「子どもが嫌いな野菜を食べてくれない」という悩みを持つ親御さんも多いのではないでしょうか?苦味や酸味があったり、食感が独特だったりする野菜は、嫌いな子どもが多いもの。どんなに栄養があると教えてあげても、小さな子どもには通用しませんよね。
そこで今回は、小さな子どもが嫌いな野菜の種類や特徴、克服法について、保育園で栄養士を務めるあきこ先生にインタビューしました。
野菜嫌い克服のための方法を知りたい方は、ヒントが得られること間違いなし!是非最後まで読んで参考にしてくださいね。
管理栄養士として、病院で6年勤務ている中で、改めて子どもの頃からの食習慣の大切さに気付き、保育園栄養士の道へ。 自分が作った給食がきっかけで「食」に興味を持ち、将来栄養士になりたいという子どもが生まれればいいなと思いながら、季節感のある調理・食育など日々業務に取り組んでいます。
目次
子どもが嫌いな野菜の特徴と主な種類
あきこ先生、よろしくお願いします!
2歳のお子さんを持つお母さんから「子どもが野菜嫌いで困っている…」というご相談をいただきました。見た目で野菜と分かると、絶対に口に入れてくれないようです。
保育園でも、野菜を見た瞬間に「イヤ!」と言って食べてくれないお子さんの姿をよく見ます。子どもが野菜を食べてくれないと、栄養バランスが心配になりますよね。
特に2歳前後は、自我が育ってきて好き嫌いや食べムラをしやすい時期。子どもの野菜嫌いに困っている保護者の方も多くいらっしゃいます。
子どもが嫌いな野菜には、どんな特徴があるんですか?
子どもが嫌いな野菜は、「苦い」「酸っぱい」「食べにくい」のどれかに当てはまることがほとんどです。
子どもが嫌いになりやすい野菜とその理由を以下にまとめました。
子どもが嫌いになりやすい野菜と理由
ピーマン
苦味が苦手、青臭い、皮が硬く口に残りやすい
トマト
酸っぱい、皮が硬く口に残りやすい
ナス
食感が苦手、皮が硬く口に残りやすい
私の保育園では、ブロッコリーが嫌いというお子さんも多いです。口の中で広がって食べにくいのが理由だと思います。
ピーマンやトマトは、子どもが嫌いな野菜の代表格ですね。
タキイ種苗が毎年行っている「子どもが嫌いな野菜ランキング」でも、「苦い」「酸っぱい」「食べにくい」野菜が見事にランクインしています。
2021年「子どもが嫌いな野菜ランキング」(タキイ種苗調べ)
- 1位 ゴーヤ
- 2位 セロリ
- 3位 ピーマン
- 4位 とうがらし
- 5位 トマト
- 6位 春菊
- 7位 ししとう
- 8位 ケール
- 9位 パプリカ
- 10位 モロヘイヤ
参照:「2021年度 野菜と家庭菜園に関する調査」を発表 – タキイ種苗
ランキングに入っている野菜は、ニオイや味の特徴が強い野菜です。大人でも苦手な人が多いので、ご家庭で食卓に上がること自体少ないのかもしれません。
食べる機会がなければ、食べず嫌いになってしまいます。大人の好き嫌いの有無に関わらず、できるだけ様々な野菜を使った食事を作ることが大切ですね。
トマトは嫌いな野菜ランキングの5位ですが、好きなお子さんも多い印象です。
実は、トマトは好きな野菜の第1位でもあるんです。
保育園でも、トマトを好きなお子さんと嫌いなお子さんがちょうど半々くらいですね。最近は甘味の強いトマトも多いので、品種によって食べやすさにも違いがあるのかなと思います。参考として、子どもが好きな野菜ランキングも紹介しますが、やはり甘味が強い野菜は子どもからの人気が高いですね。
2021年「子どもが好きな野菜ランキング」(タキイ種苗調べ)
- 1位 トマト
- 2位 じゃがいも
- 3位 さつまいも
- 4位 キュウリ
- 5位 にんじん
- 6位 かぼちゃ
- 7位 メロン
- 8位 たまねぎ
- 8位 とうもろこし
- 8位 スイカ
参照:「2021年度 野菜と家庭菜園に関する調査」を発表 – タキイ種苗
子どもが嫌いな野菜の理由
子どもは甘い野菜が好きで、味やニオイ、食感にクセがある野菜が苦手だということが分かりました!
ランキングに入っていなくても、子どもによって嫌いな野菜は異なります。嫌いな理由のほとんどが、味・ニオイ・食感のどれかに当てはまるため、何が嫌で食べないのかしっかり見極めることが大切だと思います。
相談をくださったお母さんのお子さんは「好きな野菜ランキング」に入っているキュウリも苦手だそうです。この場合、食感やニオイが苦手ということですかね?
そうですね。他にも渋みのような口の感覚が嫌という場合も考えられます。味覚にも種類があるのはご存知でしょうか?基本の味は5種類あって、基本五味と呼ばれています。
基本五味
- 甘味
- 塩味
- 酸味
- 苦味
- うま味
これに加えて、渋みや辛味もあります。子どもはこのうち、「甘味」「塩味」「うま味」を好み、「酸味」「苦味」を避ける傾向があります。渋みや辛みなどの刺激も苦手な場合が多いです。
大人だと気にならない程度の苦味でも、子どもは食べてくれないんですね。
子どもは大人よりも味覚が敏感で、大人の3倍とも言われています。特に2歳頃の小さな子どもは、苦味や酸味、青臭さなどを本能的に「危険」だと感じてしまうのです。そのため、それらが際立つ野菜を嫌う傾向にあります。
嫌いな野菜は無理に食べなくてもOK!?
食べてくれない野菜は本能的に避けているんですね!目からウロコです。
小さな子どもだと「なぜ野菜を食べなければいけないのか」がまだ理解できないですから、嫌いな野菜をわざわざ自分から食べようとは思わないですよね。
いくらママが「栄養があるから食べて」と言っても、理解できない子どもにとっては、無理やり食べさせられることは苦痛でしかありません。中には、お母さんに怒られながら食べさせられた経験によって、より野菜嫌いになってしまうお子さんもいらっしゃいます。
それでは本末転倒ですね…。ということは、嫌いな野菜は食べさせなくても良いのでしょうか?
子どもが小さいならば、無理せず見守っていただいても問題ありません。小さい頃あまり野菜を食べなかった子どもでも、大きくなって自然に食べられるようになることも多いですし、問題なく成長していることがほとんどです。
実は私も子どもの頃は嫌いな野菜が多くあったのですが、今はほとんど食べられるようになっていますよ。
そうなんですね!栄養バランスはあまり気にしなくて良いのですか?
嫌いな野菜を食べられなくても、甘みのある野菜やフルーツなどで不足しがちな栄養素を補ってあげると良いでしょう。トータル的に見て色々な食材を摂れているのであれば、神経質に考えすぎる必要はありません。
子どもが嫌いな野菜を食べられる調理方法
多くの子どもは、年齢が上がるにつれて嫌いな野菜を食べられるようになっていきますが、嫌いな野菜が食卓にのぼる機会がなければ、克服のチャンスもなくなってしまいます。
「食わず嫌い」というやつですね。具体的にどんなことができるでしょうか?
子どもが嫌いな野菜も食卓に出すことが大切です。たとえ子どもが食べなくても、食材に興味が持てるよう、視界に入れるようにしてあげてください。大人がおいしそうに食べている姿を見て、興味が湧いて食べてくれるようなケースもありますよ。
欲を言えば、少しでも口に入れてほしいです…。食べやすくする方法はありますか?
ポイントは、子どもが苦手な「味」「ニオイ」「食感」を和らげることです。以下にまとめましたので参考にしてみてくださいね。
苦手な野菜の調理方法
味が苦手な野菜の場合
繊維に沿って小さく切る、味の濃い料理に混ぜる、下茹でする
ニオイが苦手な野菜の場合
アク抜きをしっかりする、小さく切ってニオイの強い料理に混ぜる(カレーがおすすめ)
食感が苦手な野菜の場合
皮を剥く、小さく切る、柔らかく煮る、ミキサーにかける、繊維を断つように切る
子どもが好きなメニューに混ぜてあげるのも良いですね。カレーやシチューなどは、とろみでコーティングされて味やニオイが気になりにくくなるので食べやすいですよ。ミキサーにかけてポタージュにするのもおすすめです。
子どもが嫌いな野菜を食べられる調理以外にできる工夫
2歳児くらいの小さな子どもの場合、調理以外にできる工夫で嫌いな野菜を食べられるようになることがあります。例えば、次のようなことです。
調理以外にできる工夫
- 家族みんなで楽しい雰囲気を作る
- 好きなキャラクターの食器を使う
- ピックや型抜きなどで見た目を工夫する
- 買い物や調理など食の体験を一緒にする
まず、一番大切なのは食卓の雰囲気作りだと思っています。「〇〇パーティーだよ!」など特別感を演出してあげると、楽しい気持ちになって「嫌いな野菜も食べてみよう」と思えるかもしれません。
また、少しでも食べられたら思いっきり褒めてあげるようにしてあげてください。そうすることで、お子さんの自信につながり、「また食べてみよう」という意欲が生まれます。
保育園の場合、周りの子どもがおいしそうに食べている姿を見て「食べてみようかな」と口に運んでくれることも多いですね。「家では全然食べてくれない野菜が、保育園では食べられるんです」という声を保護者の方からよく聞きます。
「〇〇パーティー」という声かけ良いですね。食べてくれないとイライラしてしまいがちですが、お父さん、お母さんがおいしく、楽しく食べられるような雰囲気を作ってあげることが大切なんですね!
他にも、型抜きをしたり、ピックを刺したりして、見た目を可愛くするのもおすすめです。お弁当や好きなキャラクターのお皿によそってあげるだけでも、食べてくれることがありますよ。
どれも簡単にできますね!あまり無理しすぎず、楽しい雰囲気で食事をすることが大切なのだと分かりました。
そうですね。
「食べたらラッキー」と気楽に構えることも大切です。まずは大人が「おいしいよ」と声かけをしながら食べる姿を見せて、興味を持ったら取り分けてあげるくらいでも良いかもしれません。
保育園では食育の一環として、子どもたちと一緒に近所の八百屋さんに野菜を買いに行っています。自分で選んで買うという体験がきっかけで、嫌いだった野菜も自然と食べられるようになることも多いですね。
体験というところで言うと、簡単な調理を手伝ってもらうことも良いと思います。ピーマンの種取りやキャベツをちぎる・洗うなどであれば2歳くらいのお子さんでも楽しみながらお手伝いしてくれるでしょう。
「どうやったら野菜に興味を持ってくれるかな?」という視点で考えてみて、無理せずできることから少しずつ取り入れてもらえたらと思います。
まとめ
子どもが嫌いな野菜は、本能的に「危険」と感じている場合が多いので、子どもが小さい時期は、無理に食べさせず様子を見て大丈夫ということが分かりました。
ただし、全く食べさせなくても良いというわけではなく、克服のチャンスを作ってあげることも大切です。その際に意識するポイントは次の5つです。
- 調理の際は苦手な「味」「ニオイ」「食感」を和らげる工夫をする
- 家族みんなで楽しい雰囲気を作る
- 好きなキャラクターの食器を使う
- ピックや型抜きなどで見た目を工夫する
- 買い物や調理など食の体験を一緒にする
子どもが嫌いな野菜は、成長するにつれて少しずつ克服できるようになることが多いです。心配しすぎず、色々な食材を楽しみながら食べさせてあげてくださいね!
子育ての悩みに専門家が答えます!
↓みらいネット オンライン保育園はこちら↓
家庭で子育てをしているママたちが、オンラインで集まって交流したり、専門家とZoomを繋いで相談したり。一緒に子育てを楽しみましょう!
この記事を書いた人
広島県在住。0歳女の子の子育てに奮闘するママライターです。 自分が今まさに「知りたい!」と思っているテーマを、皆さんに分かりやすくお伝えします!