薄着になるこの季節、子どもが自然の中で遊びを楽しむ一方で、保護者が気になる「虫刺され」。
皮膚が薄くまだ免疫システムが未熟な2歳前後の子どもたちは、大人よりも虫刺されによる影響を受けやすいです。蚊や蜂、蜘蛛などによる虫刺されは、場合によっては重篤な症状に発展することもあります。
そこで今回は、虫刺されの初期対応と予防法について、学生ライターの山田が看護師の三橋先生にお話を伺いました!
小児科病棟勤務、子育てを経験し、病児病後児保育『おひさま』に入職。 保護者の方が困った時に頼れる存在となれるように、また子どもたちが少しでも安心して笑顔で過ごせるように心掛けています。
目次
2歳児の虫刺されが危険な理由
まず、虫刺されの危険性について教えていただけますか?
虫刺されが危険視される最も一般的な理由は、「アレルギー反応」です。
一部の人々は、特定の虫の唾液に対して過敏反応を示すことがあり、これが腫れやかゆみ、そして最悪の場合は生命を脅かす事態を引き起こします。
特に蜂に刺された場合、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性が高くなるため、注意が必要です。
更に、乳幼児はかゆみを感じた際に我慢することが難しいため、刺された患部を掻き壊してしまい、傷口から細菌感染を起こし「とびひ」になることがあります。
症状としては、水ぶくれやかさぶたなどがあります。
とびひは感染力が強いので、とびひになった部位を触った手で他の部位を引っ掻くと身体のあちらこちらに広がります。
また、人から人へも感染するため、早期の治療が必要となります。心配な場合は医療機関に受診しましょう。
無意識に患部を掻いてしまうことはよくあるので、怖いですね。
では、2歳前後の子どもが虫刺されによる影響を受けやすいのはなぜでしょうか?
主に2つの理由があります。
一つ目は、子どもの皮膚は大人よりも薄く敏感であるため、虫刺されによる腫れやかゆみなどの症状が強く出やすいということ。
二つ目は、子どもの免疫システムがまだ未熟なため、アレルギー反応が出やすい、あるいはその反応が予測しにくいということです。
子どもが虫に刺された時の初期対応
2歳の子どもは虫刺されによる影響を受けやすいということですが、刺されてしまったら、どのような初期対応を行うべきなのでしょうか?
虫に刺された時の基本的な初期対応は以下の通りです。
【虫に刺された時の基本的な初期対応】
① 刺された部位を石鹸と流水で優しく洗います。
② 濡れたタオルや保冷剤で冷やします。保冷剤を使用する場合は、直接皮膚にあてずにタオル等で包んであててあげましょう。冷やすことで、かゆみや痛み・腫れを落ち着かせる効果があります。
③ 虫刺されの塗り薬などを使用しましょう。
また、刺された部位を掻き壊してしまわないように、爪を短く切っておくことも大切です。
蜂に刺された場合は、以下の流れで慌てずに落ち着いて対応しましょう。
【蜂に刺された時の初期対応】
① 刺された部位に針が残っていたら、ピンセットを使い根元から抜くか、なければクレジットカードなどで針を払い落とすように抜きましょう。
② 刺された周囲を指や爪を使ってつまみ、毒を絞り出します。毒を吸い上げる「ポイズンリムーバー」も市販されているので、常備しておくのもよいですね。昔は口で吸い出すこともありましたが、口内に毒が入ってしまうのでやめてください。
③ 刺された部位を流水と石鹸で優しく洗いましょう。蜂の毒は水に溶けやすい性質を持っているため、しっかりと洗い流すようにしてください。海や川に行って近くに蛇口がない場合は、ペットボトルの水などがよいと思います。傷口に塩や雑菌をつけるのは推奨されません。
④ 濡れたタオルや保冷剤で冷やし、安静にして過ごしましょう。
一度蜂に刺されると蜂の毒に対して抗体が作られます。
そのため以前に刺されたことのある同種の蜂に再び刺されると、抗体が体内で過剰に反応して吐き気やめまい、じんましん、息苦しさなどのアナフィラキシー症状を引き起こすことがあります。
これは、2回目だけでなく初めて刺された時に起きることもあり、刺されて30分以内に症状が出ることが多いです。
子どもは何の虫に刺されたか判断することが難しい場合が多く、虫によってもその症状や対処法は異なります。
虫に刺されてしまったあとは、全身の様子も観察し、心配なことがあれば医師の診察を受けましょう。
なるほど、刺された直後の処置としては、患部を清潔に保つことと冷やすことが大切なのですね。
それでは、どのような症状が出た時に医療機関に相談すべきでしょうか?
次のような場合は、皮膚科または小児科などの医療機関を受診しましょう。
【医療機関受診の目安】
- 大きな腫れや発疹が体の広範囲に広がっている
- 刺された部位が極端に赤くなり、熱を持つか痛みがある
- かゆみが強く、掻きむしってしまう
- 刺された部位の痛みや腫れなどの症状が悪化してきているか、一週間以上治らない
更に、下記のようなアナフィラキシー症状が見られる場合は、救急車を呼びましょう。
【救急車を呼ぶ目安】
- 呼吸が苦しそうでゼイゼイしている
- 意識がもうろうとする
- 吐き気やめまいがある
何も問題なさそうに見えても急に症状が出ることもあるので、子どもが虫に刺された場合は、その後の数時間から数日間は経過観察を続けることが大切です。
虫刺されの予防法
それでは最後に、虫刺されの予防法について教えてください。
虫刺されの予防法はいくつかあります。
夕方以降は肌の露出を避ける
虫は日が暮れてから活動が活発になるため、夕方以降は長袖のシャツ、長ズボン、帽子などを着用し、肌の露出を避けるとよいでしょう。また、黒い服や花柄の服は虫が寄りやすいため避けることが好ましいです。
虫よけスプレーやクリームを使用する
これらの製品は、虫が嫌う成分を含んでおり、虫を寄せ付けない層を肌の上に作ります。ただし、2歳未満のお子さんに対しては成分が強すぎることもあるため、小児用の製品を使用するか、使用前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
日焼け止めと併用する場合は、日焼け止めをつけてから虫よけを使うと効果的です。
虫が集まる場所を避ける
虫は特に湿った場所や植物が生い茂った場所を好むので、そのような場所への立ち入りは控えましょう。
蜂の巣に近づかない
蜂を追い払う行動は、蜂を興奮させてしまい、刺される危険があります。蜂に遭遇した場合は静かにその場から離れるようにしましょう。
具体的な予防法を教えていただき、ありがとうございます。保護者としては、なるべく子どもが虫に刺されることのないように、これらの方法を日常生活に取り入れることが重要ですね。
まとめ
今回は看護師の三橋先生に、2歳の子どもが虫に刺された時の初期対応と、日々の予防法について教えていただきました。
初期対応としては、まず刺された部位を清潔に保つことと、冷やすことが大事です。子どもはかゆみを我慢することが難しく、患部を掻き壊してしまって「とびひ」になる可能性もありますので、冷やしてかゆみを軽減させてあげましょう。
さらに、場合によっては子どもだけでなく大人もアナフィラキシー症状など強いアレルギー反応を示し、命が危険にさらされることもあります。全身に症状が出た時や、症状が改善せず患部が悪化している時には、すぐに医療機関の受診が必要となります。
虫刺されの予防としては、長袖の服を着る、虫よけ製品を使用する、虫が集まる場所を避けるといった基本的な対応が、子どもを守ることにつながります。
毎日の生活の中で子どもたちに意識づけを行い、楽しく安全に自然の中で遊んでもらえるとよいですね。
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この記事を書いた人
長野県立大学グローバルマネジメント学科2年の学生ライターです。こどもについてもっと知っていきたいです!