【言語聴覚士に聞く】子どもはどうやって言葉を真似するの?言語の発達を促すコツ

言葉を少しずつ理解し始めた赤ちゃんは、大人の言葉を少しずつ真似して表現の幅を広げていきます。赤ちゃんが一生懸命言葉を真似する姿はとても可愛く、早く一緒におしゃべりしたくなりますよね。

この記事では、赤ちゃんの発達の中でも「言葉の真似」という点に着目して、言語聴覚士の先生にインタビューしてみました。

この記事を読むと、次の3つがわかります。

  • 子どもはどうして言葉を真似するのか
  • 子どもの「言葉の真似」の特徴
  • 子どもから言葉を上手に引き出すコツ

赤ちゃんの言葉の発達と、言葉の真似への理解を深めていきましょう!

言語聴覚士 北山先生
長野県出身。大学より小児医療分野に関わることを目指して言語聴覚士の資格を取得。実習では小児分野を多く経験し現在は脳外科に勤務しながら子育てポケットに参画している。2児の母。

赤ちゃんはいつから大人の言葉を真似するの?

荻野

赤ちゃんはいつから大人の言葉を真似するようになるのでしょうか?

北山先生

赤ちゃんは、2〜3ヶ月頃になるとクーイングという発声ができるようになり、次に6ヶ月頃には「喃語(なんご)」という意味のない言葉を発するようになります。

さらに10ヶ月頃になると、大人の発言を理解して反応し、少しずつ大人の言葉を真似する姿が見られるようになります。

口周りの筋肉などの発達に応じて、喋れる言葉も増えていきます。
目安としては、以下の通りです。

口周りの動き

  • 3歳3ヶ月 両頬をふくらませる
  • 3歳6ヶ月 唇を尖らせる
  • 3歳9ヶ月 両頬を左右交互にふくらませる

舌の動き

  • 2歳2ヶ月   舌をまっすぐ前に出す
  • 2歳8ヶ月   舌を交互に出し入れして繰り返す
  • 2歳11ヶ月 下唇をなめる
  • 3歳3ヶ月   口角をなめる
  • 3歳7ヶ月   口角を交互になめる
  • 3歳10ヶ月 上唇をなめる

  • 2歳2ヶ月 pa pa pa
  • 2歳3ヶ月 ta ta ta
  • 2歳8ヶ月 ka ka ka
  • 3歳5ヶ月 pa ta ka
  • 5歳0ヶ月 pa ta ka
  • 2歳 パ行・バ行・マ行・ヤ行・ワ、ン
  • 3歳 タ行・ダ行・ナ行・チャ・チュ・チョ
  • 4歳 カ行・ガ行・ハ行
  • 5歳 サ行・ザ行・ラ行 ッ
北山先生

この通りに発達していくという訳ではなく、あくまで目安として捉えてください。

赤ちゃんの言語習得の過程に関しては、以下の記事でも紹介していますので参考にしてください。

荻野

喃語(なんご)が出る時期は、どのような音から発し始めるのですか?

北山先生

赤ちゃんにとって発音しやすい言葉、日本語では『ぱぴぷぺぽ』『ばびぶべぼ』『まみむめも』の音から始まることが多いです。外国語でも、b、m、pの音から話し始めると言われているので、世界共通なのかもしれません。

実際に口を動かしてみると分かりますが、「ま行」「ぱ行」「ば行」の言葉は、唇を使って発音します。そのため、赤ちゃんにとって発音しやすいと考えられています。

どうして言葉を真似しながら話せるようになるの?

荻野

赤ちゃんが音を発することはわかったのですが、そこからどのようにして言葉を話せるようになるのでしょうか?

北山先生

ポイントとなるのが、「身近な大人の真似」です。一般的に、子どもは「親の言うこと」や「テレビで聞いたこと」をすぐに真似すると言われています。ですが、実はそれよりももっと幼い頃、言語獲得の初期段階にも「真似」が重要な意味を果たしているのです。

荻野

赤ちゃんの時に親などから聞いた言葉を真似するということですか?

北山先生

はい。確かに赤ちゃんは「発音しやすい言葉」を真似する傾向がありますが、そもそも基本的に自分が興味あるものや、大好きなパパ・ママが言うことには特に注意深く向き合っているので、発語に繋がりやすいのです。

赤ちゃんは耳で「よく聞く音」を選択しているとも言えます。例えば「まんま」「ないない」「ワンワン」など、日常生活と紐付いた「よく聞く音」も上手に真似して語彙を獲得していきます。

荻野

なるほど!家族や保育園の先生など、身近な人との関わりの中で語彙が増えていく理由には、そういった背景があるのですね。

北山先生

また、子どもは一気に長い言葉を覚えられないので、いきなり「りんご」と言えるようになるのではなく、「り」だけ覚えて真似したり、逆に語尾の「ご」から覚えて真似したりすることもあります。このあたりは個人差も大きいですね。

子どもがりんごを指して「り、り」と言った時に、大人が「そうだね、りんごだね」と受け入れて繰り返してあげると、実際のりんごと「りんご」という言葉が結びつくようになり、どんどん正確に真似できるようになります。

北山先生

こうして言葉を聞くうちに学習していき、1歳半~2歳頃になると「りんご、ある」など2語文を話せるようになります。

子どもがなかなか大人の言葉を真似しないけど、大丈夫?

荻野

もし子どもが大人の言葉の真似をする様子がなかったら、何か問題があると考えた方がよいのでしょうか?

北山先生

言語の発達は個人差が大きいので、あまり心配しすぎない方がよいと思います。

もし真似をしないとしても、言語発達だけが原因というわけではありません。

例えば耳の聞こえに問題がある場合もあれば、口周りの筋肉や歯並びの影響で発音がうまくできないという場合もあります。もし問題があったとしても、取るべきアプローチは子どもによって変わってくるので、一人で抱え込まずに、小児科や地域の子ども課などに相談しましょう。

荻野

医療機関などに相談するのは、どのくらいの年齢になってからがよいでしょうか?

北山先生

一般的には、1歳半を過ぎても発語が全く見られない場合は、相談してみてもよいでしょう。発語がなくても親の言うことを理解して動けるなどコミュニケーションが取れていると感じるならば、あまり心配しなくても大丈夫ですよ。

年少さん(3〜4歳)で「カ行」と「ガ行」が全く言えない、5歳で「サ行」と「ザ行」が全く言えない、発音の誤りを気にしすぎて子どもが話すことを嫌がるなどの様子が見られたら、機能性構音障害(解剖学的な異常がないのに発音に誤りがある)の可能性がありますが、大抵は4歳までに改善すると言われています。大きくなっても変わらないときは、言語聴覚士に相談してみましょう。

子どもの言葉の発達を促すコツとは?

荻野

子どもの「言葉を真似る力」を使って、言葉の発達を促すコツはありますか?

北山先生

子どもは真似の天才です。家族や信頼できる大人とのコミュニケーションの中で、真似をしながら語彙を増やしていきます。そのため、まずは「周りの大人がたくさん言葉を話す」「赤ちゃんとコミュニケーションを取る」ことが大切です。

今すぐ取り入れられるコツをいくつかご紹介しますね。

まず子どもが赤ちゃんの時は、いわゆる「赤ちゃん言葉」を使いながら、たくさん話しかけましょう。もちろん反応が得られないことがほとんどですが、しっかり言葉は赤ちゃんの耳に入っています。
例えば、おむつを替えるときでも、「今からおむつを替えるよ」「ほら、きれいになったよ、気持ちいいね」など、実況中継してあげるとよいですよ。

荻野

赤ちゃん相手だと、どうやって話したらよいか悩んでしまいますが、「実況中継」と考えると戸惑わずに向き合えそうです。

北山先生

「子どもの語彙を増やさなきゃ」と構えず、自然体で話しかけるのがよいと思います。

1歳頃になると、大人の言葉はなんとなく把握しています。子どもによって好き嫌いも出てくる時期です。

お気に入りの絵本や遊びがあれば、繰り返し付き合ってあげましょう。「語彙を増やすためにたくさんの絵本を読む」よりも、「子どもが興味を持つものを繰り返し読む」方が、子どもも自然と真似するようになります。

北山先生

言語の発達を促す「遊び」もあります。シャボン玉や紙風船・紙笛・口じゃんけんなどは、口周りを鍛えることができてよいですね。

何か特定の遊びをしなくても、発音の間違いなどを気にせずに会話を広げてたくさん喋らせれば、口をよく動かすことができますので訓練になります。

また、普段の動きの中でも、動作に合わせながら短い言葉で話すように心がけると、子どもの記憶に残りやすいので子どもも真似がしやすくなります。
逆に、大人が子どもの発語を真似するというのもおすすめです。子どもの言葉を繰り返すと、自分に注目してくれるのが嬉しくなって、どんどん発語が増えていきます。

荻野

言葉を「教える」のではなく、自然なコミュニケーションの中で育てていくのが大事ですね。

北山先生

その通りです。「テレビを見ているだけは言葉が身につかない」と言われるのは、言語の発達には保育者とのコミュニケーションが重要だからです。

子どもが何かを指して言葉を発したら、大人はできる限り同じものを見て、「そうね、〇〇だね」という風に反応して語りかけてあげましょう。

子どもが注目したものを大人が一緒に見ることを、専門用語で「共同注視」と言います。その状態で言葉のやり取りを交わすことで、自然と真似する言葉も増えていきますよ。

言葉の理解が進むと、「なぜ?」「なに?」という質問も増えてきます。子どもが興味を持っているものに関してはできる限り答えてあげることで、さらに豊かな語彙の獲得に繋がります。

北山先生

とは言え難しく考えすぎずに、大人が「子どもと同じものを見て同じように話す」ことを意識するのが、言葉の真似を促すことにつながる大事なポイントだと思います。

まとめ

ここまでの言語聴覚士の先生へのインタビューをまとめると、次のようになります。

  • 子どもは自分が話しやすい音から発音を始める(喃語)
  • 親や身近にいる大人からよく耳にする言葉を真似し始める
  • 信頼できる大人とのコミュニケーションや、自分が興味を持っている言葉を繰り返し聞くことで、語彙を増やしていく

今回お伝えしたポイントを意識して子どもと接すると、自然と言葉の真似も増え、話も上手になっていくはずです。
子どもが何に興味を持っているのかを見極めて、しっかりとサポートしてあげましょう。

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この記事を書いた人

荻野
大学時代は法律を学んでいたため児童発達分野は全くの素人。
専門家さん達の話を楽しくうかがいながら日々勉強中のライターです。

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