保育士に聞く!“感触遊び”のねらいとは?1歳児の五感を育むアイデア4選

1歳のお子さんがいるご家庭では、おうち時間の過ごし方について試行錯誤されているパパママも多いと思います。

そこでご紹介したいのが、おうちで簡単にできる身近な遊びの一つ、“感触遊び”です。

感触遊びとは、子どもが自分の手足でさまざまな素材に触れることで、それらの感触を楽しんでもらう遊びです。例えば新聞紙を使った場合、紙そのものの手触りや、丸めた時のごつごつ感、小さくちぎって集めた時のふわふわ感など、ものの状態が変わることによる感触の変化を子ども自身が肌で感じて楽しみます。

感覚遊びは保育園の遊びでもよく取り入れられていますが、ご家庭でも身近な素材を使って簡単に行うことができます。今回は、感覚遊びのねらいやメリット、準備方法、注意点について、現役保育士さんに詳しくお聞きしました!

金井みき先生
みらいく保育園 副主任保育士
みき先生
保育士になり7年目。長野市と白馬村で約6年間保育士をした後みらいくに入職。子どもたち一人一人の個性を大切に、温かい保育を心がけています。

感触遊びのねらいとは?

金子

大学で保育を学ぶ学生です。最近、幼稚園実習に参加し、さまざまな保育活動があることを知りました。保育現場では“感触遊び”を取り入れているとお聞きしましたが、どのようねらいがあるのでしょうか?

金井みき先生
みき先生

感触遊びは、特に1〜2歳の子どもたちに人気のある活動です。

私も以前、ジョイントマットにプチプチ(緩衝材)を貼って、その上を子どもたちが歩いたりハイハイしたりする活動を取り入れました。

皆、足裏や手に感じるぷにぷにとした感触を楽しんでいましたよ。

保育園でこれらの活動を取り入れる際は、主に3つのねらいをもって取り組んでいます。

1.さまざまな素材の感触を知る

特に0~2歳くらいの子どもは、直接触って確かめることで素材の感触を覚えていきます

これらの経験を経て、まだ触れていない、目で見ただけのものでも肌触りや温度がイメージできるようになります。

2.感覚刺激で五感を磨く

「味覚」「聴覚」「嗅覚」「視覚」「触覚」は生まれつき備わっている感覚です。しかし、新生児の視界はまだぼんやりしているように、はじめはどの感覚も未発達な状態で生まれてきます。

金井みき先生
みき先生

徐々に外からの刺激を受けることで発達していくため、感触遊びなどで色んな刺激を与えることが豊かな五感の育成につながります。

3.試行錯誤で想像力や思考力を高める

夢中になってものの感触を楽しむ中で、「伸ばしてみたらどうなるかな?」「色を付けたら面白そう!」などと自由に発想し、子ども自身でどんどん遊びを試そうとする姿も見られるでしょう。

このような試行錯誤が、自分の頭で考えて行動する力を養っていきます。

金子

確かに、春雨のようにつるつるしたものを食べる場面は多いですが、手でじっくり触ったり、ぐちゃぐちゃにしてみたりする機会は少ないですよね。だからこそ、子どもにとって刺激的な体験となりそうですね。

金井みき先生
みき先生

子どもの成長に対しても、大きなメリットのある遊びなんですよ。

五感を磨くことの意味とは?

金子

感触遊びのねらいとして、「五感を磨くことができる」とありましたが、感覚が育つことは子どもにとってどんなメリットがあるのでしょうか?

金井みき先生
みき先生

脳は刺激を受けることで発達していきます。そしてその刺激は、五感を使って受け取っています。つまり、五感を磨いてより多くの刺激を感じられるようになると、脳の成長を促すことができるのです。

1歳までは特に脳の発達が著しい時期のため、年齢に見合った刺激を用意することは非常に重要なことであると思います。

金子

五感も脳も、刺激を受けることで発達していくのですね。子どもたちがさまざまな体験をすることは、とても大きな意味があるとわかりました。

簡単!おうちでできる感覚遊び4選

金子

感触遊びのねらいやメリット、意味を理解したところで、早速、遊び方を教えていただきたいです!感触遊びを家庭で行う時、どのような準備をしたらよいですか?

金井みき先生
みき先生

前準備として、子どもが素材を自由に触ったり広げたりできるよう、テーブルにレジャーシート等を敷いておきましょう。保育園で感触遊びを行う時もレジャーシートを机に敷いて使用しています。

家にあるような小さなサイズの物でも十分汚れを防ぐことができます。また、汚れた時にすぐに拭き取ることができるよう、近くにタオルを用意しておくと便利です。

では早速、4つの遊び方をご紹介します。

1.春雨遊び

【用意するもの】

・春雨

・水(または食用色素で色付けた水)

金井みき先生
みき先生

春雨を水で戻し、つるつるとした感触を楽しみます。水で戻す前の乾燥春雨の感触を確かめるのも、変化を感じられてきっと楽しいでしょう。

水に食用色素で色を付けておくと春雨に色が付き、子どもが興味を持つきっかけになるかもしれません。

2~4歳のお子さんには、お皿やフォークを一緒に準備すると、ごっこ遊びなどに発展させて遊ぶこともできます。

2.片栗粉スクイーズ

【用意するもの】

・片栗粉

・風船

・じょうご

・ペットボトル

①片栗粉をじょうごでペットボトルに入れ、少し膨らました風船をペットボトルに被せます。

②風船に片栗粉を移し、風船から空気が抜けない様にペットボトルから風船を外します。

③粉が出ないように少しづつ空気を抜き、風船の口をしっかり縛るとスクイーズの完成です。

金井みき先生
みき先生

片栗粉や寒天等、食材を遊びに使う時は、賞味期限が切れてしまったものや、開封して時間が経ってしまったものなどを選ぶとよいと思います。

3.消臭ビーズスクイーズ

【用意するもの】

・消臭ビーズ

・密閉袋

金井みき先生
みき先生

水にふやかした消臭ビーズを密閉できる袋に入れ、密閉します。もちもちしたビーズを袋の中で転がしたり、つぶしたりして楽しむことができます。

以前、保育園でこの遊びをした時は、子どもたちがとても気に入っていました。ビーズが水で膨らむ前の時点から一緒に観察すると、どんどん大きくなっていく様子が見られて楽しめますよ。

4.寒天あそび

【用意するもの】

・寒天

・水(または食用色素で色付けた水)

金井みき先生
みき先生

鍋に水と寒天を入れ煮立たせます。タッパーやプリン容器等、お好みの容器に入れ、常温で1時間ほど置いておくと、キラキラした寒天が完成します。

色を付ける場合は水・寒天と一緒に食紅を入れて煮立たせてください。

寒天の肌触りや、手で握りつぶした時の感触を楽しめます。

金子

どの材料も簡単に揃えることができますし、面白そうです。天気の悪い日など、室内で楽しく過ごしたい時にぴったりですね!

金井みき先生
みき先生

そうですね。しかも、保育園で活動するときとは違って、家庭では時間を気にせず思い切り遊ぶことができます。

素材も場所も独り占めできるので、集中して取り組むことができるのも子どもにとってうれしいポイントなのではないでしょうか。

感触遊びをする際の注意点ポイント

金子

家庭で感触遊びをするとき、どんなことに注意したらよいでしょうか?

金井みき先生
みき先生

以下の3つの点に気をつけていただきたいです。

1.アレルギーに注意する

金井みき先生
みき先生

特に0〜1歳のお子さんの場合は、食べたことのない食材を感触遊びに使用するのは避けた方がよいでしょう。

2.子どものペースで遊ばせる

金井みき先生
みき先生

保育園で感触遊びをする時、何かの肌触りに不快に感じたり、汚れることを嫌がったりするお子さんも少なからずいます。その場合は、子どもに無理強いをしないことが大切です。

素材をビニール袋などに入れてその上から触るなど、その子も楽しめる方法を探してみることがよいと思います。パパやママが触っているところを「楽しいよ」と見せると、子どもが興味を持つきっかけになります。

3.口に入れないように注意する

金井みき先生
みき先生

素材によっては食べてしまっても大丈夫なものもありますが、園で実施する時は原則口に入れないように気をつけています。

1歳以上の子どもへは、自由に遊ぶ前に「これは食べていいかな?」と問いかけて確認するようにしています。0歳児の場合は口の中で感触を確かめようとすることも少なくないため、口に入れないよう側で見守ってあげましょう。

金子

春雨など、感触遊びとして実際の食材を取り入れると、普段の食事で「遊び食べ」を誘発してしまうのではないかと心配になる親御さんもいるかと思いますが、どのようにお考えでしょうか?

金井みき先生
みき先生

保育士の中には、そのような考えで食材を使った感触遊びに消極的な先生もいるかもしれません。ですが、言葉が出ない赤ちゃんのうちは遊び食べも発達における大切な姿です。

「触ってみたい」というお子さんの意欲を尊重して、食事以外のシーンでじっくり感触を楽しめる機会を作ることは、私はよいことだと考えています。

まとめ

「どろどろ」「もちもち」など、普段触れる機会の少ないものの感触を積極的に楽しむ感触遊び。ご家庭でも簡単に実践できる方法を現役保育士の先生に教えていただきました。

室内で過ごす時間が長いと、どうしても遊びがマンネリしてしまいますよね。そんな時、感触遊びを取り入れれば、子どもにとって脳への刺激いっぱいのアクティブな時間に変わりそうです。

紹介していただいた遊びはどれも身近な材料でできるので、親御さんも一緒に楽しみながらトライしてみてくださいね!

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この記事を書いた人

金子詩奈
長野県立大学健康発達学部こども学科1年の学生ライターです。大学では日々保育について勉強中。少しでも子育ての役に立つような情報をお届けしたいと思っています!

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