保育士になるための「保育実習」とは?内容やスケジュール、注意点について解説します!

保育学校(保育士養成施設)を出て保育士になるためには、保育園や保育施設での実習が必須です。
しかし、いきなり保育実習といわれても、どんなことをするのかがわからず不安な方もいらっしゃいますよね。

そこでこの記事では、学生が現役保育士のやよい先生に「保育実習」の概要や準備の仕方についてインタビューしました。

やよい先生の実体験からのアドバイスもありますので、これから保育実習を控えた学生さんや、保育士を目指そうと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

やよい先生
みらいく高田副主任
高田やよい 
みらいくに入職して5年。2人の子育てをしながら働いています。自身の子育てに悩みは尽きませんが、かわいいみらいくの子どもたちに癒されながら、毎日愛情120%!!楽しく過ごしています。

保育士になるための「保育実習」ってどんなことをするの?

takahashi
高橋

保育士という仕事に興味があります。保育士になるためには「保育実習」が必須と聞きました。保育実習とは、一体どんな内容なのでしょうか?

やよい先生
やよい先生

保育士に興味を持っていただきありがとうございます。保育士の仕事をよくわかっていただくために、保育実習について詳しくお伝えしますね。

保育士養成施設での保育実習には、大きく分けて次の4種類があります。

  • 観察実習……実際の保育の様子を観察
  • 部分実習……割り当てられた時間のみ実習
  • 参加実習……担当保育士の補助として実習
  • 責任実習……丸一日の実習(指導計画を作成)
やよい先生
やよい先生

これらの実習を、卒業までに段階を経ながら何度か行っていくことになります。

実習の内容としては、実際の保育園に実習生として入るなかで、授業だけでは学べない子どもたちの様子や、保育士としての関わり方などを学んでいきます。

takahashi
高橋

実習というと、いきなり先生として前に立つイメージでしたが、段階的に行うのですね。

やよい先生
やよい先生

そうです。ただし、実習生とはいえ、子どもたちにとっては「先生」です。

子どもたちのお手本となるよう、しっかり自覚をもって望みましょう。ただ子どもたちと遊ぶのではなく、保育士が日頃どんな意図をもって関わっているのかを汲み取り、学ぶことが大切です。

takahashi
高橋

なるほど、ただの遊び相手じゃだめですよね。

やよい先生
やよい先生

そうなんです。保育士になるための保育実習は、実際の子どもたちの反応を見られる大切な機会です。

楽しく遊んで子どもたちと関わることも大切ですが、保育には「目的」があることをきちんと理解して保育実習に望みましょう。

takahashi
高橋

実習中は、記録などを残すのでしょうか?

やよい先生
やよい先生

実習中は毎日「実習日誌」に記録を残します。

実習先の担当保育士にも確認してもらいますし、実習後にも学校で使用する場合もあります。実習中はあまりメモをとる時間はありませんが、忘れないよう時間を見つけてメモを残しましょう。

takahashi
高橋

実習日誌はどのようなことを書くのですか?

やよい先生
やよい先生

学校によって様式が違います。実習前には学校の先生に、実習でどのような記録が必要かをしっかりと確認しましょう。

保育実習の期間やスケジュールは?

takahashi
高橋

専門学校や短期大学で、実習はいつ頃行うのですか?また、どれくらいの期間、実習を行うのでしょうか?

やよい先生
やよい先生

学校にもよりますが、保育の課がある学校だと2〜4年の在学期間中に、段階を経て保育園で2回、児童福祉施設や障害児支援施設などで1回、計3回実習を行うことになります。

保育士の活躍の場は、保育園だけではありません。そのため、保育実習では保育園以外の施設でも実習を行います。

takahashi
高橋

保育実習は、好きな保育園や施設で受けることができるのですか?

やよい先生
やよい先生

学校やタイミングにもよります。保育実習をしてくれる保育園は、公立や私立の「認可保育園」と決められています。

私が学生の時は、学校が指定する自宅から通える園の中から選ぶことができました。

施設実習も施設自体がそれほど多いわけではないですが、自分で選べるケースもあります。

基本的には「この保育園で実習をしてみたい」」と思ったところに、学生本人が申し込み、実習を行う流れになります。

takahashi
高橋

基本的に自分で申し込むのですね。必ずOKをもらえるのでしょうか?

やよい先生
やよい先生

学校や必ずOKをもらえるわけではありません。

対応可能な時期が決まっていたり、保育園側で受け入れ人数を決めていたりする場合もあります。所属先の学校にスケジュールを確認して、早めに候補の保育園を決めておくとよいですね。

takahashi
高橋

わかりました!では次に、実習を申し込むまでの流れを教えていただけますか?

やよい先生
やよい先生

学校にもよりますが、大抵は次のような流れです。

【保育実習を申込むまでの流れ】

  1. 実習先を選ぶ
  2. 保育園に実習可能か確認(多くは電話連絡)
  3. 保育園に実習の受け入れ・オリエンテーションを依頼
  4. 学校で事前講習(模擬保育など)の先生と話し合い
  5. 実習先にてオリエンテーション
  6. 実習前に保育に必要なものを準備
  7. 本実習
  8. 学校にて事後指導
takahashi
高橋

オリエンテーションはどういうことをするのですか?

やよい先生
やよい先生

打合せのようなものです。

例えば初日~3日目まではまず園の雰囲気に慣れてもらい、4日目からクラスに入って活動をしてもらうといった計画を一緒に立てることです。

takahashi
高橋

本番の実習も心配ですが、自分で園に連絡をするのも緊張しそうですね。

やよい先生
やよい先生

実習先の保育士さんたちも、みなさん同じように保育実習を経験してきています。ですから、緊張する気持ちはわかってもらえるので心配しすぎなくて大丈夫ですよ。緊張しそうなときは、話す内容を事前にノートなどにまとめておくとよいですね。

また、保育園に連絡をする際は学校のカリキュラムの一環の実習なのか、就職を想定した園見学なのかを明確に伝えていただけると園の方も準備しやすいです。

takahashi
高橋

わかりました!園の保育士さんと接するうえで、注意などはありますか?

やよい先生
やよい先生

一生懸命やっていれば気持ちは伝わるので大丈夫です。園によっては様々なルールがあるので、オリエンテーションの際に確認しておきましょう。

takahashi
高橋

実習中に保育士さんたちが忙しそうで声をかけづらい時はどうすればよいですか?

やよい先生
やよい先生

状況にもよりますが、分からないことはできるだけその時に聞いてみた方がよいです。

例えば、保育士が泣いている子どもの気持ちに寄り添っている時に声をかけても対応が難しいですが、泣き止んで落ち着いたところで声をかけてみましょう。

保育実習で注意すべきこととは?

takahashi
高橋

保育実習で気をつけた方がよいことはありますか?

やよい先生
やよい先生

保育実習を通して気をつけてほしいことは、次の3つです。

  1. 身だしなみや言葉遣いに気をつける
  2. 積極的に子どもと関わる
  3. 視野を広く全体に目を向ける
やよい先生
やよい先生

それぞれ詳しく説明しますね。

1.身だしなみや言葉遣いに気をつける

実習生でも、実習先の保護者や子どもには「新しい先生」と捉えられます。ですから、実習中はネイルや派手な髪型、派手な服装を避け、子どもたちの前でお手本となる態度を心がけましょう。

やよい先生
やよい先生

社会人としての基本マナーもしっかり守りましょうね。

特に言葉遣いはとても大切です。子どもたちは言葉を獲得している時期なので、言葉遣いや話しかけ方も意識してください。

2.積極的に子どもと関わる

保育には「自由あそびの時間」も多いです。そうした時間は、何をしてよいかわからないと困る学生さんも多いですが、積極的に子どもと関わることが大切です。

やよい先生
やよい先生

あとはやはり子どもと関わるお仕事なので、保育の目的を意識しつつも、子どもと一緒に楽しむ気持ちを忘れないようにしてください。

子どもが「この先生といると安心」「この先生について行って良いのだな」と感じられるよう、子どもと視線を合わせて接してください。

また、担当の保育士からいつも指示があるわけではないので、「今は何をすべきか」を自分で考えて主体的に動くことが大事ですね。保育士も実習生に常に気を配れるわけではないので、保育士の動きも見ながら動けるようになるとより良いですね。

やよい先生
やよい先生

数日実習に入ったら、『片付けを始めたから手伝おう』『もうすぐ給食の時間だから、この準備が必要かな』ということに気づき、自主的に動けるととても良いと思います。

3.視野を広く全体に目を向ける

初めて子どもたちと関わるときには、どうしても積極的な子どもばかり構いがちです。
しかし、実際の保育では危険がないよう、たくさんの子どもたちを一度に見なければなりません。保育士の動きも気にしながら、1人の子どもとのあそびだけに集中しすぎないように視野を広く持ちましょう。

やよい先生
やよい先生

それに、新しい先生が大好きで積極的に寄ってくる子とだけ関わるのではなく、たくさんの子と接して、いろいろな子がいることに気づいて欲しいです。

takahashi
高橋

中学の職場体験で保育園に行った時に、「ケガをした子がいたら先生に報告して」と言われましたが、実習生も同じですか?

やよい先生
やよい先生

はい、同じように、ケガをした場合はすぐに知らせて欲しいです。

保育園は子どもの命をお預かりしているので、子どものケガに対して保育士の責任は重いです。
ちょっと擦りむいた程度でも、重大事故につながったかもしれないので、ヒヤリハットや事故報告書などの書類に記載して検証をするようにしています。

やよい先生
やよい先生

「ここで転んだがどうすればよかったか」「次に同じことが起こらないようにするためにどうすればよいか」を保育士は常に考えないといけないので、ケガがあった場合は自分で対処せずにすぐに教えて欲しいです。

takahashi
高橋

わかりました。

ジャージで行く人が多いと思いますが、服装の指定はありますか?

やよい先生
やよい先生

園によって違います。動きやすい服装でOKという園もあれば、ジャージやエプロンの色指定などがあることもあるので事前に必ず確認をお願いします。

takahashi
高橋

子どもや保育士さんに対しての言葉遣いについて、気をつけた方がよいことはありますか?

やよい先生
やよい先生

子どもにも、丁寧な言葉遣いの方がよいですね。

保育士に対しては、「自分が学びに来ていて、教えてもらっているんだ」という学びの姿勢を意識して敬語が使えれば、心地よい実習の期間になると思います。

保育士からのアドバイス

takahashi
高橋

いろいろと教えていただきありがとうございました。おかげで保育実習についてのイメージがつかめてきました。興味のある保育園に実習に行けたら嬉しいですが、いざ行くとなるとやっぱり少し不安になりそうですね。

やよい先生
やよい先生

最後に大切なことをお伝えしますね。

子どもとの関わりの中でもお伝えしましたが、保育実習で一番大切なことは、「楽しむこと」です。

あなたが保育士に興味を持ったのは、「子どもってかわいいなぁ」とか「子どもが好き」と思ったからではないでしょうか?

心配な気持ちは、きっと失敗を恐れているからですよね。それは、学校の評価や先輩保育士からどう見られるかなどを気にしてしまっている証拠です。

やよい先生
やよい先生

でも、本当は保育実習では少しくらい失敗したほうがよいのです。

takahashi
高橋

失敗は怖いです、失敗の程度にもよりますが…。

やよい先生
やよい先生

そう、初めての経験には失敗がつきもので、保育園側もそれは承知です。

失敗するかどうかよりも、しっかり失敗を積み重ねてそこから学ぶ気持ちが大切です。そして何より、「楽しい」という気持ちがなければ、本当の意味で子どもたちとの信頼関係は築けません。

「保育実習は失敗するためにやるもの」と学校でも言われると思います。
実習生の今だからこそできる失敗がありますし、自分で実際に行動をして失敗をすることで学びは深くなります。

やよい先生
やよい先生

失敗の経験が宝物だと私は思っています。

保育士の先生もみんな、そういう経験をしてきていますから、失敗したからといって「なにやっているのよ!」とはならずに、なぜ失敗したか、次はどうすればよいかを一緒に考えてくれるはずです。

やよい先生
やよい先生

失敗する経験を重ねて、私たちも保育という仕事を楽しんでいます。

私たち大人の気持ち、子どもはちゃんと分かっているし、見抜いてしまうのです。
子どもは敏感なので、例えば体調が悪い時には「先生どうしたの?」とすぐ気づきます。

実習中も、びくびくしながら保育をしていると子どもに見抜かれてしまいます。
また、楽しく働いていないと子どもたちは信用してくれません。
実習生が楽しそうに活動していると、子どもも「一緒にやってみたいな」と思ってくれます。

やよい先生
やよい先生

あなたが子どもなら、失敗を恐れてネガティブな先生より、少しくらい失敗しても楽しそうに接してくれる先生の方がよいですよね?

takahashi
高橋

確かにそうですね。自分が楽しめて、子どもたちも楽しめるというのは好循環ですね。

やよい先生
やよい先生

子どもたちが「保育園楽しかった!」と思って帰ると、「保育園でこういうことがあったんだよ」とご家庭での会話にもつながります。

保育士という仕事は、子どもたちへの愛情があってこそ。ぜひその部分を大切に、子どもたちのリアルな反応や、かわいい笑顔を堪能してほしいと思います。

takahashi
高橋

失敗してもいい、楽しむ!ですね。おかげで保育実習が楽しみになりました。憧れの保育士を目指して、保育実習をがんばりますね!

まとめ

保育士になるための保育実習は、保育学校で学んだ知識を実際の現場で実践できる大切な機会です。先輩保育士がどのように子どもたちと接しているかも、しっかり観察しましょう!

また、実習中は「先生」としての自覚を持ち、社会人としてのルールやマナーを守ることも大切です。

そして実習中に最も重要なことは、失敗を恐れることよりも、楽しんで学ぶ姿勢を持つこと。子どもが大好きな気持ちを忘れずに、ポジティブかつ積極的に子どもと関わっていきましょう。

あなたが未来の保育士として、楽しく保育実習を終えられることを祈っています!

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この記事を書いた人

takahashi
高橋慧
長野高校2年の学生インタビュアーです。様々な面から教育について学んでいます。子育てする方も子どもも笑顔になれるような情報をお届けしたいと思っています!

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