言語聴覚士に聞く!小学生の乱れた言葉遣いを直す方法とは?

親や教師が直面する共通の課題の一つに、子どもの言葉遣いの乱れがあります。特に小学生は、言葉の使い方が個性や社会性の発展に大きな影響を及ぼす重要な時期に差し掛かっています。

しかし、なぜ小学生は時に乱暴な言葉を使うのでしょうか?そして、どのようにしてそれを改善できるのでしょうか?

この記事では、小学生の言葉遣いが乱れる原因を探り、大人が子どもたちに与える影響と、対応方法について考えます。適切な言葉遣いやマナーを楽しく学ぶためのアドバイスもいただきました。

正しい言葉遣いを身に付けることは、子どもの人格形成にも重要な役割を果たします。この記事が子どもに対するサポート方法を理解し、実践するための一助となれば幸いです。

言語聴覚士
北山先生
長野県出身。大学より小児医療分野に関わることを目指して言語聴覚士の資格を取得。実習では小児分野を多く経験し現在は脳外科に勤務しながら子育てポケットに参画している。2児の母。

小学生の言葉遣いの乱れの原因とは

小川

まず、小学生が言葉遣いを乱す原因について、どのように考えていますか?

北山先生

小学生が言葉遣いを乱す背景には、様々な要因があります。

小学生以前は、親も保育園の先生も子どもに対しての言葉遣いへの配慮を心掛けているケースが多く、子どももそれをマネしています。

もちろん、周囲の友達から受ける影響も大きいでしょう。

小学校に入ると、年齢差がこれまで以上に幅広くなります。低学年のうちは新しい言葉を使うのが楽しいと感じ、使っている子が多いと思います。

高学年になるとその子の「こうなりたい」と思う個性により、強い言葉を好んで使うこともあります。

北山先生

言葉遣いの乱れは、悪い方向にとらえられがちですが、その時憧れているものの現れや、語彙力が増えてきたとも言えます。

小川

環境や周りの影響についてもう少し詳しく教えていただけますか?

北山先生

家庭はもちろん、その子が主に生活している場所の環境からも、子どもに大きな影響を与えます。

また、小学生になるとテレビやインターネットを通じた影響も現れてきやすいです。

大人の言葉遣いが子どもに及ぼす影響

小川

次に、大人の言葉遣いが子どもに与える影響について深掘りしたいと思います。

まず、家庭や学校での大人の役割についてお聞かせいただけますか?

北山先生

子どもは、幼少期から大人の模倣をして言葉を獲得していきます。

そのため、家庭や学校で出会う大人が言語発達のお手本になっています。

子どもは大人を見て、適切なコミュニケーション方法、礼儀、表現の仕方を学びます。

おままごと遊びなどは、学んだコミュニケーションを練習している場とも言えます。

小川

親や教師は、どのようにしたらよいモデルとなることができるでしょうか?

北山先生

大人がよいモデルとなることは重要ですが、実際の生活場面において、常にお手本となる言葉遣いを意識するのは大変です。

そのため、本当に基本的な部分のみ、例えば挨拶や、これだけは大切にしてほしいというポイントを大人が決めて、子どもに日々お手本を示せたらよいのではないかと思います。

言葉遣いが乱れ続けることのリスク

小川

言葉遣いが乱れたままの場合にどのようなリスクがあるのか、詳しく伺いたいと思います。

特に、社会的な影響や将来に与える影響について教えてください。

北山先生

最初にもお伝えしたように、言葉遣いが乱れることは悪いことばかりではありません。

新しい言葉や、刺激的な言葉を使ってみることはその子の好奇心や学びを満たすことにもつながります。

とはいえ、好奇心や学びを満たして周りをないがしろにし続けるのは、周囲の人たちから嫌がられてしまうこともあります。

そのような状態は、親としても望まないと思います。

小川

それは深刻な問題ですね。言葉遣いと人格形成の関係についてもう少し詳しく教えていただけますか?

北山先生

発達において、自分の存在だけではなく他者の存在を感じるのは大切なことです。

言葉遣いを丁寧にするイコール相手を尊重できるということです。

適切な言葉遣いを学ぶことは、自尊心の育成や他者への敬意を示します。

言葉は単なるコミュニケーションの手段ではなく、個人のアイデンティティを形成する上でも重要な役割を果たしているということです。

小学生が不適切な言葉を使った際の効果的な対応

小川

小学生が不適切な言葉を使った場合に、どのように対応するのが効果的かについて、お話を伺いたいです。

北山先生

子どもたちが不適切な言葉を使った場合、単に叱るだけではなく、その状況が子どもにとっての学びとしてとらえるとよいと思います。

親としての対応はまず、その言葉遣いが不適切であることを説明します。

また、不適切な言葉をぶつけられた相手がどう感じるか、考えることを促します。

もし、子どもが他人の気持ちについてうまく考えられない場合、親が「言われたら嫌な気持ちになるよ」「そんなこと言われたら悲しいよ」と教えてあげるのも一つの手段です。

北山先生

これにより、子どもたちは単に「ダメ」と言われるのではなく、理由を理解し、適切な言葉遣いを学ぶことができます。

小川

状況に応じた適切な叱り方や、対話方法はありますか?

北山先生

子どもを叱る前に、一度その子の気持ちを受け入れることが大切です。

どうしてそのような言葉遣いをしたのかを聞いてみましょう。

お子さんの性格によって伝え方や叱り方は一様ではありません。

また、叱る時も、否定的な言葉を言うよりも、子どもが相手に配慮した言葉遣いをした時に、どのようなよい結果が生まれるかをイメージさせる方が効果的です。

子どもとの対話を通じて、子どもが自己反省し、自分で正しい言葉遣いを選べるように導くことが、持続的な言語学習に繋がります。

言葉遣いとマナーの向上に向けてのアドバイス

小川

子どもの言葉遣いとマナーの向上に役立つ本には、どのようなものがありますか?

北山先生

言葉遣いを教える本はたくさんありますが、子どもが楽しみながら学べるものが特に有効です。

最近はマナーを学べる絵本もありますし、好きなキャラクターがあればその気持ちを想像することで、日常生活の中で適切な言葉遣いを身に付けるきっかけになります。

これらの本は、親子で一緒に読むことで、子どもが自然と正しい言葉遣いを身に付ける効果が高まります。

まとめ

本日のインタビューを通じて、子どもの言葉遣いに大きな影響を与える大人の役割について学ぶことができました。言語聴覚士の専門的な視点から、親や教師がいかにして言葉遣いのよいモデルとなり得るか、そして日常生活の中での実践と、本を使った効果的な教育の方法も知ることができました。

特に印象的だったのは、日常の大人の言葉遣いや他人への配慮が、子どもの人格形成にも影響を与えるという事実です。

これは、言葉遣いが単に言葉を伝える手段以上のものであり、社会性や感情表現の基本であることを改めて教えてくれました。

私たち大人は、それぞれがよく考えて、子どもたちにお手本を示すポイントを定め、彼らの言語発達に積極的に関わることが求められています。このインタビューが、子どもたちの言葉遣いとマナーの向上に役立つヒントとなり、よりよいコミュニケーション環境を築く一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

小川愛海
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