食に関して関心を高め、正しい知識を育む「食育」は、今や大事な保育のひとつです。
そして食について学ぶ一番の近道の一つは、やはり「料理を一緒に作って食べること」ではないでしょうか。
一緒にごはんを作れば、子どもが直に食材に触れることができますし、野菜やお肉を切ったり炒めたりして、さまざまな調理の工程を知ることができますよね。
ですが、料理を一緒にする際、最初に心配になるのが「包丁の扱い」について。「子どもが興味を持ち始めたら持たせてもよいの?」「どんなことに注意したらよいの?」そんな包丁に関する疑問を、保育を学ぶ学生が栄養士の松島先生に質問してくれました。
この記事を読むと、次の3つのことがわかります。
- いつ頃どんな包丁を選ぶとよいか
- 子どもに包丁を使わせる際に伝えておくべきこと
- 子どもに包丁を使わせる際に大人が注意すべきこと
包丁の扱いに関する注意点やコツを知って、楽しく食育を進めましょう!
松島りお
子どもの食を支えていきたいと思い栄養士を目指しました。給食や食育活動を通して食の大切さを伝えられるように
日々業務に取り組んでいます。
目次
いつ頃どんな包丁を選んだらよいの?
お店へ行くと、子ども用の包丁や、手が切れない包丁など、さまざまなタイプの包丁が売っているのを見かけます。どんな包丁を用意したらよいか、迷ってしまいますね。
確かに、お店に行くといろいろな包丁が置いてありますね。
ですが、実際のところ「危ないから」という理由で、ご家庭で子どもに包丁を使わせる機会はあまりないのではないでしょうか?
言われてみれば、幼い頃に家で包丁を使わせてもらった記憶はそこまでないかもしれません。おままごとセットで「ごっこ遊び」はしましたけど…。
そうですよね。親御さんとしても、「どのようなタイプの包丁」を「どのタイミング」で子どもに使わせ始めるかが分からないのかもしれません。
では、初めて子どもに包丁を持たせる場合、いつ頃どんな包丁を選ぶとよいのでしょうか?
まずは「おままごと用」の包丁から
実は、先ほどおっしゃっていた「ごっこ遊び」は重要です。子どもの「使ってみたい!」という気持ちを大切にして、まずはおままごとで使うおもちゃの包丁を使って扱い方を学んでいくことをオススメします。
子どもがおもちゃの包丁の扱いに慣れてきたら、おもちゃの包丁で豆腐やバナナなど、柔らかい食材を実際に切ってもらいましょう。おもちゃの包丁を使えば、手を切ってしまうなどの危険なく、本物の食材を切る楽しさや面白さを味わってもらえます。
なるほど、最初はおもちゃの包丁を使って、擬似体験させるのですね。
「子ども用」の包丁を使ってみる
そうです。おもちゃの包丁で柔らかいものを切ることに慣れてきたら、子ども用の安全に使えるように設計された包丁を使い、さまざまな食材を切ってもらいましょう。
子ども用の包丁がなければ、バターナイフやカトラリーナイフでも大丈夫です。この段階に入ったら、安全性は高いとはいえ、多少けがをするリスクも出てくるので、必ず近くに大人がついて見守るようにしましょう。
子ども用と言えども、柔らかいものだけではなく少し固い食材も切れる包丁ですので、いろいろな固さの食材を切ってみることで、より「切る」感覚が楽しくなってくると思います。
「子どもの手に合う大人用」の包丁を使ってみる
子ども用包丁で切ることに慣れてきたら、子どもの手に合う大人用包丁を持たせてみてもよいかもしれません。
ただ、保育園や幼稚園に通う年齢の子どもであれば、基本的には子ども用包丁が使える段階までいければ十分です。
【包丁に慣れるステップアップ方法】
- おままごと用の包丁を使って、包丁の扱い方に慣れる
- おままごと用の包丁で、豆腐やバナナなどの柔らかい食材を切る
- 子ども用の安全に設計された包丁で食材を切る
- 子どもの手に合う大人用の包丁を持たせてみる
包丁を使う際の注意点をしっかり伝えよう
包丁を使う際に子どもに伝えておくべきことや、大人が気をつけた方がよいことがありましたら教えてください。
まず子どもには、けがをしてしまう可能性があるので、包丁を人に向けたりふざけて使ったりすることがないよう約束をしましょう。大人が気をつけることとしては、特に大人用の大き目の包丁を使わせる場合には、子どもの手と包丁のサイズが合わないので、絶対に目を離さないようにしましょう。
保育園で包丁を使う時には、どのように対応していますか?
必ず保育者が一緒に行うようにしています。先ほど言ったように、子どもたちにはふざけて包丁を使うことがないようにしっかりと伝えます。
さらに、包丁の扱い方について細かいルールを設け、わかりやすく示すことで子どもたちがけがなどしないように心がけています。
例えば、包丁の使い方についてイラストにしたものを用意し、言葉だけではなく視覚でも使い方がわかるようにすると、子どもたちがより理解を深めることができます。
保育園によっては、保護者参観の時に子どもたちに包丁を使わせる場合もあります。保護者参観時であれば、たくさんの大人が子どもたちを見守っているので、けがのリスクが軽減できるからです。
包丁を使う際の注意点について、下記にまとめましたので、参考にしてください。
【ご家庭の場合】
子どもに伝えておくこと
- 保護者などの大人の人と一緒に使う
- 人に向けるなどふざけて使わない
保護者など大人が配慮すること
- 目を離さないように注意する
- できるだけ協力してくれる人がいるときにやる(難しい場合は包丁の管理には気をつける)
【保育園での対応】
子どもに伝えておくこと(ご家庭での場合に追加して)
- 包丁の扱い方についての細かいルール
保護者など大人が配慮すること(ご家庭での場合に追加して)
- イラストを使った包丁の扱い方
- 包丁を扱いやすいように配慮
最後に、大人が心配しすぎて子どもがチャレンジして貴重な経験ができる機会を奪ってしまうことがないよう、気をつけましょう。
子どもが進んでやりたがるようであれば、危なくないよう配慮しながらやらせてあげましょう。子ども自身にやり遂げた達成感を味わってもらうことも大切です。
しっかり見守りながらも、子どもの「やってみたい!」という気持ちを尊重することが大事なのですね。危なっかしいのでつい手出しをしてしまいそうになりますが、子ども自身がやり遂げられるよう、応援する気持ちを忘れないようにします。
まとめ
子どもに包丁を使わせる際には、まずおもちゃの包丁から始めて、徐々に子ども用の包丁に移行するというように少しずつステップアップさせていくと良いということが分かりました。
また、子どもに本物の包丁を持たせる時は、けがをしないよう包丁の扱い方について家庭で細かなルールを事前に決めておきましょう。
子どもと一緒に料理をする大人も、子どもの好奇心を尊重し、先回りしてむやみに手伝いをしすぎないようにする配慮が必要です。
一緒に料理をしてごはんを食べることは、子どもと親御さんとの貴重なコミュニケーションの時間にもなります。食材に触れさせて作ってくれた人のことを想像してもらったり、どういう切り方だと食べやすいかを考えてもらったりと、さまざまな視点で子どもに問いかけて、楽しく「食育」を進めましょう!
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この記事を書いた人
長野県立大学グローバルマネジメント学科2年の学生ライターです。こどもについてもっと知っていきたいです!