突然子どもたちが喧嘩(ケンカ)を始めたら、どのように対応したらよいのか慌ててしまうことがあると思います。
ケンカは、子どもが社会の中で生きるために必要な経験の一つですが、同時に、その時の対応の仕方によっては子どもの意識や対人関係にネガティブな影響を与えてしまう恐れもあります。
そこで今回は、子どもがケンカからどのようなことを学ぶのか、そして大人が子どもにどのような援助をしたらよいのかを、私、学生ライターの小川が保育士のしおり先生にインタビューしました!
しおり先生
埼玉の保育園に6年間勤め、結婚を機に長野へ移住。みらいく県町に勤めています。子どもたちの気づき・発見に寄り添い、思いを受け止めながら、笑顔溢れる楽しい日々を過ごせるよう保育に努めています!
目次
子どもたちの間でケンカが起こる原因
未就学児の間では、一般的にどのような原因でケンカが起こるのでしょうか?
原因はさまざまですが、一般的には、言葉による自己表現の困難さ、感情管理の未熟さ、所有権の概念の理解不足、そして他の子どもとの交流経験の不足が挙げられます。
それらがどのようにケンカにつながるのですか?
未就学児は、自分の思いや感情を言葉でうまく伝えることが難しいことが多いです。
その結果、彼らは自分の意志を伝えるために、行動や身体的な接触を用いることがあります。
これがケンカの一因となります。
こどもたちはまだ自分の感情を適切にコントロールする方法が未熟なため、怒りっぽくなりやすいです。
未就学児は、自分の感情や「こうしたい」という意志を他人に理解してもらうこと、そして思いやりの気持ちを持って他人の感情や意志を尊重するということを、学び始めたばかりの段階なのです。
さらに、所有権に関する理解も未熟です。
自分のものと他人のものの違い、みんなで使うおもちゃや道具を「共有する」という意味を完全に理解していないため、その利用をめぐってケンカが起こることがあります。
ケンカが子どもの成長にもたらす影響
ケンカをすることは、子どもが社会性を学ぶ上で大事な経験であると理解できました。
では、具体的にどのような学びや影響があるのでしょうか?
それは、ケンカの状況や、その時の子どもの対応による部分が大きいです。
まず、ポジティブな側面から見てみましょう。未就学児がケンカを通じて学ぶことは多々あります。
その一つが問題解決能力です。
彼らはケンカの中で、自分の感情を制御し、自分の意見を伝え、他の子どもの意見を理解する方法を学びます。
これは一生使えるコミュニケーションスキルであり、社会的な相互交流における重要な基盤となります。
問題解決能力が身につくのはよいですね。では、ネガティブな側面はどうでしょうか?
自分の気持ちを認めてもらえないことが続いた時には、ストレスを生み出すことがあります。
特に、ケンカが頻繁に起こる場合や、物理的または感情的に過度なものである場合、子どもは不安や恐怖を感じやすいです。
また、友人関係が悪化し、社会的な孤立を感じることもあります。それによって、対人関係に苦手意識を持つようになるかもしれません。
それは深刻な問題ですね。だからこそ、大人が適切にサポートすることが、子どもたちの健全な成長の助けになるのですね。
その通りです。未就学児のケンカは避けられない体験であり、社会的な学習機会と言えます。
そして、そのケンカに適切に対応することで、生きていく上で大事な能力を身につけ、不要なストレスや対人関係のトラブルを避けることが可能になります。
子どものケンカの適切な対応方法
未就学児のケンカに対する保護者の適切な対応方法について教えていただけますか?
物理的なケンカと感情的なケンカに分けてご説明しましょう。
物理的なケンカであれば、子どもたちを別々にし、直ちに安全を確保します。その後、冷静になる時間を設け、それぞれの子どもが感じていることや思っていることを話す機会を与えます。
一方、感情的なケンカの場合は、子どもたちが自分の感情を適切に表現できるようサポートすることが重要です。例えば、子どもが興奮している場合、保育者が子どもの気持を受け止め代弁することや、その感情を言葉で表現する方法を教えます。
その上で、具体的な対応方法はどのようなものがありますか?
大人がお手本となり、適切な行動を示すことが重要です。
大人が冷静であればあるほど、子どもも同じように冷静になる可能性が高まります。問題が発生した場合、感情を認識し、理解し、表現する方法を大人が教えることです。
また、子どもが自分自身の感情や他人の感情を理解することができるように、感情に名前を付けることも役立ちます。
そして、共感の表現や、他の子どもの視点を理解する能力を育むことも大切です。
子どもが他者との対立を経験することは避けられません。しかし、それを通じて他者への配慮や問題解決能力を身につけることができます。
保護者は、子どもたちがこれらのことを習得できるよう、適切なサポートをすることが求められます。
保護者が子どもの対人関係をサポートする方法
最後に、子どもがなるべくケンカせずに友達と良好な関係が築けるよう、保護者が心掛けることがあれば教えてください。
良好な関係を築くには、相手の気持ちを理解することと、社会的スキルの育成が不可欠です。保護者が子どもに共感的な態度や思いやりの心を教えることは、その基礎となります。
また、適切な行動を大人がお手本となって示すことも重要です。子どもたちは、親や他の大人がどのように問題を解決し、他者との対立を乗り越えるかを見て学びます。
友情の価値を教え、友達を作る楽しさや友達との遊び方を示すことも大切です。
さらに、子どもが他者と適切に関われるようになるためには、子ども自身の感情を認識し、理解し、適切に表現する方法を教えることが役立ちます。これにより、子どもは同じように対応することができます。
具体的に、保護者は日々の生活の中でどのような行動を取ればよいでしょうか?
保護者と子どもの関係性がとても大切です。日常的に、感情や行動について話してもらう機会を作るとよいですね。
例えば、一日の終わりに「今日、保育園ではどんなことが楽しかった?」「友達とケンカした時、どう感じた?」などの会話をすると良いでしょう。これにより、子どもは自分自身の感情を認識し、それを言葉で表現する方法を学びます。
また、共感的な態度を示すことは、保護者が行うべき重要な行動の一つです。子どもが他者の視点を理解し、他者の感情に共感する能力を育てることが、良好な対人関係の構築につながります。
子どものケンカは、必ずしも避けるべきではないという事実を再認識しました。他者への配慮や社会的スキルを育てる、重要な機会なのですね。
記事のまとめ
未就学児のケンカの原因は、自己表現の困難さや、交流経験の不足から起こることが多いということでした。
そして子どものケンカには、自己主張の方法や問題解決能力の育成につながる大事な経験を積める側面と、時に子どもの中にストレスや対人関係への苦手意識を与えてしまう可能性もあるとわかりました。
保護者としてできることは、ケンカに対し適切に対応し、子どもたちが良好な対人関係を築くために必要なサポートすることです。具体的には、普段から感情や行動についての会話を子どもとすること、大人がお手本となって子どもに共感的な態度を示すことなどが挙げられます。
ケンカは成長過程で避けられない経験であり、相手を思いやり、適切な対応を学ぶ機会でもあります。過剰に避けることはせず、子どもが良好な対人関係を築くことができるよう、サポートしていきましょう。
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この記事を書いた人
小川愛海
子育てに役立つ情報を取材していきます。