子どもは毎日著しく成長していきます。
表情や指差しで自分の意志を伝えようとしたり、簡単な言葉で事実を伝え共感してもらおうとしたり…。コミュニケーションがぐんと上達する時期は、親も育てがいがあって楽しいですよね。
けれど、何となく我が子の言葉の発達が遅れている気がする…。
そんな不安を抱えるパパ・ママの疑問に、言語聴覚士の北山先生がお答えします。
この記事を読むと、以下の4つがわかります。
- 1歳4か月ごろの子どもが話せるレベルとは?
- 検診前に準備をしておくとよいこと
- 簡単な言葉さえ出ない…これって大丈夫?
- 言葉に興味を持ってもらうための3つコツ
長野県出身。大学より小児医療分野に関わることを目指して言語聴覚士の資格を取得。実習では小児分野を多く経験し現在は脳外科に勤務しながら子育てポケットに参画している。2児の母。
目次
1歳4か月ごろの子どもはどれくらい話せるの?
1歳4か月の女の子を育てています。
一日に何冊も絵本を読み、まめに声をかけているのですが、なかなか言葉が出てきません。周囲のお子さんと比べて言葉の発達が遅い気がしています。もうすぐ1歳半になりますし、検診もあるので心配です。
一般的に1歳半くらいの子どもは、どの程度言葉を話せるものなのでしょうか?
検診を前に焦る気持ち、お察しします。言葉の獲得が早い子や、大人との意思疎通を簡単な会話でも楽しめる子を目にすると、我が子と比べて不安になりますよね。
1歳4ヶ月ごろの言葉の発達目安
1歳4ヶ月ごろの発達の目安の一つとして、「意味のある言葉を5つ程度言える」というものがあります。パパ・ママ・バイバイなど、簡単な言葉を言うことができていれば成長速度という点では問題ないでしょう。
あと、指差しも一つの目安です。子どもが意思を持って自発的な指差しができているのであれば、発達に問題はありません。
1歳半くらいだと、見たものの名前を言うようになったり、「ブーブー」と言われると車の方に視線を向けたりするようになってきます。こちらの言っていることをなんとなくでも理解できているような様子が見られれば、言葉がなくても問題ないことが多いです。
1歳4ヶ月でも言葉が出ないケースはよくある
そもそも、1歳4ヶ月くらいでまだ言葉が出ないケースはよくあることです。
言葉の発達はかなり個人差がありますので、一概に発達の遅れがあるとは言い切れません。まだ年齢が小さすぎるので判断も難しく、「5つ言葉が言えないからウチの子は遅れている!?」と過度に心配する必要はありませんので、ご安心ください。
1歳半検診前にどんな準備をしておいたらいい?
子どもを見ていると「もしかして発達に遅れがあるのかな?」と思う時も…。もうすぐ1歳半検診があるのですが、何か注意して観察しておくことはありますか?
そうですね、下記のような様子が見られる場合は、検診で伝えられるようメモを取っておきましょう。
- 名前を呼んでも振り向かない、視線を向けない
- 視線が合わない、コミュニケーションを取ろうとしない
- 指差しして教えるなどの、要求を伝えようとしない
- 大人の指差している方を見ようとしない
- 発語がない
- 自発的な指差しがない(クレーン現象がある)
ただし上で挙げている項目は、1歳半の時期にはどれもあり得ることです。発達のスピードは個人差があるため、これらの基準はあくまで目安と捉えてください。
もし「ある程度大きな声で呼んでも全く振り向かない」などお子さんの「聞こえ」が気になる場合は、耳鼻科や小児科への受診をおすすめします。
簡単な言葉さえ出てこない…これって大丈夫?
「もしかして意思疎通が取れていないのかな?伝わっていないのかな?」と感じる時がたまにあります。
子どもに絵本を読んであげると楽しそうにし、時折指差しをして知っているものを教えてくれることもあるのですが、言葉が出てきません。ワンワン・ママ・あった、などの簡単な言葉も出ないので心配です。
どんな関わり方が必要でしょうか?
そこまで心配しなくてもよいと思います。
一つ判断基準となるのは、親の言葉を理解できているかどうかという点です。
言葉の発語については個人差が大きく、1歳前から話す子もいれば、ほとんど話さなかったのに突然「パン ちょうだい」「ママ なに(なにしてる)?」などの2語文で話し始めて驚かれる親御さんもいます。
言葉が自然と出るようになるためには、心と体の充実が不可欠です。
パパやママとたくさん遊んで楽しく充実した体験をしたり、様々なものを見て一緒に共感したりする時間を増やししましょう。そうすることで、自然と発語につながるでしょう。
ただし最近は、お仕事などで忙しい親御さんも多いと思います。
その場合は、保育者(保育士など)が工夫して接してくれていると思いますので、その日の園の様子などを話題にして子どもとコミュニケーションを取ってみましょう。
親も頑張りすぎる必要はありませんので、無理することなく楽しくコミュニケーションを取ろうとする姿勢が大切です。子どもの心の充足が第一ですので、焦らず土台作りをしていきましょう。
その上で、以下の2点に気をつけましょう。
焦って言葉をかけすぎて行動の先読みをしすぎない
例えば、「次はこうしたいの?」「あれ取って欲しいの?」など、お子さんの行動を先読みしてしまう声がけには注意しましょう。
良い声がけの例
「どれがいいのかな?ママに教えて?」など声をかけ、子どもが「ん-」などと指差しができたら、「これね!わかったよ、教えてくれてうれしいなぁ」など、子どもの意思表示を促す声がけを意識しましょう。
言葉を促すことに気を取られすぎない
例えば、「ワンワンって言ってごらん?」「おいしい、は?」と言葉を催促するような声がけをしすぎないように注意しましょう。
良い声がけの例
「ワンワンいたね。ワンワン、だね」「おいしいねー!もっとたくさん食べようね」など、気持ちに寄り添い共感して見せることが大切です。犬を「ニャンニャン」などと間違えてしまっても、軽く流してしまいましょう。
他にも気をつけるポイントはありますので、以前お答えした記事もぜひ参考にしてみてください。
言葉に興味を持ってもらう3つのコツをご紹介!
話しかけなきゃいけないと思うのですが、子どもの反応が薄かったりすると、つい諦めてしまうことが多くて…。もっと言葉に興味を持ってもらう方法はありますか?
はい、興味を持ってもらう3つのコツをご紹介しましょう。
①親が子どもの行動に言葉を添えてみる
一つ目は、子どもの遊びを見守りながら、親が子どもの行動に言葉を添えてみることです。
例えば、「お花を見つけたね。かわいいね」「クマちゃんのお人形さん、ふわふわだね。かわいいね」「おいしいね。アイスクリーム冷たいね」「オムツを替えたら気持ちいいね!」など、子どもも感じているであろうことを、一緒に共感し言葉にして伝えていくとよいですね。
②オノマトペの言葉を多く取り入れる
二つ目は、子どもは「オノマトペ」を好みますので、オノマトペの言葉を多く取り入れることです。
例えば、「車いたねー。ブーブーって走って行ったね」「汽車がガタゴトって走っているね」「チョウチョがヒラヒラ飛んで行ったよ」「ごくごく飲んでね」「ぱくぱく食べよう」など、「発するのが面白い!」と子どもが思う言葉を使うのも、言葉を促す効果的な方法の一つです。
③子どもの発した言葉や音を真似する
心地の良い音、共感する言葉、自分を真似る意外性など、「子どもの好奇心を揺さぶるような言葉」を介した関わりは、子どもにとって大きな刺激になるはずです。
意識して言葉を伝えたいときは、表情や身振りなども付けてあげましょう。無表情よりも、生き生きとした表情で伝える方が子どもの心に届きやすいでしょう。
まとめ
ここまで、1歳4か月ごろの子どもの「言葉」に関するお悩み質問を、言語聴覚士の北山先生にお答え頂きました。まとめると、ポイントは以下の3つです。
- 言語の発達には個人差があり、そこまで細かく気にしすぎなくても大丈夫
- 日常生活の中で子どもに気になる点がある場合は、検診の時に伝えられるようにメモを取っておく
- 子どもと楽しくコミュニケーションを取ろうとする姿勢が大切
子どもは、一人一人性格も成長の速度も様々です。過度に心配しすぎずに、わからないことがあった時はメモを取って専門家に聞いてみましょう。
ぜひ、北山先生のアドバイスを参考にして、お子さんとおしゃべりする時間を楽しんでくださいね!
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この記事を書いた人
広島県在住。女の子の子育てに奮闘するママライターです。 自分が今まさに「知りたい!」と思っているテーマを、皆さんに分かりやすくお伝えします!