看護師に聞く!子どもが蕁麻疹(じんましん)を発症した時の対処法

子どもが急に「蕁麻疹(じんましん)」を発症したら、親としては心配になるものです。

赤い発疹や痒みが特徴のこの症状は、何が原因で、どう対処すればよいのでしょうか?

この記事では、子どもの蕁麻疹について、看護師にインタビューしました。

専門的なアドバイスを通じて、家庭でできる対処法や予防策について知り、皆さんにとって実用的なヒントとなることを願っています。

みらいく早苗町 病児看護師
奥田ゆうか先生
病児保育室おひさまに入職して三年目。お子様の安心と健康のため、笑顔と優しさを大切に、一人ひとりに寄り添った保育看護を行っています。

蕁麻疹(じんましん)とは?

小川

蕁麻疹(じんましん)とは、具体的にどのような病気で、どのような症状が出るのでしょうか?

ゆうか先生

蕁麻疹は、皮膚に突然発疹が現れる病気です。

皮膚の赤みとぷっくりとした腫れが見られ、むくみや痒みを伴いやすいのも蕁麻疹の特徴です。

蕁麻疹の皮疹(皮膚の病気)は、数分から数時間で症状が自然に収まることも多いです。

時折、長期間持続することもあり、日常生活に負担がかかる可能性があります。

慢性のものでは、数か月から数年悩まされる蕁麻疹もあるようです。

ゆうか先生

蕁麻疹の種類は、原因がはっきりしている『刺激誘発型の蕁麻疹』か、直接的な原因がはっきりとわからない『特発性の蕁麻疹』であることが殆どです。

その他に特殊なタイプの蕁麻疹や他の病気が隠れていることもありますので、自己判断せずに医療機関への受診をお勧めします。

蕁麻疹(じんましん)の原因 

小川

蕁麻疹の一般的な原因にはどのようなものがありますか?

ゆうか先生

蕁麻疹と上手に付き合うには原因を知ることが大切ですが、原因が特定できる蕁麻疹は、一般的に全体の1~3割ほどで、多くの場合は原因がはっきりわからないと言われています。

【蕁麻疹の原因】 

  • 魚介類や卵などの食品による食物アレルギー
  • イチョウやウルシといった植物、蜂や蟻などの昆虫によるアレルギー
  • 抗生剤や解熱剤など薬剤性によるアレルギー
  • 汗をかくことによるコリン性蕁麻疹
  • 肌を引っかく、冷たいものや空気に触れる、日光を浴びる、圧迫するなど肌への刺激がきっかけになる

物理性蕁麻疹:はっきりとした原因がわからない特発性蕁麻疹 

※蕁麻疹の大半はこちらに分類されます。

蕁麻疹(じんましん)の治療 

小川

では、蕁麻疹の症状が出た時の治療や対処法について教えていただけますか?

ゆうか先生

蕁麻疹などの皮膚の症状が出たら、まずは医療機関に受診しましょう。

【蕁麻疹の治療】 

  1. 原因を特定します。
  2. 蕁麻疹の原因となるものをなくし、それを避ける生活をします。
  3. 薬物療法として抗ヒスタミン薬を中心とした薬を使い、重症な蕁麻疹には、ステロイド薬などを使うこともあるようです。
小川

医療機関に受診する際に、何か気を付ける事はありますか?

ゆうか先生

蕁麻疹は、形や大きさ、問診、血液検査、皮膚テストなどにより診断されますので、発疹や蕁麻疹を疑うような皮膚の症状が現れた時の写真を撮り、記録に残すとよいと思います。

【医師に伝えるとよいこと】

  • 写真(画像)の記録
  • いつから始まったか
  • いつまで続いたか
  • 見た目や場所はどうか
  • 痒みがあるか
  • 何か蕁麻疹を起こすようなきっかけはなかったか
小川

ヒスタミンという物質と蕁麻疹の関係について詳しく教えてください。

ゆうか先生

ヒスタミンは、アレルギー反応や炎症の際に体から放出される化学伝達物質で、皮膚の発疹や痒みを引き起こします。

サバなどの食品にはヒスタミンが多く含まれていて、過剰に食べすぎることにより、蕁麻疹が出ることもあります。

蕁麻疹(じんましん)を予防するために親ができること

小川

子どもの蕁麻疹を予防するために、親ができることはありますか?

ゆうか先生

子どもの蕁麻疹の予防において、親の役割は大切ですね。

しかし蕁麻疹は、原因がわかるものは少なく、予防することはとても大変です。

そこで親が気を付けるとよいことについて、お話したいと思います。

【日常において気を付ける事】

  • アレルギー反応を起こしやすい可能性のある食材や薬剤を使う時は、注意を払う。
  • 皮膚を健康に保つ。普段から小まめなスキンケアを行う。
  • 皮膚の露出を最小限にする。外出時は長袖・長ズボンなど、虫刺されや、植物との接触を少なくする。
  • 皮膚への負担を少なくする。衣類は化学合成繊維のものは避け、洗濯や身体を洗う時に使う洗剤は、低刺激のものにする。
  • 食生活の見直しや工夫をして、ヒスタミンなどを多く含む食材や化学物質を多く含んだ食品を取りすぎないようにする。

参考:ヒスタミンを多く含む食材・・・発酵食品・青魚・チョコレート・ナッツ類・加工肉など
※「過剰な取りすぎに注意する」という事であり、食べてはいけないという事ではありません。適量をお取りください。

【蕁麻疹が出た時】

  • 一時的に痒みが和らぐ効果があるため、蕁麻疹の出ているところを冷やす。
  • 肌への刺激を最小限に刺激の少ない衣類を選び、服の擦れや締め付けがないなど、肌に負担をかけないようにする。掻きすぎてしまわないよう気を付け、熱いお風呂にも入らないようにする。
  • 規則正しい生活を心がける。休息や睡眠をよくとり、ストレスや疲れをためないようにする。
  • 蕁麻疹が出るタイミングや原因となるものを記録しておく。

蕁麻疹(じんましん)についてのよくある質問(FAQ)

小川

子どもの蕁麻疹に関して、保護者からよくある質問をいくつかお聞きしたいです。

Q.夕方から急に発疹が出て痒がっている場合、すぐに受診した方がよいですか?

ゆうか先生

発疹の状態にもよりますが、基本的には、皮膚の痒みや発疹が身体の一部分だけで、唇や瞼の腫れ、呼吸の辛さや、お腹の痛みなど、他の症状がなければ、まずは冷やしてみましょう。

冷やすことで症状が落ち着き、眠れるようなら、様子を見てもよいと思います。

しかし、痒みが強くて眠れない場合や、発疹が急速に広がる場合、夜間でも受診することをお勧めします。

Q.蕁麻疹が出た時に特に注意すべきことはありますか?

ゆうか先生

はい、蕁麻疹は皮膚にできるイメージがありますが、重症化すると気管や腸の粘膜にも起こります。

瞼や唇の腫れ、のどの症状(痒みや声のかすれ)、お腹の症状(腹痛や吐き気、下痢)、呼吸の異常(ゼイゼイや息苦しさ)などの注意を要する症状がある場合は、速やかに受診してください。

特に、顔色が悪く息が苦しい場合は、救急車を呼んだほうがよいでしょう。

まれに、アレルギー反応が強い場合にはショック状態といって、血圧が下がり、命が危険にさらされる状態になることもあり、救命治療が必要になる場合もあります。

【注意したい症状】

  • 唇や瞼など顔に腫れが出ている
  • 「のどの痒み」や「声のかすれ」など、喉に症状がある
  • 腹痛や吐き気、嘔吐などの消化器系の症状がある
  • ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音や息苦しそうにしている

Q.蕁麻疹が出た時、お風呂に入るのは大丈夫ですか?

ゆうか先生

蕁麻疹は、体を温めることで血の巡りがよくなり、痒みが増し発疹が悪化する場合があるので、避けたほうがよいでしょう。

症状が落ち着いてきてから、低めの温度(体温くらいから30~35℃程度)のシャワーを簡単に浴びるなどし、肌を清潔にします。

部屋の温度や着るものを調節し、涼しくするのもよいと思います。

Q.アレルギーのある食べ物を食べてしまった場合、すぐに受診すべきですか?

ゆうか先生

はい、医療機関にて食物アレルギーの診断が出ており、『原因となる食材を誤って食べてしまった時は速やかに受診する』と医師から指示が出ている場合は、速やかに受診したほうがよいでしょう。

抗アレルギー薬やエピペンを処方されている場合もありますので、内服薬やエピペンなどを症状に合わせて指示通りに使用し、医療機関を受診しましょう。

まとめ

今回は、子どもの蕁麻疹(じんましん)の原因、症状、治療法、そして予防策について看護師の方に話を伺い、学びました。

蕁麻疹は、ヒスタミンの過剰放出によって引き起こされる皮膚の状態で、赤い発疹や痒みが特徴です。

治療には抗ヒスタミン薬や場合によってはステロイド薬が用いられることがあります。また、予防策としては、アレルゲンの原因除去や回避、日常生活での管理が重要です。

保護者が特に注意すべきは、蕁麻疹がある場合は、身体を温めすぎず、肌への負担がかかりすぎないよう注意することです。

発疹以外にまぶたや唇の腫れ、のどの痒み、呼吸困難、下痢などの注意する症状が見られたら、速やかに医療機関を受診しましょう。

この記事が、子どもの蕁麻疹に関する理解を深め、適切な対処と予防策を講じるための助けとなることを願っています。

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この記事を書いた人

小川愛海
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