普段、食事をする上で欠かせない「お箸」。子どもには、正しく箸を扱えるようになってもらいたいですよね。
一般的には2歳頃になると、食具を使って食べることができるようになってきます。では、お箸デビューに向けて、具体的に何をしたらよいのでしょうか?
そこで今回は、現役保育士のみき先生に、2歳頃の子どもがお箸で食事ができるようになるためのステップやコツを教えていただきました。
初めて箸を持たせる際は、子どもの指が箸を持てる発達段階にあるかどうかを見極め、無理なくトレーニングを進めていくことも大事です。そちらについても触れていますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
みき先生
地元の公立園で10数年勤務し、みらいくに入職して3年目になります。 保護者の方の気持ちに寄り添い、大切なお子さまの成長を共に喜び合いながら日々保育をしています。
目次
お箸の練習を始めるのはいつから?
お箸の練習はいつから始めたらよいのでしょうか?
一般的にお箸の練習を始めるのは、2~3歳頃からです。
しかし、子どもの年齢よりも、子どもの指が箸を持つことができる発達段階にあるかどうかに注目することが大切です。
スプーンを三本指で持つこと(鉛筆持ち)ができれば、箸を持つ準備が整っていると考えてよいでしょう。
私たちの園でも、鉛筆持ちで上手に食べられるようになったらお箸の練習を始めています。
箸を持たせる前に、まずは「手を上手にコントロールできているか」を確認することが重要なのですね。
はい。箸を開閉する動きというのは、かなり複雑な動きです。
力を入れすぎてもダメですし、指一本一本が別の動きをする必要があります。
そのため、手先を上手にコントロールすることからトレーニングは始まります。
お箸を練習するためのステップ
では、お箸で食事できるようになるまでの流れを具体的に紹介していきたいと思います。
- 手づかみ食べ
- スプーンを握って持つ(上手持ち・下手持ち)
- スプーン・フォークを鉛筆持ちする(3本指で持つ)
- お箸・スプーン・フォークを併用して食事する
- お箸だけで食事する
スプーンの持ち方にも上手持ち・下手持ち・鉛筆持ちと3種類あるのですね。
そうです。スプーンを上手持ちや下手持ちで持っているお子さんは、お箸の前に鉛筆持ちの練習をしていくとよいでしょう。
ひとつひとつ丁寧にクリアしていくことで、手のコントロール力を身につけることにつながります。
スプーンの練習
はじめは、手のひらでぎゅっと握って持っている子どもが多いと思います。
この時、手首をひねったり反らしたりして食べ物を掬っています。
上手持ちや下手持ちで手首を自在に動かせるようにすることが、のちに箸で食べ物を取る時などの動きにつながっていくため、十分に経験させてあげてください。
スプーンで上手に食べられるようになったら、鉛筆持ちの練習をしてみましょう。それぞれの指の力の入れ具合が違うため、力のコントロールが身についていきます。
どのように鉛筆持ちを教えていったらよいでしょうか?
「バーンの手やってみて」と子どもにピストルの手をしてもらい、大人が上からスプーンを乗せています。
そのままスプーンを握ると、鉛筆持ちができるので試してみてください。
下手持ちの練習は必要?
下手持ちの練習はした方がよいのでしょうか?
【上手持ち⇒下手持ち⇒鉛筆持ち】と練習を進めていくこともありますし、下手持ちを飛ばして【上手持ち⇒鉛筆持ち】とする場合もあります。
下手持ちは手首の動きの練習になるので、私たちの園では下手持ちも練習する場合がほとんどです。
お子さんの様子を見ながらできそうな方を選んでみてください。
マナーを教える
スプーン持ちの練習していく時、ポイントはありますか?
この時、食事のマナーについても少しずつ教えていくと、お箸デビュー後の安全な食事につながると思います。
例えば、
- フォークやスプーンを持ったまま歩かない
- フォークやスプーンを咥えたままにしない
- 正しい椅子の座り方をする
- 肘をつかずに食べる
などです。
お箸はスプーンなどに比べてより細く長いため、万が一の危険性も高まります。
食事中のマナーについては1〜2歳の子どもでも十分理解できる内容ですので、スプーンを使っている間から徐々に伝えていくとよいと思います。
お箸の練習
鉛筆持ちで上手に食べられるようになったら、いよいよお箸デビューです。
お箸の持ち方を教えつつも、始めはスプーンやフォークも一緒に用意し、併用できるようにしましょう。
保育園では、お箸の持ち方をどのように教えていますか?
まずは下方の一本を、画像のように親指の付け根と薬指で支えるように持たせます。次に上の一本を鉛筆持ちで持たせます。下は固定し、上を動かすイメージで開閉の練習をしましょう。
お箸の選び方
始めはどんなお箸を選ぶべきでしょうか?
箸の長さは、子どもの手のひらの1.5倍程度が動かしやすいです。
また、プラスチックの箸よりも、先端がギザギザになっているものや木の素材の箸の方が、食材を掴みやすくておすすめです。
お子さんが好きなキャラクターが付いた箸もよいですね。お子さんと一緒に買いに行くのも、愛着がわくかもしれません。
矯正箸のメリットとデメリット
矯正箸が売られているのをよく目にしますが、効果的なのでしょうか?
メリットとデメリットを理解して使うことが大切です。
矯正箸を使うメリットは、早くに「箸を持てた!」という達成感につながることです。その喜びが、箸を練習していく意欲になっていきます。
一方で、矯正箸から通常の箸への移行に時間がかかるというデメリットもあります。
また、矯正箸のリング部分の感触が苦手なお子さんもいます。
矯正箸が持ちやすい分、普通の箸の持ちづらさを際立って感じてしまうかもしれませんね。
そうですね。
私たちの園ではどの子どもも、園で用意した木の箸を使っています。
トレーニングを進めるコツ
上手く食べられないもどかしさで箸やスプーンが嫌いになってしまうお子さんもいると聞きました。食具の使い方を練習する時のコツはありますか?
食べることが嫌いになってしまわないよう楽しく食事することと、「できた!」という経験を積むことを大事にしていくとよいと思います。
具体的な方法を紹介しますね。
楽しい食事を意識する
子どものためにと、厳しく教えてしまうと食事自体に苦手意識がついてしまうことも。
上手くできない時もおいしくご飯を食べる事を優先し、お箸・スプーンはテーブルに並べておくだけでも大丈夫です。
箸に挑戦できた時や上手に食べられた時たくさん褒めてあげると、「上手に持てるようになりたい」という気持ちを後押しできます。
遊びの中で箸・スプーンを取り入れる
2歳頃の子どもたちはおままごとが大好きですので、そこに箸やスプーンを用意し、遊びながら練習する方法もあります。
丸めたティッシュやスポンジなど箸で掴みやすい物を用意してもよいと思います。
お箸で遊ぶ時はママやパパの見守りの中で遊びましょう。
始めは持ちやすい食材を選ぶ
滑りづらく、形が崩れないものがおすすめです。
豆腐やうどんは箸で持ちづらいので、厚揚げや焼きそばに替えてみましょう。
トレーニング箸は、食べ物を割る動作が難しいこともあるので一口大にしておくとよいと思います。
まとめ
今回は、お箸の練習を始める時の見極め方や、練習方法、コツについて、保育士のみき先生に教えていただきました。
お箸の練習を始める前に、まずはスプーンを使って手先の感覚をしっかりと育てていく必要があります。また、子どもの将来のためにと厳しく指導するのではなく、子ども自身の「やってみたい!」「上手になりたい!」という気持ちを後押しすることが、お箸トレーニングのコツです。
お子さんと楽しく食事することを念頭に置いて、トレーニングを進めてみてくださいね!
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この記事を書いた人
金子詩奈
長野県立大学健康発達学部こども学科1年の学生ライターです。大学では日々保育について勉強中。少しでも子育ての役に立つような情報をお届けしたいと思っています!