食事中、椅子に座らない1歳児…どんな対応がベスト?保育士に質問してみた

少しずつ“赤ちゃん”と呼ばれる時期を脱し始める1歳児。
離乳食から幼児食になり、座ってスプーンを持ち自分で食べることを目指す年齢になります。

しかし、椅子になかなか座らず立ち歩いたり、ゴロゴロと寝転がったりする子どももいます。食事をさせたい側としては、どうしたらよいかわからず困ってしまうこともありますよね。

そこで今回は、「食事中に子どもが椅子に座らない理由と対応策」について、保育学生が保育士にインタビューしました!

としえ先生
みらいく県町 副主任 新井としえ先生
2人の子どもの子育ても大分手を離れ、また小さな子どもたちの成長を見守りたく、みらいくに入職して1年が経ちました。
1人ひとりの子どもに寄り添い、毎日とびきりの笑顔をもらえることに幸せを感じながら、楽しく保育をさせてもらっています。

まずは子どもの背景を考える習慣を持とう

金子

こんにちは!保育を学ぶ金子です。私はこれまで、子どもは食事を目の前にすると、喜んで一心に食べるのが自然な姿だと思っていました。

ですが、実際に保育園の実習でお手伝いをしてみると、食事がテーブルに並んでいるのに食べようとしなかったり、ふらふらと歩き回ったり、椅子から降りて寝転がったりする子どもが結構いるのだと知りました。

お腹は空いていると思うのですが、なぜ食事に集中しないのか、なぜ立ち歩くのかがわからず、戸惑っています。

としえ先生
としえ先生

確かに、目の前に食事があれば、なりふり構わずパクパクと食べるのが、子どもの自然な姿でしょうね。

子どもの姿や様子で「問題」と感じることや「なぜ?」と疑問に感じること、また、「集団生活なのに一緒のことをしてくれないのは”困る”」と思う感情を抱くのは当然のこと。

しかし保育士は、子どもの表面上の姿や様子だけで判断をするのではなく、日常的な関わりの積み重ねや、家庭との連携など多角的な視野で子どもを見つめています。そうすることが保育士としての「習慣」なのかもしれません。

としえ先生
としえ先生

困ったな、座って食事をしてくれない…そう思うのが素直な感情なのですが、実は本当に困っているのは誰でもない、子ども自身です。

食事の時間に立ち歩く子どもにもパターンがあって、毎回同じ子どもが立ち歩いていることもあれば、時々立ち歩く子どもと両方います。

では、「みんなと一緒に挨拶をし、おいしく食べて満腹になる、お昼寝をする」そういった心地よい生活をスムーズに送れないのは、なぜなのか?
そこで考えるのが、子どもの「背景」です。

  • 昨日、夕飯の時間が遅くなり眠る時間も遅れ、今朝はギリギリまで眠っていて朝ご飯が遅かった
  • 朝ご飯をたくさん食べてきた
  • 給食のメニューに嫌いなものが並んでいる
  • 今はお腹が空いていない
  • 隣に座る友達が嫌だ
  • 眠い
  • 遊び足りない
としえ先生
としえ先生

子ども自身、さまざまな気持ちを抱いているからこそ、席につけないのでしょう。その理由を言葉でうまく表現できればよいのですが、1歳だと難しいですね。

椅子に座らない子どもには、何か理由や背景があるのだろうな、そういう風に考えるだけでも、子どもに対する対応やかける言葉が変わってくるのかなと思います。

それは本当に問題?多角的な見方をする大切さ

金子

子どもなりに椅子に座らない理由があるということを、あまり考えたことがありませんでした。確かに大人でも、今日は食欲がないな、今日はお米でなくて麺類の気分だな、ということはありますね。

言われてみれば、子どもにもそんな気持ちがあって当然ですね。ついついそういう観点を忘れて、大人の言うことを聞いてほしい、集団生活の流れに沿って動いてほしいと思ってしまっていたことに気づきました。

では、子どもの様子に問題を感じることがあったら、先生方はどのような対応をしていますか?椅子に座って食事をしない子どもについても、ベストな対応があったら教えて下さい。

としえ先生
としえ先生

保育士も一人ひとり考え方や捉え方が違うので、複数担任の場合であれば保育方針のすり合わせを密に行います。関わり方や方針が保育士ごとに違えば、子どもが戸惑いますし、子どもの成長を目指したねらいがブレてしまいますからね。

保育士それぞれが、一人ひとりの子どもに対してどんな印象を持っているか、どんな成長を感じていてどんな援助が必要かを、細かく打合せしていれば、見えていなかったことが見えてきたり、実はみんなが共通認識を持っていたことがわかったり、様々なことがクリアになるのです。

それは、新人保育士だからこそ見ている子どもの姿もあったり、経験年数があるからこそ見えている姿もあったりします。みんなで忌憚なく話すことが大切ですね。

としえ先生
としえ先生

「食事のときに椅子に座らない子ども」がいたとしたら、先にも述べたように、私たちはその子どもの背景を考えます。お迎えの時、パパママに「今日はお腹が空いていなかったみたいで、なかなか食べようとしなかったのですが、朝ご飯をいっぱい食べましたか?」と聞いたり、お便り帳にその日の気になった様子を書いてみたりします。

仕事を持っている保護者なのですから、時に家庭での生活リズムが崩れることも仕方がないことで、保護者を責めたり指導したりするようなことはしません。ただ、様子を聞いておけば、子どもの姿に納得もできます。

食事の時に立ち歩いてしまう子どもも、だいたいは数回促して気分転換させれば、椅子に座って食べるようになることが多いですね。

としえ先生
としえ先生

ですが、それでも立ち歩く場合は「じゃあ今日はご馳走様だね」と言って食事を下げることもあります。「今日はなしね!」という言い方はしません。

その際は、きちんと家庭にもお伝えするよう徹底しています。

家庭の問題だからと諦めず、一緒に子育てする気持ちで

金子

子どもは、家庭での生活の影響がそのまま保育園での生活に表れるということがわかりました。その点について、保護者に指導はしないということでしたが、子どもの様子がなかなかよくならない時はどうしたらよいのでしょうか?他の子どもにも影響がありそうなことが続くと、クラスとしても落ち着かなくなりますよね。

としえ先生
としえ先生

そうですね。親の仕事が忙しく、帰ってから食事の時間が遅くなりがちで、朝ご飯も登園ギリギリの時間になってしまう事もあるでしょう。

パパやママが動き回る子どもを追いかけながら食事を口に運んだり、食事の支度ができたら子ども一人で食べさせて、その間家事を行いたいという家庭もあります。

様々な家庭の状況がありますが、改善してもらうことは大変なことですね。

としえ先生
としえ先生

パパやママを責めたり指導したりすることはありませんが、個人懇談や全体懇談、個別のお便り帳などには、保育園で子どもが困っている様子を伝え、家庭でも取り組んでもらえそうな方法をお伝えすることはあります。相談されたら、アドバイスもします。

例えば、下記のような項目については、保護者の方にもお伝えしています。

  • 忙しくて夕飯の時間が遅めになる場合は、朝食を少し控えめにしてもらう
  • 歩き回って食べない場合は、2~3回ほど椅子に戻るよう促し、それでも歩き回る場合は「ご馳走様ね」と、食事を片付けるようにする。決して追い掛け回して口に運ぶようなことはしない
  • 10分だけでもよいので、子どものそばで一緒に食事をしたり、座ったりしてあげる

家庭の状況を責めて、保育園で「保育士が困っている」と伝えても、なかなか改善はしてもらえません。

「お子さんが困っている」から「こんな方法がありますよ」という言い方で伝えるとよいかもしれません。そのように家庭の問題だからと諦めず、一緒に子育てする気持ちで、保護者と連携を取るということを心がけています。

としえ先生
としえ先生

また、本当に食べない場合は、保育士が一人そばについて関わるとより一層よいですね。

一生立ち歩きながら食事をする人はいない

金子

保護者に対し、丁寧にアドバイスや方法をお知らせすることが大切だとわかりました。それでも、家庭の問題だと感じる行動を改善するのは難しいと学生の私は思ってしまいます。

保育園の中での日々の積み重ねを大切にするしかないのでしょうか?

としえ先生
としえ先生

大丈夫です。1歳から入園し、2歳児クラス、3歳児・4歳児クラスへと進級する集団生活をしていく中で、ずっと食事中に立ち歩き続けている子どもはいません。みんな成長していくのです。

1歳児は、自立心が芽生え、自我が確立し、自分にも意思があると気づき、それを人に対しても知らせたくなる時期です。

保育士は、そういった1歳児の特徴をしっかりと受け止めながらも、集団生活のルールや生活面でのマナーを毅然とした態度で伝えていく姿勢も大切です。

としえ先生
としえ先生

そして、その関わり方を保育士全員が共有し、日によって態度やルールを変更しないことが最も大事です。

この先生なら許される、昨日はダメだったけれど今日はOKなど対応が変わると子どもも戸惑い、いつまでたってもルールを守ろうとしないですし、自立もしません。
子どもは基本的には成長したいと思っているもの。そこを上手く刺激しながら、自我と周囲との折り合いを上手くつけさせていくことが関わりのコツです。

としえ先生
としえ先生

新人保育士のうちは、関わり方がブレたり、うまく関われないことも多いでしょう。子どもはそういった保育士の心の迷いや揺らぎを敏感に感じ取るので、余計にうまくいかないこともあります。先輩保育士に助け舟を出してもらい、相談しながら子どもと一緒に成長していきましょう!

まとめ

今回は、食事中になかなか椅子に座らない1歳児にどのような対応をしたらベストなのかを、保育士の先生にお聞きしました。

問題だと感じる子どもの行動は、どのような背景があってのことなのか、まずはそこから見つめていきましょう。そして保護者と連携をとり、保育士同士が同じ関わり方をして「子どもの自我を刺激し、成長の手助けをしていく」という意識を持つことが大事です。ぜひ、参考にしてみてくださいね!

この記事を書いた人

金子 詩奈
長野県立大学健康発達学部こども学科1年の学生ライターです。大学では日々保育について勉強中。少しでも子育ての役に立つような情報をお届けしたいと思っています!

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