保育士に聞く!子どもが「後追い」をする理由と上手な対処法

ママやパパが離れようとすると大泣きし、トイレやお風呂、掃除機をかける時もママやパパを追いかける子どもの「後追い」

生後10か月から1歳ごろによく見られる行動ですが、その姿は可愛らしく感じられるものの、家事が一向に進まなくなって困ってしまう時もありますよね。

そこで今回は、子どもの後追いの原因や激しい後追いを軽減するための対処法を、学生ライターの金子が保育士の中島先生にお聞きしました!

もえか先生
みらいく県町 副主任
中島もえか
みらいくに入職して2年目になります。毎日可愛い子どもたちに癒されながら過ごしています。子どもと保護者方と小さな「できた」を大切に保育しています。

子どもの「後追い」とは?

金子

子どもがする「後追い」とはどのような行動のことですか?

もえか先生
もえか先生

ママやパパの姿が見えなくなると、後を追いかけたり泣いて探し回ったりする行動を「後追い」と言います。

トイレなど少しの時間であっても「ママー!」と大泣きし、料理中などどんな時も足元をしがみついて離れないといった行動は、代表的な後追いの行動ですね。

段差や階段があっても構わず追うため、危険な場合もあります。

子どもが後追いをする理由は?

金子

大泣きしてママやパパにしがみつく姿を見ると、少し心配になります。なぜ子どもは後追いをするのでしょうか?

もえか先生
もえか先生

後追いをする理由については、心の育ちが関係しています。

生まれたばかりの赤ちゃんは誰に対しても微笑むことからもわかるように、周囲の人々をあまり区別していません。

ですが、ママやパパに面倒を見てもらうなどの経験を重ねていく中で、信頼する人と知らない人の区別がつくようになります。

そのため、ママやパパへの愛着が増す一方で、見知らぬ人に対して人見知りをするようになります。

こういった心の育ちによって、信頼関係のあるママやパパと「一緒にいたい」「いないと不安」と思う気持ちが強くなり、後追いが起こります。

金子

なるほど、信頼する人がそばにいないと不安な気持ちを、泣いたり追ったりして表現しているのですね。

もえか先生
もえか先生

はい。成長が進むと自立心が芽生え、少しの間離れていても「また会えるから大丈夫」と理解するようになり、ママやパパから離れることができるようになります。

子どもにとって、自分を受け入れてくれている存在や、甘えたいと思った時に甘えさせてくれた経験は大きな心の支えとなり、良い人間関係を築く土台になります。

後追いによって家事が進まずもやもやすることもあると思いますが、心が育つ過程だと考えて、上手く付き合っていきたいですね。

後追いはいつまで?

金子

心の成長が進むとママやパパから離れられるようになるとありましたが、具体的にいつからいつまで続くのでしょうか?

もえか先生
もえか先生

早くて生後6か月から後追いが始まるお子さんもいます。

生後6か月ごろになると、赤ちゃんの視界がはっきりしてきます。これによってママやパパの顔を見分けられるようになるため、赤ちゃん自身と関係の深い人が視界の中にいると安心するのです。

生後10か月~1歳頃は、ハイハイができるようになることもあり、後追いが激しくなる傾向にあります。

そして、1歳から1歳半ごろになると落ち着いてくる場合が多いようです。

後追いが見られなくても大丈夫?

金子

1歳を過ぎても、後追いがないお子さんもいると聞きました。

後追いをしないこともあるのでしょうか?また、これから後追いが始まることはありますか?

もえか先生
もえか先生

後追いをしないお子さんはいます。

一般的なことですので、愛着が形成されていないのではないかと心配しなくても大丈夫です。

兄弟や祖父母などたくさんの家族に囲まれて育ったお子さんや、お子さん自身の性格がおっとりしていると、不安を感じづらく後追いがないこともあります。

また、1歳を過ぎて後追いが始まることや、一度落ち着いた後追いが再び始まることもあります。

2歳頃のお子さんであっても、弟妹の誕生や家庭環境の変化で不安定な時に赤ちゃん返りが起こり、後追いをすることがあります。

金子

後追いの期間には個人差があるということですね。

後追い時期を乗り切るコツを3つご紹介

金子

後追いをしてくる間は、保護者はどのように付き合えばよいのでしょうか?

もえか先生
もえか先生

これまでお話してきたように、後追いは成長とともに落ち着いていきます。

後追いをやめさせるというより、一時的に後追いとうまく付き合い、落ち着くまではお子さんの成長を見守ると考える方がよいでしょう。

それでは、後追いの期間をうまく乗り切るためのコツを3つご紹介します。

家事は完璧にやらなくてもよいと割り切る

後追いによって家事が妨げられると「あれもこれもできていない」と落ち込むことも多いと思います。ですが、今までの家事の量を完璧にこなす必要はありません。

後追いの時期は全ての家事ができなくて当然と考えましょう。

お子さんが昼寝している間に最低限の家事を進め、起きている時間は十分にスキンシップをとる時間と割り切ることをおすすめします。

見直してみると、実際やらなくてもなんとかなる家事もあるかもしれませんね。

もえか先生
もえか先生

離乳食やお昼寝の時間等きっちり守らなくても、案外子どもは育ちますよ。

後追いの時期は、何をするにも子ども優先になりがちですが、ママやパパがリフレッシュすることも大切です。

家族同士、理解を得られるよう話し合ったり家事をお願いしたりして、今まで家事に使っていた時間を趣味やリフレッシュの時間にしてもよいと思います。

十分にスキンシップとコミュニケーションを取る

この時期に子どもに十分に愛情を伝えていくことが、情緒の安定や、家族以外の人とよい関係を築くための土台になります。

また、スキンシップが子どもの不安な気持ちを解消し、心の発達を促します。

子どもの要求に毎回応えるのは難しいですが、余裕のある時は抱きしめたりゆったりお話したりして、気持ちを満たしてあげるとよいでしょう。

もえか先生
もえか先生

保育園では、スキンシップや関係を深めるひとつの方法として、手遊びをよく行います。

手遊びを行うことで、触れ合いながら楽しくコミュニケーションをとることができます。

いくつか覚えておくと場所を選ばず楽しめて、おすすめです。

おんぶ紐を使用し、赤ちゃんとのスキンシップを取りながら、家事や趣味の時間を捻出するご家庭も多いようです。

長時間のおんぶは体への負担が大きいですので、自身の身体と相談しながら活用してみてください。

離れる前に声をかけてから移動する

ママやパパがいきなりいなくなると、不安を感じるものです。

「○○ちゃん、トイレ行ってくるね」と声をかけ、その場を離れるようにしましょう。

もえか先生
もえか先生

1歳ごろだと言葉の意味が分からず泣いてしまう事もありますが、短時間であれば泣いて待っていてもらいましょう。

そして、作業が終わってお子さんの元に戻ってきたら「お待たせ、戻ってきたよ」と抱きしめる等、スキンシップを十分に取ることを意識してみてください。

離れていても必ず戻ってくることがわかると、徐々に不安な気持ちも解消されていきます。

後追いする子どもの安全対策は?

金子

ハイハイができるようになったお子さんの場合、後を追い続けることで家の中での移動量も増えますし、段差や家具にかまわず進んで危険な場面も多いと思います。

家庭の中ではどんなことに気を付けるべきでしょうか?

もえか先生
もえか先生

園で行っている安全対策の中から、ご家庭でも真似しやすい3つの方法をご紹介します。

家具の角にクッションテープを貼る

ハイハイができるようになったばかりの頃は、まだ自分で障害物をよけるのは難しい時期です。

椅子の脚や棚の角など、クッションテープを貼っておくとヒヤリとする場面が減ると思います。

もえか先生
もえか先生

保育園では、棚の角だけでなく、仕切りになっている板部分も保護しています。

ベビーゲートを設置する(階段、玄関、キッチンなど)

ママやパパを追って階段を上ろうとしたり、玄関や窓から出ようしたりするお子さんもいるようです。

大きなけがにつながる可能性もあるため、ベビーゲートがあると安心です。

引き出しや収納棚の扉にストッパーを設置する

ママやパパを追いかける最中に、引き出しに手をかけそのまま転倒してしまうこともあります。

お子さんの手が届きそうな扉には、子ども用の引き出しストッパー・安全ロックを設置すると、不意の事故を防ぐことができます。

まとめ

後追いは、ママやパパとの愛着が形成されているからこそ見られる、成長の姿だとわかりました。
成長とともに後追いも落ち着いていくため、家事が進まなくても、「今はそういう時期」だと割り切って、たくさん愛情を注いでいきたいですね。

すぐやらなくてもよい家事を見直し、スキンシップやコミュニケーションの時間を増やして、子どもとゆったりした気持ちで向き合いながら子育てしましょう!

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この記事を書いた人

金子詩奈
長野県立大学健康発達学部こども学科3年の学生ライターです。大学では日々保育について勉強中。少しでも子育ての役に立つような情報をお届けしたいと思っています!

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