【看護師に聞く】子どものあせもの原因とは?予防法もご紹介!

汗をかく夏の時期に増える皮膚トラブルのひとつ、「あせも」

症状が重くなり、子どもが痒がったり痛がったりしている姿を見ると、パパママも辛くなってしまいますよね。

「あせも」と一口で言っても実は様々な症状があります。原因・治し方についてや、そもそもあせもなのかどうかの判断に迷う方も多いでしょう。

あせもについて正しい知識があれば、予防ができるのはもちろん、もしもの時も安心できますよね。

そこで今回は、看護師なつみ先生監修のもと、子どものあせもの原因・あせもの予防・対処法についてまとめました!

みらいく高田 看護師
町田なつみ先生
病児保育室「おひさま」に勤務して4年目。病気のときにも、安心して利用してもらえるように、一人ひとりによりそった保育看護を行っています。

あせもとは?

yamada
山田

あせもとはどういうもので、何が原因でできてしまうのでしょうか?

なつみ先生

あせもとは、大量に汗をかいた時、汗の出口である「汗管」が汗に含まれる塩分やホコリで詰まり、皮膚内に汗が溜まって起きる皮膚のトラブルのことを指します。

yamada
山田

汗をかくことが原因のようですが、汗そのものは体に悪いものなのでしょうか?

なつみ先生

汗自体は、体に悪いものではありません。汗は9割が水分、その他も塩分やミネラルといった肌に必要な成分でできています。

汗は皮膚を乾燥から守り、体温を調節するのに役立つほか、体内の毒素や余分な塩分を排出する役割もあります。

子どもは、3歳くらいまでに能動汗腺(汗をかいて体温調整を行う汗腺)が育ち、その数が決まります。

能動汗腺が育たないと、体温調整機能を高めることができませんので、汗をかくことは大切なことです。

あせもの種類と症状

yamada
山田

一口にあせもと言っても、症状は様々あると思います。あせもの種類と、見分けるポイントを教えてください。

なつみ先生

あせもには、汗管が詰まる深さによって症状が変わります。また、あせものようなブツブツができなくても、汗をかいた後、赤く炎症が起こる場合もあります。

代表的なあせも2週類と汗によってできる皮膚トラブルについて説明しますね。

1.水晶様汗疹(白あせも)

なつみ先生

汗の出口が詰まって体外に排出されなくなった汗が、皮膚の浅い層に溜まった状態です。1〜2mm程度の小さな水ぶくれができます。

赤ちゃんに出ることが多く、ほとんどの場合、痛みや痒みなどの症状はありません。気づかないまま2〜3日中に治ってしまうこともあります。

2. 紅色汗疹(赤あせも)

なつみ先生

一般的なあせもです。皮膚のやや深いところで汗が詰まることによって起こり、赤いブツブツが特徴です。チクチクした痛みや痒みが出ることがあります。

脇・首の後ろ・肘の内側・ひざ裏など、汗腺が密集した部位に発生します。赤ちゃんの場合は、おむつをしているお尻・腰や、熱がこもりやすい頭・首、寝具に接している背中に赤色汗疹が発生しやすいです。

3. 汗かぶれ

なつみ先生

汗に含まれているアンモニアや塩分などの成分が皮膚を刺激して、皮膚がかぶれる状態です。かぶれた場所全体に、赤みや痒みが起こることがあります。

赤ちゃんの場合は、皮膚が密着している肘や肘裏などに汗が溜まりやすく、皮膚がふやけて、衣類などの刺激で汗かぶれが起こります。あせもと同様の場所に発生しやすいです。

4.あせもや汗かぶれが悪化すると・・・

あせもや汗かぶれの痒みにより、皮膚を掻きむしったところに細菌に感染することで、「とびひ(伝染性膿膿痂疹)」になる場合があり、注意が必要です。

【とびひの特徴】

・虫刺されやあせもを掻きこわすことから始まることが多い
・痒い
・水ぶくれができ、破れてただれる
・水ぶくれの液が触れた部分に広がる(鼻の穴を頻繁に触ることで鼻の周囲にできることもある)

なつみ先生

とびひを放っておくと、掻きむしって症状がどんどん広がる可能性があります。

乳幼児は、皮膚の角質が薄く皮膚の免疫力が弱いので症状が広がりやすく、悪化しやすいです。

とびひの症状が見られたら、悪化させないために早めの治療が大切です。小児科や皮膚科を受診するようにしましょう。

子どものあせもの原因

yamada
山田

大人よりも子どもの方があせもができやすい印象ですが、何か理由はあるのでしょうか?

なつみ先生

子どもの方があせもができやすい理由は、以下の3つのことが考えられます。

1.汗腺の密度が高い

汗を分泌する汗腺の数は、大人も子どもも変わりません。

そのため、体表面積の小さい子どもは身体の大きさに対して汗腺の密度が高くなっており、大人と同じ量の汗をかいても、子どもの方が汗をかいているように見えます。

2.代謝がよい

子どもは成長と発達の過程にあるため、大人よりも基礎代謝量(基礎代謝を体重で割った数値)が高く、体温調整能力も完全ではないため、発汗量も多くなります。

3.乾燥しやすい

大人と比べると子どもは脂分が少なく、肌が乾燥しやすいです。

肌が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、あせもができやすくなります。

yamada
山田

あせもは汗をかきやすい夏場にできるイメージですが、ほとんど汗をかかないはずの冬でもあせもができる、という声も耳にします。

冬場のあせもの原因は何でしょう?

なつみ先生

冬場は厚着をしたり、保温性に優れた肌着を着たりしますよね。

そういった衣類は通気性が悪く乾きにくいため、少量の汗でも体が蒸れやすくなります。

溜まった汗が蒸発しないことで汗線が詰まり、冬でもあせもができます。

同じように、エアコンやストーブ等で室温を高く設定した部屋で厚着をしていると、汗を多くかいた状態が続くので、注意が必要です。

あせもの予防

yamada
山田

子どものあせも予防のためにできることはありますか?

なつみ先生

あせもを予防するには、汗をかいたままにしないことが大切です。ポイントを4つご紹介しましょう。

1.肌を清潔に保つこと

あせもや汗かぶれが気になっても、強くこするのは避けてくださいね。

汗をかいたらぬるめのシャワーで流しましょう。石鹸の使いすぎは乾燥を悪化させる可能性もあるので、1日1回汗だけでなく全身の汚れを落とすようにしましょう。

また、こまめにおむつを取り替える、肌着を着替えるようにしましょう。

なつみ先生

手を洗う時に、肘まで洗う、濡れタオルで汗をかいた箇所を優しく拭くのもよいですね。

乾いたタオルは摩擦で肌の刺激となるため、避けてください。

2.保湿をする

なつみ先生

乾燥しやすい子どもの肌は、保湿を心がけることで肌のバリア機能を高められます。

特に、石鹸を使って汚れを落とすと、皮膚の表面の必要な油分も一緒に流れてしまうので、季節や皮膚の乾燥に関わらず風呂上りには全身に保湿剤を塗ることが大切です。

特に、汗かぶれは皮膚のバリア機能が低下した時に起こりやすく、繰り返してしまうことが多いので、日々のスキンケアが大切です。

3.汗が乾きやすい衣類を選ぶ

なつみ先生

なるべく肌に汗が残らないように、コットンや麻など、吸水性・通気性に優れた衣類を選ぶことも効果的です。

暑い日は、身体にぴったりした服よりも、空気が通りやすい衣服を選ぶのもよいですね。パジャマのズボンは短いものではなく、ひざ裏の汗を吸収する長ズボンがよいでしょう。

なつみ先生

夏の冷房の聞いた部屋や、冬だと寒くないようにと、子どもに布団をかけすぎていることも多いようです。布団は大人より薄めのものを選ぶとちょうどよいと思います。

特に赤ちゃんはまだ体温調節能力が未熟で、手のひらや足の裏を使って体温調節をしています。布団から手足が出ていて冷たくても、靴下やミトンは使用しないでください。

胴体が温かければ問題ありません。暑いかな?と思ったら、背中に手を入れて汗をかいていないか確認してみてください。汗をかいていなく、さらっとしていたら問題ないでしょう。

なつみ先生

頭や背中の寝汗が気になる子どもには、就寝時にガーゼを挟んであげるのもおすすめですよ。

4.適切な温度・湿度管理をする

室温は20〜24℃くらい、湿度は50%程度を目安に、涼しく快適に過ごせる環境にしましょう。冬場に暖房器具を使う場合は、動いても汗をかかない程度の室温を保ってください。

yamada
山田

保湿剤はどんなものを選べばよいですか?

なつみ先生

子どもも使える低刺激の保湿剤というと、ワセリンを思い浮かべる方が多いかと思います。油分が多く保湿性に優れていますが、あせもができてしまった箇所に塗ると、汗腺をさらに詰まらせてしまう可能性があるので、ワセリンは避けてください。

サラッとしたローションタイプの保湿剤は、塗りやすい上ベタつかず適度に肌の潤いを保ってくれますのでおすすめです。

あせもができてしまったら?

yamada
山田

予防をしていたつもりでも、うっかりあせもができてしまったら、どうしたらよいですか?

なつみ先生

あせもの部位を清潔にして通気性を保てば、自然に治ることがほとんどです。

小さい子どもだと、痒みを我慢することは難しいです。爪を短くして、掻きこわさないようにしましょう。また、患部を濡れタオルやタオルに包んだ保冷剤などで冷やすことで、痒みの症状を緩和させることができます。

あせもと思っていたら、とびひを合併していた、アトピー性皮膚炎だった、ということもあります。皮膚を清潔にしても症状がよくならない、繰り返しあせもができてしまう、痒みを我慢できず掻きこわしてしまった場合は、小児科や皮膚科に受診するようにしましょう。

なつみ先生

特に、月齢の小さな赤ちゃんは、あせもと湿疹の区別がつきにくいです。早めに病院に受診し、健康な皮膚になるようにしていくとよいでしょう。

まとめ

汗は、皮膚を乾燥から守り体温調節をしてくれ、体内の毒素や余分な塩分を排出してくれる大事な役割があります。子どもの場合は、3歳くらいまでに能動汗腺が育ちますので、汗をかくことを極端に避けすぎないようにしましょう。

あせもを防ぐために大切なことは、汗をかいたらそのままにしないことと、日々の肌の保湿ケアです。

あせもは自然に治ることがほとんどですが、皮膚を掻きむしって悪化するととびひになることもありますので、あせもができた後は注意して見て、必要に応じて病院を受診するにしましょう。

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この記事を書いた人

yamada
山田怜奈
長野県立大学グローバルマネジメント学科2年の学生ライターです。こどもについてもっと知っていきたいです!

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