入園する保育園が決まっても、子どもを最初から丸一日、保育園に預けるわけではありません。子どもたちがスムーズに園に馴染めるよう、慣らし保育期間というものがあります。
実はこの慣らし保育、子どもだけでなく保護者や保育士にとっても大切な意味があります。
今回はその目的や注意点について、みらいく早苗町副主任のゆうき先生にお聞きしました。
保育園に通い始めの子どもへの関わり方や、慣らし保育の重要ポイントをしっかり押さえておきましょう!
ゆうき先生
2歳児クラスの担任をしています。子どもの目線に立ち、それぞれの思いを受け止めたり、共有することを大切にし、後ろ向きな感情にも一緒に向き合いながら寄り添う保育をしています。
日々子どもたちに刺激をもらいながら、楽しく保育をしています。
目次
慣らし保育をする目的
「慣らし保育」とは何ですか?また、慣らし保育をする目的を教えてください。
慣らし保育とは、はじめて保育園に行く子どもが「保育園とはどんなところなのか」を知るために、本格的に保育園に通う前に、短く預けて慣らしていくことを言います。
慣らし保育をする目的は、大きく4つあります。
目的①子どもが保育園に慣れるため
1つ目が先ほどお伝えした通り、「子どもが保育園に慣れるため」です。これまで保護者とずっと過ごしてきた子どもにとって、保育園は未知の世界です。
はじめて保護者と離れる体験は、子どもに不安や緊張・ストレスを与えることになります。そこで、いきなり丸一日預けるのではなく、少しずつ保育時間を増やすことで慣らしていきます。子どもが安心して園で過ごすため、慣らし保育は欠かせません。
目的②保育園での生活リズムをつくるため
2つ目が「保育園での生活リズムをつくるため」です。保育園は集団生活の場です。決まった時間にみんなでお昼ご飯を食べ、お昼寝をし、遊びます。
これまでのご家庭での生活リズムと変わるため、集団生活のリズムを新たにつくることも大きな目的です。
目的③信頼関係をつくるため
3つ目が「信頼関係をつくるため」です。慣らし保育という準備期間中に、保育士が子どもや保護者と積極的にコミュニケーションを取ることで安心感を与え、少しずつ信頼関係をつくっていくことができます。
保育士も子どもへの理解を深められ、子どもの性格に合わせた関わり方が可能になります。
目的④保護者が子どもを預けるのに慣れるた
4つ目が「保護者が子どもを預けるのに慣れるため」です。保護者の方も、大切な我が子を他所へ預けることははじめての経験かもしれません。
慣らし保育期間に子どもが保育士と仲良くなったり、遊具やお友達と楽しそうに遊んだりする場面を見れば、保護者も安心して預けられるようになります。
なるほど、保護者のためでもあるのですね。
慣らし保育はいつから始める?
慣らし保育ができるのは、生後何か月からですか?
保育園によって異なります。早くて生後2か月後から預かる園もあるようです。中には1歳児から預かるところもあるので、保育園に確認してみましょう。当園では生後6か月から預かります。
4月1日の新年度から預かる場合などは、慣らし保育は3月中から始まりますか?
自治体によって違います。4月入園の場合、3月から慣らし保育が始められる自治体もあれば、4月からでないと預かれないという自治体もあります。
慣らし保育の期間・スケジュール・過ごし方
慣らし保育の期間はどのくらいですか?
地域や保育園によって異なります。
短いところだと1週間で慣らして、翌週から本格保育が始まります。長いところだと丸1か月かけて慣らす場合もあります。保育園に確認しましょう。
当園では基本的に2週間程度ですが、保護者と相談して短くすることもあります。
慣らし保育を始めたばかりの頃は、1日何時間ほど保育しますか?
最初は1~2時間の短い保育から始めて、徐々に午前保育、お昼寝までの保育、終日保育と時間が増えていきます。
慣らし保育中のスケジュールを教えてください。
地域や保育園によって異なりますので、あくまでも一例ですが、当園の慣らし保育中のスケジュールをご紹介します。
- 1~3日目:午前中の2時間保育(9:00~11:00)
- 4~6日目:お昼ご飯までの保育(9:00~12:00)
- 7~8日目:お昼寝までの保育(9:00~15:00)
- 9日~10日目以降:夕方までの保育(9:00~16:00)
くわしくは、保育園にお尋ねください。
慣らし保育中の過ごし方
慣らし保育中の子どもの具体的な過ごし方が知りたいです。
「おやつを食べる」「お昼ご飯を食べる」「お昼寝をする」などをし、月年齢に合った遊びをしていきます。
慣らし保育中は、すでに通っている子どもたちと同じことをするのですか?
制作などの活動はまだ取り入れません。在園児と外に行ったり、部屋でお絵かき・粘土遊びなどをしたり、自由遊びは一緒にします。
慣らし保育期間中の注意点
慣らし保育を始める保護者の方が、あらかじめ知っておいた方がよい注意点はありますか?
自宅では親子の時間を積極的に作る
慣れない環境で過ごすのは、大人でも疲れますよね。おうちに帰ったら、頑張った子どものことをたくさん褒めて、スキンシップを取ってもらいましょう。
やさしくなでたり、ぎゅっと抱きしめたり、「頑張ったね」「えらいね」と褒めたりすることで、子どもは保護者と離れていた寂しさが解消され、気持ちも満たされます。
預けるときは保護者も笑顔で離れる
最初は保護者の方も不安なため、預けるときに後ろ髪を引かれてしまうことがあります。そうすると、なかなか子どものそばから離れられず、結果的に子どもがギャン泣きすることもしばしばです。
反対に、保護者が笑顔ですぐに立ち去った方が、子どもはケロッとしているものです。子どものためにも、保護者の方も「笑顔で見送る」ことが大切です。
子どもの体調不良に備えておく
慣れない環境で子どもが体調を崩してしまった時は、どうすればよいでしょうか?
慣れない環境へのストレスや緊張などから、子どもが体調を崩してしまうことはよくあります。ほとんどの子が体調を崩すと考えた方がよいでしょう。その時は速やかに保護者に連絡をし、迎えに来てもらいます。
そのため事前に保護者に対し、発熱などで急なお迎えが必要なケースもあることを伝えています。
発熱で慣らし保育の期間が十分に取れない時には、保育園や保護者の意向をふまえて、慣らし保育の期間を延長することをお願いする場合もあります。
また、入園前に一時預かりなどの経験がある子どもの場合は、慣らし保育をせずに預かるなどその子どもに合わせた対応を親御さんと話し合って決めています。
まとめ
大切な子どもと離れるのは、保護者としても不安なものです。しかし、保護者が心配ばかりしていると、子どもに伝わり、余計に子どもを不安な気持ちにさせてしまいます。
慣らし保育の目的や重要性をしっかりと理解し、笑顔でお子さんを見送ることがポイントです。
初めての集団生活をする子どもにとっても、慣らし保育は大切な時期。早く安心して保育園に通えるよう、明るくサポートしましょう!
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この記事を書いた人
長野県立大学健康発達学部こども学科1年の学生ライターです。大学では日々保育について勉強中。少しでも子育ての役に立つような情報をお届けしたいと思っています!