保育士に聞く!子どもに伝わる叱り方と褒め方

子どもにマナーやルールを教えていく中で、「叱らなくてはならない場面」はどうしても出てくると思います。

ですが、初めから叱り上手なパパママは少なく、「何を叱るべきか」「どのように叱るべきか」「そもそも叱る必要があるのか?」「改善した時の効果的な褒め方ってあるのかな?」とお悩みは尽きないのではないでしょうか。

間違った方法で叱り続けてしまうと、親子関係が悪くなったり、子ども自身の成長を妨げたりしてしまう可能性もあります。

そこで今回は、ライターの金子が現役保育士のちさと先生に取材し、子どもの叱り方と褒め方についてインタビューしてきました!

みらいく高田 施設長代理
ちさと先生
3人の子どもの育児をしながら、みらいくで担任を持ち3年目。子ども達が「毎日楽しかった♡」と思えるよう全力で楽しい保育!!を心掛けています。

「叱る」とは?

金子

子育てについて話される際、よく「叱る」と「怒る」は違うと聞きますが、具体的にどう違うのでしょうか?

ちさと先生

「叱る」は、誤った行動をした人に対して、その行動が間違っていると教える行為になります。「怒る」は、自分の感情を表現する行為になります。不満や憤りを感じている状態です。

また、「怒鳴る」と「叱る」も明確に違います。

「怒鳴る」は高い声や強いトーンで話す行為です。これは怒りや不満を表現する一種の方法であり、感情が高まっている状態です。

「叱る」は先ほど伝えたように誤った行動をとった人に対して、その行動が間違っていると教える行為です。

ちさと先生

「叱る」は、声を大きくしたり荒げたりすることはなく、冷静に伝える「教育」の目的を持っています。

金子

なるほど、全然意味が違うのですね。

パパママの中には、極力叱らないという育児方針をとっている方もいると思います。ちさと先生は、「叱る」ことは必要なことだと思いますか?

ちさと先生

将来子どもたちが社会で生き抜くためには、必要なことだと考えています。

「叱らない育児」が一時期有名になりましたが、これは全く叱らないという意味ではありません。頭ごなしに叱ったり人格否定するように叱ったりせず、必要な場面で子どもが正しい行動や考えに気付けるよう指導する育児方針だと言えます。

ちさと先生

私自身も、子どもが間違った行動に気付かないまま大人になることのないよう、適切に叱り、保護者が導いていくことが大切だと考えています。

どんな時に叱るべき?

金子

では、一体どんな時に子どもを叱るべきでしょうか?

ちさと先生

基本的に以下の3つの項目に関しては、その場で叱る必要があると考えています。

  • 他人を傷つけること
  • 自分の命に関わること
  • 社会のルールやマナー

叱る基準が決まっていないと、一時的な優しさから「少しくらいなら」と許容してしまうこともありますよね。

しかし、曖昧な対応をしてしまうと、大切なことがきちんと伝わらなくなってしまいます。

ちさと先生

上の3つのように、叱る際の「軸」を決めておくと、いざという場面で判断しやすいです。

伝わりやすい叱り方

金子

どのように叱ったら、子どもに伝わりやすいでしょうか?効果的な叱り方を教えてください。

具体的な改善方法を伝える

「触ったらだめ!」という伝え方は、子どもにとって曖昧です。

「お店の物は見るだけだよ」「手はグーだよ」など、具体的に何をしたらよいかを伝えると改善しやすいです。

端的に短く伝える

「何がいけないことか」「なぜいけないのか」をできるだけ短い言葉で伝えましょう。

長々と話したり、関連して「これもあれもダメ」と伝えたりしてしまうと、何がいけない行動だったのかわかりづらくなってしまいます。

叱ることは一つに絞り、シンプルに伝えることを意識しましょう。

子どもの目を見る

家事や作業をしながら叱ると、子どもは叱られている実感が持ちづらいです。

注意されている内容を聞き流してしまったり、親の機嫌が悪いだけと感じたりしてしまいます。

大事な話は、姿勢を子どもの高さに合わせ、目を見て伝えるようにしましょう。

一貫性をもって叱る

同じ行動に対して、日によって叱ったり叱らなかったりすると、「前はよかったのに」と混乱してしまいます。

言っていることがその時々で違うと、子どもも正しいことがわからなくなり、親の顔色で判断するようになってしまいます。

どんな場面で叱るべきか決めておき、一貫性のある行動を意識しましょう。また、夫婦で統一することも重要です。

すぐに伝える

叱るときは、その場で叱る方が効果的です。なぜやってはいけないのか、目の前の物事のつながりがわかりやすいからです。

4歳以上の子どもに注意する時は、友達の前で叱ると自尊心を傷つける場合もあります。周りに友達がいるときは、少し離れた落ち着く場所に移動してから伝えると、子どもが受け入れやすいです。

実現不可能な罰にしない

「言うことを聞かないなら、もう一生に公園に行かないよ」など、現実的でない罰を条件にするのはあまり適切ではありません。

子どもからすれば親の言うことを聞かざるを得ませんし、親がモデルになるので、「もう仲間に入れないかもしれない」と他のお友達を脅すようなことを言い出すこともあり得ます。

「まだ少し遊ぶなら、ご飯の時間遅くなるよ」など、現実的な条件を提示する方がよいと思います。

ちさと先生

現実的な条件を示すことで、子どもが自分の行動とその結果の関連性を理解できるようになります。この時ユーモアのある伝え方をすることで、そのメッセージも受け入れやすくなると思いますよ。

「おもちゃを片付けないと、おもちゃが淋しがっているよ。みんな、きちんと家(収納箱)に帰りたいと思うよ」

「お皿を洗わないと、お皿が泣いちゃうよ。きれいになりたいんだって」

「宿題をしないと、算数のノートが悲しくなっちゃうよ。君と一緒に問題を解きたがっているよ」

「公園で遊びすぎると、お腹が空いて怒るよ。お腹も、おいしいご飯を食べるのを楽しみにしているんだよ」

「お部屋を片付けないと、部屋が迷子になっちゃうよ。どこに何があるのかわからなくなっちゃうんだよ」

「ご飯を食べないと、お腹がコンサートを始めちゃうよ。グーグー音楽会だよ」

「手を洗わないと、手がお風呂に行きたくてうるさくなるよ。石鹸でスライドしたがっているんだよ」

「早く寝ないと、夢が君を待っていてイライラしちゃうよ。冒険に出発したがっているんだよ」

ちさと先生

こういった表現は、子どもにとって現実的で理解しやすく、同時にユーモラスな要素を加えることで、子どもがよりポジティブにメッセージを受け入れることができます。

【子どもの年齢別】効果的な伝え方を知ろう

ちさと先生

子どもの年齢によって、できることは大きく変わります。発達に合わせて伝え方を変えることで、適切な行動や理由などを理解しやすいこともあります。

年齢別に叱るポイントを下にまとめました。

0~1歳

言葉の内容まで理解できなくても、表情や声色などから「叱られている」と理解することができます。

「叩いたら痛い」というような目の前の出来事の因果は理解できるようになってくるため、悪いことをしたらその都度目を合わせ、短く叱るとよいでしょう。

2~3歳

イヤイヤ期に突入し、叱る場面も増えると思います。しかし、この時期は子ども自身も「やりたいけどできない」というような多くの葛藤を抱えています。

ちさと先生

イヤイヤ期は子どもの発達過程と考えて、無理に言い聞かせず、温かく見守ってよいと思います。

生活ルールなどを理解できる一方、いけないこともやってみたくなる時期です。

「どうして○○したの?」と聞き「○○したかったんだね」と一度子どもの気持ちを受け止めた後、伝えたいことを端的に伝えましょう。

子どもも自分の気持ちを受け止めてもらえると、その後の話も聞き入れやすくなります。

4~5歳

4歳頃からは、相手の気持ちを想像することができるようになります。

「○○したら、お友達はどんな気持ちかな」「どうしたらいいかな」と具体的な理由や解決方法を一緒に考えてみましょう。社会のマナーを身につける時期です。

ちさと先生

叱ったから次からはできるだろうと思わず、大切なことは繰り返し伝えましょう。

改善されたらしっかりと褒めよう

ちさと先生

叱った後に子どもの行動が変わった時は、その行動を褒める言葉をかけましょう。

「早く片付けられて偉いね」と、できたことを具体的に言葉にして褒めるとよいと思います。

金子

確かに、褒められることは嬉しいですよね。具体的に言葉にして褒めることにはどんな意味があるのですか?

ちさと先生

具体的に褒めることで、子どもが何に対して褒められているのかが明確で、また次もそうしようという意欲につながります。

こうすることで繰り返し叱らないといけない場面も減っていきます。

さらに、その行動ができたことによる結果や過程を褒めるようにすると、より効果的です。例えば、「片づけられてえらいね!お片付けが早かったから、おでかけできるね!(結果)」などです。

「お部屋を自分で片付けてくれてありがとう。自分の物を大切にできて素敵だね」

「宿題を自分で進んでやったんだね。それってすごく責任感があると思うよ」

「手を洗ってくれてありがとう。おかげでみんな元気でいられるね」

「お友達と上手に分け合って遊んだね。○○ちゃんの優しさが見えて嬉しいな」

「ご飯をきちんと食べてくれてありがとう。食べ物を大切にできてえらいね」

このように、子どもが何を達成したのかだけでなく、その過程のがんばりを褒めることは、子どもの自己効力感を育てます。

ちさと先生

これにより、自分の行動がどのように評価され、どのように影響を与えるのか理解することにつながります。

子どもを理解し、さらに協力的な行動を促す方法とは

金子

褒めることで叱る回数を減らしていくという考え方は新鮮に感じました。他にも、叱る場面を減らすための工夫はありますか?

ちさと先生

以下の方法がおすすめです。

選択肢を挙げて質問する

例えば、「着替えて」とパパママに言われると、「やだ!」と拒むイヤイヤ期のお子さんには、叱るよりも”選択肢を挙げて質問する”方がよいでしょう。

この時期はさまざまなことを一人でやりたい時期ですので、「この服かこの服、どっちにする?」と聞き子ども自身に決めてもらうと、すんなり着替えてくれる場合があります。

前もって約束を決めておく

危険な行動や守ってほしいことが事前に予想できる場合は、理由と一緒に先に伝えておきます。

例えば、車を出る前に「駐車場では、周りをよく見て歩こうね。○○ちゃんが走ったり飛び出したりすると車とぶつかって危ないよね」などです。

そして、子どもが約束を守れた時はきちんと褒めましょう。

約束を守れなかった時も、前もって理由を伝えているので、叱られている理由を理解しやすくなります。

金子

約束が守れた時は、危険な行動を防ぐことができるだけでなく、子どもも褒められてうれしいですよね。

ちさと先生

他にも、公園など出先で遊んでいる途中にいきなり「もう帰るよ」と言われると「まだ遊びたい!」と思うもの。

「もうそろそろ帰るよ」「あと15分で帰るよ」と子どもに事前に伝えておくと、気持ちを作ることができます。

金子

前もって伝えておくことで、約束や時間を意識できますね。

ちさと先生

また、親自身が余裕を持つことは、自身の親としての成熟のためにも、とても重要です。

幼児期の成長速度は人によってさまざまで、その日の気分や体調によっても子どもの行動は変わります。「あの子はできるのに」「昨日はできたのに」と考え、不安や焦りがあると必要以上に怒ってしまいます。

ちさと先生

今まだ社会のマナーがわからなくても、成長した後も十分に教えることができることもあります。

まずは自分自身の気持ちを落ち着け、他人に迷惑がかかることや危険な行動でなければ寛容に見守ってもよいと思います。

重要なのは、親自身が冷静でいられる状態を保つことです。

特に他人に迷惑をかける行為や危険な行動でなければ、余裕を持つように心掛けましょう。

金子

もし感情的に怒ってしまったら、どうしたらよいでしょうか?

ちさと先生

怒ってしまうのも親として自然な反応で、罪悪感を感じる必要はありません。

大切なのは、その後に自分自身の感情を落ち着け、息抜きをすることです。

そして、怒ってしまったことをきちんと子どもと共有し、必要であれば謝罪することも大切です。

感情的になってしまったことを親自身が謝って冷静に話す姿は、子どもにとってよい規範にもなります。

まとめ

子どもに対し、感情的に「怒る」のではなく、理性的に「叱る」という意識が大切です。

また、子どもが危険な行動をした時や他人に迷惑をかけた時など、タイミングを逃さず一貫性を持って叱ることも重要です。現実的で具体的な約束を示し、子どもが受け入れやすい言葉を選ぶとより子どもに伝わりやすいでしょう。

そして、子どもが行動を改善した時にはしっかりと褒めましょう。その際は、結果だけでなく過程も褒め、子どもの自主性を育てるようにしましょう。

親や保育士が子どもの気持ちや考えを理解し、適切な選択肢を提供することで、子どもの自主性や協調性を引き出すことができます。

これらのポイントをぜひ、日々の子育てに活かしていただければと思います!

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この記事を書いた人

金子 詩奈
長野県立大学健康発達学部こども学科1年の学生ライターです。大学では日々保育について勉強中。少しでも子育ての役に立つような情報をお届けしたいと思っています!

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