過ごしやすく暖かい季節になるとやってくる、花粉症。
「うちの子、最近くしゃみが増えたような気がするけど、もしかして花粉症?」
と気になっている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、花粉症は何歳頃からなる可能性があるのか、咳やくしゃみ・鼻水など風邪症状と花粉症はどう見分けるかについて、看護師の新井さんに聞いてみました。
ご家庭でできる対策も合わせてご紹介します!
新井れいこ
2018年より「病児保育室おひさま」に勤務。
不安な時に利用する病児保育室だからこそ、子どもたちが安心して過ごせるよう、親御さんに預けてよかったと感じていただけるよう務めています。
目次
そもそも「花粉症」とは?
まずは、改めて花粉症とは何かを教えて下さい。
花粉症は、植物の花粉によって起こるアレルギー疾患の総称です。症状は主にアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎です。
花粉が鼻に入るとくしゃみや鼻水、鼻づまりが起こり、目に花粉が入ると目のかゆみや充血、涙目が起こります。
それだけでなく、喉のかゆみや咳、また鼻づまりが続くことによる頭痛や、鼻や喉の炎症反応による微熱、全身の倦怠感、皮膚のかゆみまで出ることがあります。
花粉症かどうかは主に症状のある部位の所見から診断し、どの植物によるものか特定する場合は血液検査や皮膚テストを行います。
2〜3歳の幼児でも花粉症になる?
花粉症は大人がかかるものというイメージがですが、子どもでも発症することはあるのでしょうか?その場合、何歳頃から発症しますか?
子どもでも発症する可能性は十分あります。
花粉を何度も浴びると、体内に入った花粉(抗原)から、その抗原に対応するための抗体が作られ、体が抗原に対して反応しやすい状態になります。この状態を「感作」と呼びます。
花粉症は初めて花粉を浴びるだけでは発症せず、感作が成立してから発症します。しかし、感作が成立してもすぐに全ての人が発症するわけではなく、人によって発症までの期間が違います。
何年か花粉を浴びるとやがて抗体が十分な量になり、何かのきっかけで花粉が身体の中に入ってきた時に、くしゃみや鼻水、目のかゆみや涙目などの症状が出現するようになります。これが花粉症の発症です。
近年は飛散する花粉量が増加しているため、感作が成立するまでの期間・発症するまでの期間が短くなってきており、2~3歳で花粉症を発症する子どもも少なくありません。また、花粉の飛散量が多い地域では1歳での発症も増えてきています。
医師の考えにもよりますが、採血をすることのメリットとデメリットを考え、小さいお子さんは血液診断をせず症状のみで判断することが多いです。
花粉症になりやすい条件は?
花粉症になりやすい条件(遺伝や体質など)はありますか?
家族に花粉症やアトピーなどアレルギー疾患を持つ方がいれば、遺伝的要因として子どもも花粉症を発症しやすくなる可能性は十分にありえます。
また、花粉の飛散量が多い地域や、排気ガスや黄砂など空気中の汚染物質が多く流れつきやすい地域、家庭内での喫煙がある場合は、環境的要因として発症しやすくなると考えられています。
風邪と花粉症の見分け方
小さい子どもは、自分の症状を上手に言葉で伝えられないこともあります。
子どもにくしゃみ・鼻水・目のかゆみ(目をこする)・咳などの症状が出た時、風邪なのか花粉症なのか分からず困ってしまうこともありますよね。風邪と花粉症を見分けるコツを教えてください。
風邪と花粉症は見分けるコツがいくつかあります。軽い風邪が長引いていると思っていたら花粉症だった、という事もありますので、ぜひ受診前の参考にチェックしてみてください。
【花粉症の場合】
- 鼻水は透明でサラサラとしている
- 朝起きた時や屋外に出た時、風が強く吹いたあとや雨が降った翌日など、状況や日によって症状に差がある
- くしゃみ・鼻水・鼻づまり以外に喉のかゆみ、目のかゆみや異物感などの症状がある
- 花粉が飛散する期間中に症状が続くことが多い
【風邪の場合】
- 鼻水は透明なものから白・黄色・黄緑色といった色が付くものまであり、ねばつきがあることが多い
- 1日を通して同じような症状が続く
- 喉の痛みや咳、発熱などの症状も起こる場合がある
- 数日から1週間程度で症状が落ち着く
小さな子どもは症状を言葉で上手く伝えることができませんが、鼻がムズムズするため顔をこすったり掻いたりして、鼻や口のまわりを気にするような仕草があれば花粉症のサインかもしれません。
症状で悩んだら何科を受診するべき?
花粉症かその他の病気かはっきりしない場合、何科を受診すればよいでしょうか?
花粉症かな?と思う症状のほかにも、親御さんでは気付くのが難しい症状が出ていることもありますので、まずは小児科に相談するのが1番です。
子どもの身体に詳しい小児科の医師に診てもらい、全身状態に問題がないことを確認してもらいましょう。
その上で、症状に改善が見られない場合や、より詳しい検査を希望する場合は、アレルギー科や耳鼻科のほか、目の症状には眼科、皮膚のかゆみや肌荒れには皮膚科と、それぞれの症状に合わせた専門医に相談するのがよいでしょう。
子どもの花粉症、家庭でできる対策は?
子どもが花粉症だとわかった場合、医療機関ではどのような治療をするのでしょうか?
主に内服薬での対症療法
小さな子どもの花粉症治療は、主に内服薬による対症療法になります。
内服薬ではアレルギーを抑える抗アレルギー薬や、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬、気管支や鼻の粘膜の炎症を抑える抗ロイコトリエン薬などを使用します。また、目や鼻のかゆみが強い時は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の点眼薬や点鼻薬の処方もされることがあります。
花粉の種類によって治療薬が変わることはなく、症状の出方によって治療薬を処方します。また、子どもの場合は体重や年齢によって処方の量が決まります。
家庭での予防法や花粉症の対策法は?
家庭での予防策や、子どもが花粉症になってしまった時にしてあげられることがあれば教えて下さい。
花粉症対策で最も大事なことは、「できるだけ花粉を体内に取り込まないようにすること」です。とはいえ、大人のようにマスクやメガネをずっと着けているのは、小さな子どもにとっては難しいもの。
手軽にできる予防・対策法を紹介します。
服装を工夫する
フリースやニットは花粉を取り込みやすい素材ですので、避けたいところです。
また、花粉は静電気によって衣類に留まりやすくなるため、日々のお洗濯で柔軟剤やクエン酸を使って静電気の発生を抑えるのが手軽です。洗濯物は室内干しや乾燥機を使えるとよいですが、屋外に干した場合はしっかりと花粉を払い落としてから取り込みましょう。
衣類や髪についた花粉は払い落す
外出から戻った際には、玄関に入る前に衣類や髪の毛についた花粉を払い落とし、家の中に持ち込む花粉を抑えましょう。
家の中に入ったら手洗い・うがい・洗顔、それから着替えやシャワーをしてしまうのもよいですね。また、外出中も時々顔を拭いてあげるのもおすすめです。
小まめな掃除や空気清浄機の活用
部屋の中での対策として、こまめな掃除、空気清浄機の設置などが挙げられます。
ワセリンで目や鼻を保護する
ワセリンを目や鼻の周りに塗って花粉の取り込みを抑える方法がありますので、ご紹介します。
使用するワセリンは、精製度が高く不純物が少ない白色ワセリンやプロペト、ピュアホワイトなどです。ワセリンの中でも黄色ワセリンと分類されるものは、精製度が低く肌への刺激が多いため、赤ちゃんや肌の弱い人への使用は控えましょう。
清潔な手指で目のまわりや鼻の穴まわりや鼻の下、綿棒で鼻の穴の内側に薄く塗るだけでOKです。外出前に塗り、帰宅時にティッシュやコットンで拭い、塗り直します。屋内でも3~4時間おきに塗り直しするとより効果的です。
花粉症は一度発症すると毎シーズン症状が出る疾患です。次の花粉シーズンが近づいてきたら早めに受診し、症状が酷くなる前に治療を開始しましょう。
まとめ
今回は、2〜3歳の幼児の花粉症について看護師の新井さんに教えていただきました。
小さい子どもでも、遺伝的要因や環境的要因で花粉症になる可能性があり、最近は発症する子どもが増えているということでした。症状が似ている風邪と花粉症については、鼻水の色や、子どもがかゆみで口や鼻のまわりを掻いているかどうかなどである程度見分けることができるということがわかりました。
大人でも、花粉症の症状はつらいものですよね。お子さんが少しでも楽に過ごせるよう、なるべく花粉を吸い込まないようにする工夫をご家庭でしてみて下さいね!
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この記事を書いた人
長野県立大学グローバルマネジメント学科2年の学生ライターです。こどもについてもっと知っていきたいです!