夏になると、大人も子どもも食べたくなる“アイスクリーム”。
特に暑い時期には、子どもに冷たいアイスクリームを食べさせてあげたいと思いますよね。ですが、「まだ小さい子どもにアイスクリームをあげてもいいのかな?」と、疑問がわく方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、子どもがアイスクリームを食べ始めてよい時期や、アイスクリームを食べる際の注意点などについて、ライターの金子が栄養士のえりな先生にお聞きしました!
えりな先生
市内の保育園で9年間給食に携わった後、昨年の4月からみらいく保育園に入職しました。子どもたちの食べたい気持ちを大切にする給食作りを心掛けています。
目次
1歳児にアイスクリームを食べさせても大丈夫?
アイスクリームは、子どもにいつ頃から食べさせてもよいのでしょうか?
アイスクリームを食べ始めるのは、離乳食が完了期に入った1歳以降が望ましいです。
さまざまな食材に慣れる前に、甘く滑らかなアイスクリームの味わいを覚えてしまうと、野菜など大切な栄養源となる食材の味を避けるようになる可能性があるからです。
やみつきになる味だからこそ、むやみにあげない方がよいということですね。
はい。また、このあと詳しく説明しますが、アイスクリームの脂肪分や冷たい温度が、子どもの胃腸には負担が大きいので、食べる量には注意が必要です。
アイスクリームの種類
一口にアイスといっても、バニラアイスやシャーベット・ソフトクリーム・かき氷など多種多様ですよね。
これら全て、1歳以降が望ましいのでしょうか?
市販のアイスは乳脂肪分・乳固形分の量が多い順に、以下の4種類に分けられます。
アイスクリーム : 乳固形分15%以上(ミルクのコクが深い)
アイスミルク : 乳固形分10%以上(アイスクリームよりややあっさり)
ラクトアイス : 乳固形分3%以上(植物性脂肪を使用しカロリーが高い場合も)
氷菓(シャーベットやかき氷など)
いずれも、甘みが強い・冷たくて胃腸への負担が大きい点で同じですので、与え始めるタイミングに注意しましょう。
糖分の与えすぎには気をつけよう!
子どもがまだ幼い時は、濃い味つけを控えるようよく言われますよね。
それは、離乳食期から3歳頃までの間に子どもの味覚の土台がつくられるからです。
味覚が発達する時期に濃い味ばかりを食べていると、味覚が鈍麻し甘味や塩味の強い物ばかりを好んで食べるようになってしまいます。
その結果、大人になっても濃い味を好んで食べ続け、生活習慣病や肥満のリスクを高めるということですね。
アイスクリームはかなり甘い印象ですが、味覚の土台が作られる時期である1歳の子どもには、あまり適さないということでしょうか?
そうですね。
1歳児の1日の糖分目安量はかなり少ないので、約20〜25gの砂糖が含まれている一般的なバニラアイス(150g)は1歳のお子さんにとっては甘味の強い食べ物です。
濃い味に慣れないよう注意が必要です。
アイスクリームを食べさせる時の注意点
味覚の発達という観点から、アイスクリームの食べ方には注意が必要ということがわかりました。えりな先生は、1歳頃の子どもにアイスクリームを食べさせることについて、どうお考えですか?
私はできればアイスクリームは3歳頃まで控えるのが理想だと思っていますが、現実には兄弟がいたり、パパやママがアイスが好きだったりするご家庭では、3歳まで完全に控えるのは難しいこともあるでしょう。
大切なことは、アイスを嗜好品として楽しみ、パパやママが食べる量をコントロールできるようにすることです。
欲しがるたびに与えるのではなく、特別なご褒美として楽しめるようにしていくとよいでしょう。
確かに、親や兄弟が食べていると子どもも食べたくなりますから、3歳まで完全に食べさせないというのは難しいかもしれませんね。
食べる量の目安
では、1歳の子どもにはどのくらいの量のアイスクリームが適切なのでしょうか?
目安は1度に50kcal。
バニラアイスが150gで約300kcalですので、5~6分の1程度をイメージしてください。
バニラアイスやチョコアイスなど、クリーミーなアイスは脂肪や糖が多く含まれています。
大人でも脂っこい食事の後は胃がもたれますよね。子どもはさらに、脂を分解する酵素が少ないため、より消化に時間がかかります。
それによって、普段の食事が食べられなくなったり、お子さんによっては下痢を引き起こしたりする場合があるので、注意しましょう。
脂肪分の少ない氷菓(かき氷やアイスキャンデーなど)でも、同じでしょうか?
はい。他のアイスに比べて氷菓は脂肪分は少ないのですが、冷たい食べ物が子どもの胃腸に負担をかけることに変わりはありません。
また、甘味の強い食べ物を控える観点からも、食べ過ぎないようにした方がよいでしょう。
虫歯予防をしっかりと
他にも、アイスクリームを食べさせる時に気をつけるべきポイントはありますか?
アイスクリームは口の中で溶けるので歯には留まりにくいものの、歯磨きをせず放置すると酸が作られ、歯が溶けていきます。
乳歯はエナメル質が薄く虫歯になりやすいため、アイスを食べた後は歯磨きを忘れず行いましょう。
すぐに歯磨きができない状況であれば、うがいをしたり水を飲んだりして、口内をすすぐのもおすすめです。
乳歯の虫歯は永久歯にも影響を及ぼしますので、ケアを怠らずにしていきたいですね。
アレルギーにも注意
加熱済みの卵や乳が食べられるお子さんでも、生の卵や乳でアレルギー反応が出ることがあります。
アイスクリームは卵や乳を加熱しないことが多いので、生卵・生乳をまだ食べたことの無いお子さんや、アレルギーが心配なお子さんは控えた方がよいでしょう。
特に、売店で売っているソフトクリームなどは原材料や製造環境が確認できないため、食べさせたことのない食材があるお子さんは控えた方がよいでしょう。
風邪の時はアイスが役立つことも
子どもにアイスクリームを食べさせるには、色々な配慮が必要なのですね。
ここまで注意点を挙げてきましたが、アイスクリームが活躍する場面もあります。
それは、風邪をひいた時です。
アイスクリームは冷たくて食べやすい上にカロリーも高いので、食欲のない時や口内炎・のどが痛い時のエネルギー摂取にぴったりです。
また、お薬を飲む時にもおすすめです。
スプーン1杯分のアイスにお薬を混ぜ込んで食べさせてあげましょう。アイスの冷たさと甘さで飲みやすくなります。
ただし、その際はあらかじめ主治医や薬剤師に確認をするようにしましょう。
アイスクリームはスムーズにエネルギー補給ができるだけでなく、薬も飲みやすくしてくれるのですね。
まとめ
アイスクリームは冷たくて甘い魅力的な食べ物ですが、子どもの味覚の発達や健康には留意して与える必要があるとわかりました。
一方で、風邪をひいた時などには、エネルギー補給や服薬のサポート役として活用できる場面もあります。
胃腸や味覚への影響を理解し、子どもの健康を守りながら、子どもと一緒にアイスクリームを楽しむ方法を見つけていきましょう。
保育学生ライターです。大学では日々保育について勉強中。少しでも子育ての役に立つような情報をお届けしたいと思っています!
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