食べ物をテーブルから落としたり、手でぐちゃぐちゃにこねたり…。
子どもの食事中の”遊び食べ”にお困りではありませんか?
せっかく用意した食事は無駄になってしまうし、きちんと栄養が摂れていないのでは、と不安になりますよね。
そこで今回は、日頃から0~2歳児を保育している現役保育士のもえか先生に“遊び食べ”についてインタビューしました!
もえか先生
みらいくに入職して2年目になります。毎日可愛い子どもたちに癒されながら過ごしています。子どもと保護者方と小さな「できた」を大切に保育しています
目次
”遊び食べ”とは?
保育を学んでいる学生です。子どもの毎度の“遊び食べ”に疲れてしまっている親御さんの声をよく聞きます。“遊び食べ”について、詳しく教えてください!
遊び食べは、離乳食がスタートする生後6か月から2歳頃のお子さんに見られる姿です。
例えば、きっと子どものこんな姿を目にしたことがありますよね。
- 食べ物をテーブルや皿から落とす
- 食べ物をぐちゃぐちゃにする
- 口から吐き出す
- 立ち上がっておもちゃで遊ぶ
このように、食事の際に食べ物や食器で遊んでしまうことを遊び食べと言います。
せっかく作った料理で遊んでいる姿を見ると、イライラしてしまうパパママも少なくないと思います。
ですが、実は遊び食べは周囲への関心の広がりや、手先の発達とともに見られる大切な成長の姿でもあるのです。
遊び食べとの上手な付き合い方を知ると、食事の時間の負担を減らすことができますよ。
なぜ遊び食べをするの?考えられる5つの理由
遊び食べが、子どもの発達とともに見られる姿だとは知りませんでした。なぜ、その時期のお子さんは食事で遊んでしまうのでしょうか?
子どもが遊び食べをする理由は、5つほど考えられます。以下でひとつずつ見ていきましょう。
1.食べ物への好奇心
0〜1歳の子どもたちは、五感に様々な刺激を受けて脳や指先を発達させていきます。
普段から「触ったらどんな感触かな」「落としたらどんな音がするかな」と五感と頭をめいっぱい使って学んでいるので、同じことを食事の場面でも行った結果が、遊び食べとも言えます。
特に離乳食期から1歳頃までは、料理に対して「食べるもの」という認識がないこともあります。
そのため、新しく出会う食材・料理に純粋に興味を持ち、感触を確かめようとしているのです。
2.幼児が集中できる時間の短さ
幼児が一つのことに集中できる時間はとても短いです。
保育園では1歳で5~10分、3歳で15〜20分が目安と考えています。
ですので、ご飯を食べ終わるまでの間、集中が続かないことはごく自然なことです。
3.おなかがすいていない
運動不足や、おやつの量が多かった場合、おなかがすいていないことがあります。
そうすると「遊びたい」という気持ちが勝り、目についた食べ物をおもちゃにしてしまうことがあります。
4.食べ慣れていない
食べ物を一口食べて「食べづらい」「おいしくない」と感じると、食べるのをやめて遊び始めてしまうことがあります。
口から食べ物を出してしまう時は、食材の硬さが合っていないこともあるようです。
使い慣れていないスプーンやお皿が原因の時もあります。
5.パパとママの気を惹きたい
遊び食べをする子どもに対して、パパママが大きな声でリアクションしていた場合、食べ物を落としたり口から出したりした時の反応を面白がって、わざと遊び食べしていることもあります。
親のことを困らせたいわけではなく、「パパママに注目してほしい」という子どもなりのコミュニケーションだったりします。
確かに、ミルクなど液体中心だった食事から固形物に変わって、子ども自身が戸惑ったり興味を持ったりする気持ちは理解できます。原因がわかると、遊び食べに対する見方も変わりそうですね。
遊び食べに対する6つの対処法
遊び食べの理由は理解できましたが、そのままにしていると栄養も十分に摂れないでしょうし、片付けも大変です。遊ぶのをやめさせて、きちんと食べてもらうにはどのように対応したらよいでしょうか?
以下で、遊び食べを減らす6つの方法をご紹介していきますね。
1.冷静に伝える
子どもが食べ物で遊ぶ姿を見ると、思わず「ダメ!」と怒ってしまいそうになりますよね。
しかし、当人は悪いことをしているつもりはないので、なぜ怒られているかがわかりません。
一方的に否定するのではなく、食事の手本を見せたり、「モグモグしよう」と声を掛けたりしてみましょう。
また、1歳以上のお子さんへは「落としたら食べられないんだよ」とわかりやすい言葉で理由を伝えることも大切です。
遊んでいることに対して大げさに反応すると、その反応を面白がって遊び食べを繰り返すこともあるため、冷静に伝えることが重要です。
保育園では、子どもたちが食事を楽しむことができるよう、言葉選びも意識しています。
動物が好きな子どもへは、一口食べたら「あ!耳が生えてきた!もう一口食べたらしっぽも生えるかな?」と声を掛けることもあります。
乗り物が好きな子どもへは、「ごはん新幹線です~、トンネルに入ります~」と言ってあげると喜んで食べてくれます。
2.時間を決める
1歳頃のお子さんの食事時間は30分が目安です。
声を掛けたり手助けしたりしても遊び続けてしまう時は、区切りをつけてお皿を片付けましょう。
この時、「ごちそうさましようか」と声を掛けてから下げると、「食べないと片づけられてしまうんだ」と子ども自身が理解することにつながります。
残ったご飯はおやつにするなど、様子を見て食べてもらいましょう。
3.おなかがすくように工夫する
間食を控えて、しっかりと子どものおなかをすかせておくことが大切です。
遊び食べをしていて十分に食べられなかった場合、後から「おなかがすいた」と訴えられるかもしれません。
ここでおやつを与えすぎてしまうと、また次の食事までにおなかがすかず、遊び食べにつながってしまいます。
保育園でのおやつの目安量はバナナ半分、またはおせんべい1枚程度です。
おやつは控えめにしつつ、全身を使った運動遊びをさせるなどして、空腹になるよう工夫してみましょう。
おなかがすいておやつが足りないと訴えられる場合は、お茶などの水分を与えたり、早めのご飯にしたりしてみてください。
また、別の遊びや散歩など楽しいことで気持ちを切り替えるのもよいでしょう。
4.「見守る時間」と割り切る
お皿を叩いた時の音や、ぐちゃぐちゃにつぶした時の手の感触を楽しんでいることもあります。
子どもにとって、これらは五感を豊かにする重要な感覚刺激でもあります。
遊んでいても「すぐにやめさせなきゃ」と思わず、しばらく見守る時間があってもよいと思います。
頃合いを見て、「ごちそうさまにしようか」と声を掛けて、食べ物とおもちゃを取り換えましょう。
5.食事に集中できる環境を作る
視界の中におもちゃがあったり、テレビがついていたりすると、子どもの意識がそれてしまうことがあります。
食事だけに集中ができるよう、環境を整えてみましょう。
保育園では、良い姿勢で食事をすることも大切にしています。
足の裏を地面とつけることで姿勢がよくなり、食べ物をしっかりと噛むことができます。
足が床につかないお子さんへは2~3個の牛乳パックを繋げて台を作り、足が安定するようにしています。
6.食材の量・硬さ・味を変えてみる
大人でも、食事の味付けや量が合わないということがあると思います。以下のポイントを参考に、遊んでしまう時の共通点を振り返ってみてください。
お子さんの苦手な硬さや食材がわかると、遊び食べ解決の糸口になるかもしれません。
- 食材の硬さ
- いつも遊ぶ食材や食器は何か
- 食事の量の多さ
- 味付け
- 食材の切り方(スティック状、大きさ)
食材の大きさや硬さによっては、スプーンですくいづらかったり、口まで運びづらかったりする場合があります。
子どもが「食べにくい」と感じると途中で意欲がなくなってしまい、別の遊びを始める原因にもなりますので、様々な大きさや量を試してみて、お子さんに合うものを見つけてみてください。
食べ物で遊んでいると「ダメ!」とつい注意したくなってしまいますが、伝え方を工夫したり、食べやすい環境を作ってあげたりすることが大切なのですね。
はい。 あと、食事を途中で下げる時や、おやつを我慢してほしい時、子どもが「やだ!」「まだ食べる!」と駄々をこねる場面もあるかもしれません。
ですが、いつでも好きな時に好きなだけ食べられるわけではないと経験させることで、「食べる時間にきちんと食べよう」と子どもが気づくきっかけになります。心を鬼にして対応しましょう。
まとめ
子どもの遊び食べには、食べ物への好奇心や、その時のおなかのすき具合、その食材を食べ慣れていないなど、様々な理由があることがわかりました。理由を知ると、落ち着いて対処することができますね。
遊び食べ自体は、子どもの心身の発達とともに見られる自然な姿です。
子どもの成長により、ほとんどの場合は改善していきますので、「見守る時間」と割り切ることも有効です。
毎食遊び食べをされるとストレスもたまると思いますが、親子で楽しく食事ができるよう、今回紹介した方法をぜひ試してみてくださいね!
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