10ヶ月で赤ちゃんの喃語が減った!?喃語が少ないときの対策を言語聴覚士が教えます!

赤ちゃんが段々とお話しはじめてくると、嬉しいですよね。この調子でどんどん話せるようになったらいいな、早く一緒にたくさんおしゃべりしたいな、と思われるかもしれません。

ところが、生後6ヶ月で喃語を話し出したのに、10ヶ月になったある日、「突然赤ちゃんの口数が少なくなった」など、戸惑う親御さんも多いようです。

そこで今回はそんなお悩みに応えるべく、前回に引き続き、言語聴覚士の北山先生に喃語についてのインタビューを行いました。

この記事を読むと以下の4つのことが分かります。

  • 赤ちゃんが話す喃語(なんご)とは何か
  • 喃語はどう変化していくか
  • 喃語とクーイングの違い
  • 突然赤ちゃんから喃語が出なくなる理由
  • 赤ちゃんが喃語をたくさん話すようなるためのコツ

ぜひ、参考にしてみてください。

言語聴覚士 北山先生
長野県出身。大学より小児医療分野に関わることを目指して言語聴覚士の資格を取得。実習では小児分野を多く経験し現在は脳外科に勤務しながら子育てポケットに参画している。2児の母。

そもそも喃語(なんご)ってなに?

荻野

普段あまり聞き慣れない言葉ですが、喃語とは一体何でしょうか?

北山先生

喃語とは「乳児が発する意味のない声」のことです。

 

赤ちゃんが発声の仕方を覚える途中で出す音で、喃語を話す時期は、「こういう口の動きをするとこんな音が出るのか!」と赤ちゃん自身が発見して楽しんでいる段階です。

 

赤ちゃんが音あそびをしている時期とも言えますね。

荻野

赤ちゃんは喃語を発して音あそびをすることで、発声の仕方を学んでいっているのですね。

北山先生

そうです。喃語を通じて、自分の感情を他者に伝える方法を確立していくのです。

喃語はどう変化していくか

荻野

喃語は時期によってどのように変わっていくのでしょうか? 

北山先生

最初は、母音の喃語が出てきます。「あ〜」とか「う〜」とかそういうものですね。次の段階で子音が入ってきて、最終的には連続した喃語が出るようになります。

赤ちゃんは特に、「パ」や「バ」のような音を好みます。
お孫さんが生まれたおじいちゃんがよく、「パパやママ、ババのことは呼んでいるのに、ジジのことは呼んでくれない」と落ち込む話を耳にします。これは、赤ちゃんが「パ」や「バ」のような唇をよく使った音が好きで、「パパ」「ママ」「ババ」が覚えやすいからよく言っているだけなのです。

北山先生

成長するにつれて「ジジ」と呼んでくれるようになりますので、ご安心下さい。

荻野

「パ」や「バ」の音を赤ちゃんが好きな理由もあるのですか?

北山先生

専門的な用語になりますが、両唇破裂音と言い、「パ」「バ」のような音は両唇で簡単に出る刺激的な音です。赤ちゃんは遊びながらこの音に気がつき楽しむようになるからです。

喃語とクーイングの違い

荻野

クーイングと喃語の違いは何ですか?

北山先生

クーイングと喃語は似ているようで、実は全然違います。
クーイングは発声の第一段階で、喃語は発声の第二段階になります。

クーイングは喉からそのまま発せられる音で「あー」「うー」「んー」などの柔らかな声です。
一方、喃語は唇や舌を使って発する音で、鼻濁音も入ってきます。「だーだーだー」などの長い声や「ばぶー」など、一般的によくイメージされるいわゆる赤ちゃんらしい声が喃語です。

北山先生

生後3~6か月くらいから、クーイングが喃語に移行し始めます。
クーイングについては、別の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧くださいね。

10月くらいで赤ちゃんの喃語が少なくなる理由とは?

荻野

生後10月くらいで突然、喃語が減ったという赤ちゃんもいるようです。これはどのような理由が考えられますか?

北山先生

はい、理由は6つ考えられます。1つずつ解説しますね。

理由① 発声器官が未発達

北山先生

1つ目は、身体の成長がまだ喃語を出せる段階に至っていない場合です。

喃語を発するには、脳や喉などの発声器官の発達が不可欠なので、そこが未発達だと喃語は出ません。

理由② 聴覚の問題

北山先生

2つ目は、聴覚の問題です。先程もお伝えしたように、喃語は音あそびを通して赤ちゃんが音の出し方について学んでいる段階です。

聴覚に異常があると、自分で出した喃語が聞き取りにくく、赤ちゃん自身が楽しいと感じないのです。そして音あそびとしての喃語が減ってしまう場合があります。

理由③ 周囲の反応が薄い

北山先生

3つ目は、周りの人が反応してくれることが嬉しいと感じる赤ちゃんだった場合です。

喃語を発しても周りの人の反応が薄く、構ってくもらえないことが続くと喃語が少なくなります。

理由④ 遺伝的な原因

北山先生

4つ目は、遺伝的な原因です。

聴覚過敏などの場合、大きい音に敏感なので、あまり喃語を話さないようになることがあります。

理由⑤ 親が赤ちゃんに対して何でも先回りしてやってしまう

北山先生

5つ目は、親が赤ちゃんに対して何でも先回りしてやってしまうということですね。

これは決して悪いことではないのですが、例えば赤ちゃんが泣いたり喃語を話したりして親にアピールする前に、親が「ミルクの時間だな」と察してミルクを与え続けると、赤ちゃんは親に要求しなくてもよくなりますよね。

そうすると、人に自分の意思を伝える手段を獲得する必要性が下がるのです。結果、口数が少なくなるということがあります。

理由⑥ 身振り・手振りが優位になる

北山先生

6つ目は、赤ちゃんの中で喃語よりも指さしや身振り・手振りが優位になったケースです。

通常、喃語を話すようになった次のステップとして、指さしというものが出てきます。喃語も指さしもコミュニケーション方法の一つなので、親に言いたいことが伝われば赤ちゃんにとってはどちらでもよい場合があります。

簡単に言えば、今は喃語よりも指さしが楽しい!という、いわば赤ちゃんの中でブームのようなものが来ている状態です。

北山先生

そうなると、喃語の代わりとして指さしが増えて喃語が減ったということがありえますね。

荻野

なるほど、様々な理由が考えられるのですね。10月ごろに喃語が減っても、赤ちゃんの発達に影響はないのでしょうか?これはよくあることなのでしょうか。

北山先生

10月くらいで赤ちゃんの喃語が減るのは、めずらしいことではありません。

そのまま全く言葉を話さなくなったという事例は聞いたことがありませんので、親御さんには安心していただきたいですね。中には、2歳くらいまで話さなかったけれどその後問題なく話せるようになった子もいます。

「この時期までには子音の喃語が出ていないといけないのに…」というような心配はなさらなくても大丈夫です。

赤ちゃんが喃語をたくさん話すようになるためには?

荻野

赤ちゃんが喃語を話す量と、言語習得の早さには、関連性があるのでしょうか?

北山先生

関連性はあると思います。

正確に言うと、喃語をたくさん話しているから言語の習得が早くなるのではなく、赤ちゃんが言語そのものに興味を持っているから習得が早くなる、ということです。

大切なことは、赤ちゃんが興味を持っているかどうかです。

荻野

そうなのですね。言葉に興味を持って欲しい、喃語をたくさん話してもらいたいと思う親御さんは多そうです。言語に関して赤ちゃんの興味を惹く効果的な方法はありますか?

北山先生

これは「赤ちゃんはどう言葉を覚える?全体像を言語聴覚士が教えます!」という記事でもお伝えしたのですが、赤ちゃん言葉を使って赤ちゃんに話しかけることを推奨しています。

高い声でゆっくりと語尾を伸ばして話す赤ちゃん言葉は、赤ちゃんに興味を持ってもらいやすいという利点があります。きっと、音を出すって楽しいな、と思ってもらえるはずです。

北山先生

また、しばらく赤ちゃんと遊んでいると赤ちゃんが何に興味を持っているのかが分かってくると思います。例えば歌に興味を持っているようであれば、歌をたくさん歌ってあげるとよいでしょう。

そして先ほどお伝えした通り、赤ちゃんは「パ」や「バ」などの音が好きなので、そういう音がたくさん使われている絵本を読んであげるのも有効です。

生後10ヶ月くらいになると、音を出して楽しむ道具があることを認識しはじめますので、おもちゃの楽器で一緒に音あそびをしてみるのもよいですね。

まとめ

ここまで、言語聴覚士の北山先生に喃語について伺ってきました。
改めてまとめると次の通りです。

  • 赤ちゃんは喃語を話すことで発声の仕方を学習し、周りの人たちに自分の意思を伝える方法を確立していく。
  • 喃語が出なくなる理由は様々だが、目安の指標からずれているからといって、過度に心配する必要はない。
  • 赤ちゃんに喃語をたくさん話してもらうためには、言葉に興味を持つよう工夫をするとよい。赤ちゃん言葉で話しかけたり、絵本の読み聞かせや、おもちゃの楽器で音あそびをしたりすると効果的。

赤ちゃんの喃語が少なくなった時には、心配しすぎず、大きな気持ちで見守ってあげるのがよさそうです。
赤ちゃん自身もお気に入りがいろいろと移り変わるので、今赤ちゃんの興味が向いている事柄を見定めてあげることが重要ですね。

北山先生のアドバイスを参考に、赤ちゃんと大切な時間を過ごしてみて下さい。

\こちらの記事もおすすめです/

あなたの「おうち育児」を応援します!
↓みらいネット オンライン保育園はこちら↓

入園前のお子さんと一緒に、保育園の様子をのぞいてみませんか?子育てのお悩みに、保育士や看護師などの専門家が答えます!

この記事を書いた人

荻野
大学時代は法律を学んでいたため児童発達分野は全くの素人。
専門家さん達の話を楽しくうかがいながら日々勉強中のライター・・・

この記事は役に立ちましたか?