多くの保護者の方が、「保育園に行きたくない」と子どもに泣かれたり、不安そうな顔をされたりした経験があると思います。
子どもの「行きたくない」という一言にはさまざまな感情や願いが隠れていますが、一体どんな理由があるのでしょうか?
今回は保育園の園長先生に、子どもたちが保育園に行きたくないと感じる理由と対策についてインタビューしました!
ひかる先生
幼いころからなりたかった保育園の先生になり二十数年間、市立の幼稚園、認定こども園、企業主導型保育園に勤務し、担任や主任を務めています。”Going my way”をモットーに、自分らしく保育の仕事を楽しんでいます!
目次
子どもが保育園に行きたがらない理由
子どもたちが保育園に行きたがらない背景には、さまざまな理由があると思います。先生から見て、その主な理由は何だと思いますか?
確かに、「保育園に行きたくない」という言葉の裏側には、多くの理由が隠れていますね。主な理由は4つ考えられます。
1. 新しい環境への適応困難
家とは異なる環境で、慣れない場所や新しい人々に囲まれることは、子どもたちにとっては大きなストレスになります。
2.分離不安
特に幼い子どもたちは、母親や家族と離れるのが不安で、その感情が「行きたくない」という気持ちにつながることが多いですね。
3.他の子どもたちとの関係
友達関係のトラブルや、新しいクラスでの人間関係の形成は、子どもたちにとって難しい問題となります。
4.日常のルーチンの変化
家とは違ったスケジュールや活動になじむのに時間がかかる子もいます。
保育士はどう対応している?
先ほどの話で、子どもたちが保育園に行きたがらない一般的な理由についてお聞きしました。
そのような時、先生たちは具体的にどのように子どもたちの気持ちに寄り添い、対応していますか?
まず、子どもたちの気持ちを無視しないことが大切です。
彼らの「行きたくない」という声には、それぞれに個別の理由があるので、一つ一つ真剣に向き合います。
例えば、新しい環境への適応困難の場合、子どもが安心できるような環境作りを心掛けます。個人のロッカーや定位置の席を作ることで、少しでも自分の場所があると感じられるようにしています。
また、分離不安に対しては、不安な気持ちを受け止め安心できるよう保育者はその子のそばにいるようにしたり、毎日の送り迎えの際に保護者の方と情報を共有したり、子どもの気持ちや変化を捉えることができるよう努めています。
さらに、他の子どもたちとの関係については、保育者が仲立ちすることを大切にしています。そして、グループ活動やペア活動を通して、協力することの大切さを育んでいます。
また、トラブルが起きた場合は、その場でしっかりと話し合い、解決を目指します。
日常のルーチンの変化に対しては、スケジュールを絵カードで示し、子どもたちにも目で見て分かるようにします。予想外の変化が起こった場合も、事前に説明し、変化に対応できるようにします。
子どもが不安に感じないように保育士の皆さんが配慮されているのが伝わってきました。
保護者ができる対応
子どもが保育園に行きたがらない時、保護者ができる対応について教えていただけますか?
まず保護者として、子どもの気持ちを理解し、サポートすることが大切ですね。
「子どもの話をよく聞く」ことが基本です。何が不安で、何を楽しみにしているのか、子どもの言葉で理解することを心掛けましょう。
日常の中で、子どもの声をしっかりと受け止めることが大切なのですね。
そうです。また、「ルーチンを作る」ことも効果的です。例えば、朝の準備や帰宅後の過ごし方をルーチン化することで、子どもは安心感を得られ、何をすればよいのかが分かりやすくなりますね。
さらに、「保育士との連携」も非常に大切です。
保育士とのコミュニケーションを取り、子どもの様子や感じていることを共有することで、最適なサポートを模索することができます。
そして、「子どもの小さな成果に気づく」ことも忘れてはいけません。
家でも、子どもの努力や発見を見逃さず、褒めて伸ばしてあげることが、自己肯定感を育てることに繋がります。
子どもたちの日常の中の小さな成功体験を大切にすることで、自信をつけていくのですね。
その通りです。子どもたちは、保護者の言葉や態度に非常に敏感です。日々の接し方や言葉遣いを心がけることで、子どもたちの自己肯定感を育むことに繋がります。
保育園に行きたがらない時期はいつまで続くの?
保護者として気になるのは、この「保育園に行きたくない」という子どもの気持ちが、一時的なものなのか、それとも長期にわたるものなのか、という点です。
大日向先生の経験では、どちらの傾向が強いと感じますか?
「一時的」なものであることが多いです。
特に生活の大きな変化、例えば新しい環境に変わったばかりの頃や、クラス替え直後などに、そのような気持ちを表現する子どもも増えます。
そうなのですね。でも、その一時的な気持ちが続くと、保護者としても少し心配になります。
その心配も理解できます。しかし、多くの場合、子どもたちは新しい環境や友達に慣れ、また保育士との関係も深まるにつれて、その不安や抵抗感は自然と薄れていきます。
もちろん、個人差はありますが、大半の子どもたちにとっては一過性のものと言えるでしょう。
それは安心しました。もし長期間その気持ちが続く場合は、どういった対応をするべきでしょうか?
長期間続く場合は、何か個人的な理由があるかもしれません。
その時は、まず保護者と保育士が連携し、子どもの様子や変化、気になる点などを共有することが大切です。
そして、必要に応じて保健師など専門家に意見や支援を求めるとよいでしょう。
子どもの気持ちを大切にしつつ、適切なサポートをすることが必要なのですね。
その通りです。子どもたちの気持ちや行動には、様々な背景や原因がある可能性があります。
一時的なものであれ、長期的なものであれ、保護者と保育士が連携し、子どもの気持ちを理解しサポートすることが何よりも大切です。
意外と見過ごしがちな子どもの気持ち
最後に、実際に現場で働いている先生から見て、何かアドバイスはありますか?
先ほども少し触れましたが、子どもたちは「小さな成果やチャレンジ、発見」が自信に繋がっていきます。
例えば、自分で靴を履けるようになった、絵の中に新しい色を使ってみた、といった小さな成果やチャレンジです。
それは興味深いです。そのような小さなことに、どのような意味があると感じますか?
それらは子どもたちにとっては「自分の成長」を実感する大きなポイントとなるのです。
しかし、大人たちはその小さな成果を見逃してしまいがちです。
それが、時に子どもたちの「行きたくない」という気持ちを強くすることもあります。
つまり、子どもたちの日常の中の小さな成果やチャレンジ・発見を、もっと大人たちが認識し、褒めて伸ばすことが大切ということですね。
まさにその通りです。
また、子どもたちは「自分の意見や感じたことを表現したい」という気持ちも強く持っています。
しかし、その表現方法が大人の想像するものとは異なるため、理解されずに終わってしまうこともあります。
子どもたちの真っ直ぐな気持ちや、独自の表現を大切にすることが、保育園へ行くモチベーションを高める鍵なのかもしれませんね。
その通りです。子どもたちは、自分の気持ちや成果を理解してもらいたい、そしてそれを褒めてもらいたいと思っています。私たち大人が、その気持ちを受け止め、応援することが大切です。
まとめ
保育園に行きたくないという子どもたちの気持ちの裏側には、さまざまな要因があることが分かりました。新しい環境への適応、クラスメートや保育士との関係性、日常の小さな変化など、子どもたちにとっては大きなストレスとなる要素がたくさん存在します。
保育士さんや保護者ができることは、子どもの気持ちを尊重しつつ、時にはお互いが連携して適切なサポートをすることです。特に子どもが日常で成果やチャレンジだと感じていることを見過ごさず、適したタイミングで褒めたり認めたりしてあげることは、子どもの自己肯定感を育むことことになります。
自己肯定感が高まれば、前向きに保育園に通う意欲にもつながりますので、小さな成果も気づいてあげられるとよいですね。
最後に、子どもたちの「保育園に行きたくない」という気持ちは一時的なものであることが多いとのこと。しかし、もし長い期間その気持ちが続いているようであれば、保健師さんなどの専門家のサポートを求めるのがよいかもしれません。
子どもの成長や変化は日々の中で急激に起こります。その微細な変化や気持ちに気づき、子どもがポジティブに保育園へ向かえるよう、手助けしていきましょう。
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この記事を書いた人
長野県立大学グローバルマネジメント学科2年の学生ライターです。こどもについてもっと知っていきたいです!