのでしょうか?
その理由は主に3つあります。
1. 消化器系が未発達
乳幼児の消化器系はまだ発達途中なので、辛いものは刺激が強すぎて胃腸に負担がかかり、腹痛や下痢を引き起こす可能性があります。
消化器系が大人と同じレベルまで発達するのは、おおよそ3~4歳頃と言われています。
しかし、消化器系が完全に発達したとしても、子どもが辛いものに対する耐性を持つまで少しずつ慣れさせていく過程が必要です。
2. 大人より辛さを敏感に感じやすい
生まれたての赤ちゃんは、毒性のあるものを食べないよう苦味を拒否する反射能力を備えています。
舌の表面にある味蕾(みらい)という器官が味覚を感じる役割を果たしますが、子どもは大人よりも味蕾が多いため、味覚が鋭いのです。
その結果、大人よりも辛さを敏感に感じる傾向があります。
3. 味覚が麻痺しやすい
大人よりも味覚が鋭いため、刺激の強い辛さを食べ過ぎると、味覚が麻痺する可能性があります。
味覚が麻痺すると、微妙な味の違いがわからなくなったり、薄味では満足できなくなったりするなど、将来的にも問題が生じる可能性があります。
辛いものだけでなく、味の濃いものも同様に注意が必要です。
子どもの料理は薄味にすることを心掛けてください。
濃い味や脂っこい食事を好んで食べる時期があったとしても、乳幼児期に薄味の料理を食べていれば、大人になった時に自然と薄味を好むようになると言われています。
ですから、乳幼児期の食事はとても重要です。
1日当たりの香辛料の摂取量について
小さい子どもに辛いものはなるべく食べさせない方がよいということですが、給食のメニューなどでキムチが出ることもありますよね。摂取量に気をつければ大丈夫でしょうか?
厚生労働省の推奨によると、1~6歳の子どもの1日当たりの調味料・香辛料の摂取量は54gとされています。
これは20~29歳の大人が摂取する推奨量の91.4gと比べると約半分です。
ただし、これはあくまで目安ですので、子どもの発達段階・辛さへの慣れ度合い・普段の食事内容など、その子の味覚や好みを考慮した上で、無理のない範囲で摂取量を調節することが重要です。
ちなみに、長野県の一部地域では給食にキムタクご飯(キムチとたくあんの混ぜご飯)というオリジナルメニューがあり、子どもたちから大変な人気を集めています。
キムチの辛さや調味料の量は子ども向けに調節されていて、子どもでも食べやすいよう配慮されているからのようです。
キムチの辛みを調整したり、カレーでも甘口から挑戦したりするなど、段階的に慣れさせていくのがよいのですね。
年齢別に食べられる香辛料の種類と分量を知ろう!
辛いものと一言で言っても様々な種類がありますが、何歳ごろに何をどれくらい食べさせてよいのか教えてください。
では、年齢別に食べられる香辛料の種類や分量を確認していきましょう。
1歳
カレー粉、胡椒、生姜、にんにくなどが適量なら食べられます。いずれも量は控えめにし、風味付け程度に留めましょう。
生姜やにんにくは加熱してから使用してください。また、ターメリック、コリアンダー、クミンなども少量であれば問題ありません。
2歳以降
風味付け程度から、大人の半分くらいの味付けまで量を増やすことができます。
3歳からはパプリカやローリエも食べられるようになります。
これらは味に特徴がありますので、嫌いにならない程度に、上手に取り入れて食べられるよう工夫してみてください。
5歳以降
消化器官がしっかり発達している時期なので、バジルなどの香草も食べることができるようになります。
しかし、お腹の弱い子どもだと下痢などの症状が出ることもあるため、様子を見ながら与えてみてください。
オレガノ、タイム、ナツメグなども食べられるようになります。
10歳以降
消化器官が完成している時期なので、わさびやからし、マスタード、チリペッパー、ガラムマサラ、ローズマリーなども食べることができるようになります。
わさびは大人でも苦手な人がいるため、量を調整しながら与えるとよいでしょう。
味覚は3歳頃までに形成されると言われています。そのため、なるべく薄味にして食材本来の味を覚えさせ、様々な味のバリエーションを経験させることが大切です。
分量や種類に気をつければ、子供でも食べられる香辛料は多いです。
年齢と発達に応じた香辛料を食生活に取り入れることは、子どもの味覚を豊かに成長させ、食に対する興味や好奇心を育む一助になるでしょう。
辛いものを調理する時のポイント3つ
辛いものを子どもの食事に取り入れるポイントを教えてください。
以下、3つの方法をご紹介しましょう。
1. 香辛料の量を調節する
香辛料を使用する時は、味付け程度に留めることが重要です。
これにより、食材の本来の味を引き立て、同時に過度な塩分摂取を防ぐことができます。
また、香辛料には食材の臭みを消す効果や食欲を増進する効果もあります。
そのため、適度な量で使用すれば食事の質を高めることができます。
2. 香辛料に別の食材を足して、まろやかな味に調節する
牛乳やヨーグルト・卵・マヨネーズなどを使うと、辛さが和らぎ、子どもでも食べやすい味に調整できます。
3. 香辛料の辛みを取り除く
キムチやからし漬けなど辛い食材を使う場合は、辛み成分を取り除くため、一度水で洗い流しましょう。
この方法によって、辛味を取って食材の旨みだけを味わうことができます。
例えば、洗ったキムチを刻んでチャーハンに混ぜると、子どももおいしく食べられますよ。
このような工夫をすることで、香辛料を使った食事の塩分も減らすことができます。
日本人は塩分の摂取量が多く、日本人の一日当たりの塩分摂取量は10g程度と言われています。
厚生労働省の食事摂取基準では、一日の塩分摂取量の目安は7.5gですが、世界的にはもっと少ない5g以下に抑えることが推奨されています。
塩分の過剰摂取は、高血圧や動脈硬化、心筋梗塞、心不全、認知症などのリスクを高めてしまいます。
子どものうちから塩分の摂取量を抑えることで、一生涯を通じて健康的な生活を送ることが可能になります。
香辛料をうまく活用して、減塩につなげられるとよいですね。
まとめ
本記事では、子どもが辛いものを食べられるようになる時期や、適切な摂取量、年齢別に与えられる香辛料の種類、調理方法について、保育士のみき先生に詳しく教えていただきました。
子どもの体に負担の少ない適切な辛さや量を知って、お子さんと一緒に豊かな食生活を楽しんでくださいね!
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