【産婦人科医に聞いた】コロナ禍の妊娠と出産6つの注意点

「妊娠中は薬も飲めないし、コロナにかかりやすくなるのかな?」

「感染が怖いけど、仕事も休めない。どうしたら…」

このような、コロナ禍の妊娠や出産の悩みにお答えします。

妊娠中はただでさえ初めてのことで不安がいっぱいなのに、今はコロナウイルスが流行している余計に不安になってしまいますよね。

どんなことに気をつけると良いのか、逆に気にし過ぎなくても良いことなどと、疑問は尽きません。

そこで今回は、長野県立信州医療センター産婦人科医の堀田大輔先生に、コロナ禍での妊娠と出産について不安に思うことをお聞きしました。

この記事を読むと、次の6つがわかります。

  • 妊娠中のコロナウイルスの感染リスク
  • コロナに感染した場合の胎児への影響
  • 家族が感染した時の対処法
  • 職場への相談の仕方
  • 里帰り出産するか決める時に注意すること
  • 新生児への感染予防対策

コロナ禍の妊娠の出産が少しは和らぐはずなので、このまま続きを読んで参考にして下さい。

長野県立信州医療センター 産婦人科医
堀田大輔 医師
 
女性の思春期から老年期に至るまでのトータルヘルスケアを意識して、地域の産婦人科診療に
あたっている。
 
特に、周産期及び産後のメンタルヘルスに関しては、小児科・産婦人科・精神科の医師、助産師、看護師、医療ソーシャルワーカー、保健師など多職種が集まる検討会を開き、メンタルヘルスの向上に積極的に取り組んでいる。

妊娠中は、新型コロナウイルスに感染しやすかったり、重症化しやすかったりすることはありますか?

清水
清水

妊娠中は、新型コロナウイルスに感染しやすかったり、重症化しやすかったりすることはありますか?

堀田先生

今のところ、妊娠中の方が妊娠していない方に比べて、重症化しやすいとか死亡率が高いなどの報告はありません。なので、過度に心配する必要はありません。

新型コロナウイルスに感染した場合、お腹の赤ちゃんへの影響はありますか?

清水
清水

新型コロナウイルスに感染した場合、お腹の赤ちゃんへの影響はありますか?

堀田先生

胎児への影響は非常に心配ですよね。しかし今のところ、お母さんがコロナに感染して赤ちゃんに奇形や異常などの影響が出た、という報告はありません。

 

なので、感染しても無症状や軽症で済むような場合は、赤ちゃんへの影響を考えなくて大丈夫です。

清水
清水

コロナ禍の日常生活で、妊婦はどんなことに気を付ければ良いでしょうか?

堀田先生

以下のような、基本的な感染予防が大切です。

 

・こまめな手洗い

・外出時のマスク着用

・ソーシャルディスタンスの確保

 

また、規則正しい生活をして免疫力を上げると、感染症にかかりにくくなります。具体的には以下のことに留意して下さい。

 

・バランスの良い食事をとる

・十分な睡眠をとる

・適度に気分転換する

 

妊娠中の方でコロナ禍に外出する方は少ないですが、家族など周りの方は外出することもあります。

 

周囲にも体温測定や体調観察を続けてもらうなど、みんなで気を付けることが大切です。

妊娠中もし家族が感染してしまったら、どうすれば良いでしょうか?

清水
清水

妊娠中もし家族が感染してしまったら、どうすれば良いでしょうか?

堀田先生

同居している家族が感染すると、妊婦さんは濃厚接触者になります。落ち着いて、保健所からPCR検査の指示が来るのを待ちましょう。

 

急に家族の感染がわかると、パニックになってしまう人もいます。もし心配なことがあれば、かかりつけ医に遠慮なく連絡や相談をして下さい。

働いていると、通勤中や職場での感染が不安です。どうすれば良いでしょうか?

清水
清水

働いていると、通勤中や職場での感染が不安です。どうすれば良いでしょうか?

堀田先生

まずは、どうしたら感染リスクを下げられるかを職場と相談してみて下さい。

 

今は、テレワークや時差出勤に対応してくれる職場が以前より増えています。

 

相談しにくかったり対応してもらえなかったりする場合は、病院が発行する「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用するのも1つの方法です。

 

母性健康管理指導事項連絡カードとは、主治医が行なった指導の内容、例えば勤務時間の短縮などを職場に的確に伝えるカードです。

 

このカードを職場に持っていくと、事業主の方も具体的な対応がしやすくなるはずです。

 

うまく職場と調整できない時は、ぜひ利用してみて下さい。

安心した場所で出産したいのですが、里帰り出産はしても良いでしょうか?

清水
清水

安心した場所で出産したいのですが、里帰り出産はしても良いでしょうか?

堀田先生

里帰り出産は様々な状況があるので一概に良いとも悪いとも言えませんが、かかりつけ医と里帰り先の医療機関と相談して決めるのが大前提です。

 

その上で次の点を総合的に見て、最終判断する必要があります。

 

・今いる地域の感染状況

・里帰り先の感染状況

・安心して出産できるか

・子育てをスタートできる環境があるか

・里帰りの期間

・高齢の家族がいるかどうか

新生児への感染を防ぐには、どんなことに気を付ければ良いでしょうか?

清水
清水

新生児への感染を防ぐには、どんなことに気を付ければ良いでしょうか?

堀田先生

新生児に感染することはかなり少ないので、過度な心配は必要ありません。

 

しかし、母親や他の家族から感染してしまったという報告はあるので、外出が多く感染リスクが高い家族とはできるだけ接触しないようにして下さい。

 

家族にも、新生児が家にいる間は感染予防に特に意識してもらうことが大切です。

先生から妊娠中の方へメッセージ

堀田先生

連日の報道で「自分が新型コロナウイルスに感染したらどうしよう」「赤ちゃんに影響したらどうしよう」と心配な方が多いと思います。

 

しかし、過度に心配する必要はないので、少し安心して下さい。ただし、感染予防はしっかり行なって下さい。

 

感染予防を徹底するあまりに、自宅で孤立してしまう方が増えています。

 

そんな時は、オンラインで周囲とのつながりを保ったり、家族と話をしたり、上手に気分転換することが大切です。

 

その上で何か困ったことがあれば、かかりつけ医や地域の窓口などに相談してみて下さいね。

まとめ

ここまで、長野県立信州医療センター産婦人科医の堀田大輔先生にお聞きしたことをお伝えしました。

改めてまとめると、以下の通りです。

・妊婦の重症化リスクや死亡率が高いという報告はない
・妊婦が感染しても、無症状や軽症なら胎児への影響は心配ない
・新生児の感染にも過度な心配は不要
・感染対策をして日常を過ごす
・働き方が職場と相談できない時は、病院が発行するカードを使うのも手
・孤立しないよう気分転換を大切に

困ったら悩まず医療機関や地域の窓口に相談を

母子ともに元気に過ごすためにも、ぜひ参考にしてみて下さい。

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