昨今では、畑ではなくスーパーに並ぶ野菜しか見たことのないお子さんも少なくないと思います。
「野菜が苦手な子どものためにも家庭菜園をやってみたいが、何かと大変そう・・・」とお考えのママやパパもいるでしょう。
敷居の高く感じる家庭菜園ですが、野菜の種類によっては簡単に育てられるものがあります。
そこで今回は、子どもと家庭菜園をするメリットや、野菜選びのヒントになる情報について、保育士の先生にインタビューしました。
ちさと先生
3人の子どもの育児をしながら、みらいくで担任を持ち3年目。子ども達が「毎日楽しかった♡」と思えるよう全力で楽しい保育!!を心掛けています。
目次
子どもと植物を育てるメリット
保育園ではよく野菜を育てていますよね。
子どもと一緒に家庭菜園をすることで、子どもにとってどんな利点があるのでしょうか?
私たちの園でも、トマトやキュウリ、オクラなど様々な野菜を育てたことがあります。
子どもたちと植物のお世話をすることで、以下のような利点があると思います。
植物が育つ過程を知ることができる
「はじめはこんなに小さな種なんだ」「水をあげないと枯れてしまう」など、実体験から植物について知ることができます。
五感で楽しめる
植物をお世話する中で、トゲトゲを見つけて触れてみたり、土のぬくもりを感じたりと、様々な発見があります。
こういった五感で感じた刺激が、子どもたちの心を育てることに繋がっていきます。
食育になる
実際に野菜を育ててみる事で、野菜に興味を持つきっかけになります。
苦手な野菜でも、自分で育てた野菜なら食べてみようと子どもが挑戦する姿もしばしばみられます。
自分で育てる事で、食べ物を大切に頂こうという気持ちが育まれそうだなと思いました。
そうですね。確かに、生産者への感謝や命のありがたみなどを言葉だけで説明して理解してもらうのは難しいです。
例えば「食べ物を粗末にしない」「農家さんが悲しむよ」といったメッセージは、野菜を育てる大変さを知らない子どもたちには理解が難しいかもしれません。
野菜が成長する嬉しさや難しさを感じたり、育てたものを大切に食べたりと、様々な経験をする事が重要だと考えています。
また、食料品スーパーでは季節に関係なくどんな野菜も揃うため、旬を感じづらくなっています。
栽培を通して、「夏にできるトマトはおいしいな」など、季節や食を楽しめる感性は、子どもたちの豊かな心や将来の食生活に繋がっていきます。
家庭菜園は公園の植物と違って、収穫して食べたり成長の過程に気づけたりする良さがあるのですね。
家庭菜園に必要なものとは?
家庭菜園を始めるには、タネや苗以外に何を揃えたらよいですか?
簡単な栽培であれば、基本的に以下のものを揃えれば育てることができます。
【 必ず必要なもの 】
- プランター
- 培養土
- 鉢底石
- はさみ
【 あると便利なもの 】
- じょうろ
- スコップ
- 軍手
育てる植物によってはネットや支柱が必要になることがあります。また、プランターやスコップはペットボトルなどで自作することもできます。
培養土とは何ですか?
培養土は、植物に合わせて土や肥料がブレンドされているものです。
培養土を買う時は、野菜用・トマト用・花用など育てたい植物に合わせた土を選ぶことで、肥料をまく手間が省けます。
プランターの容量にも気をつけて購入してくださいね。
おすすめの野菜3選
家庭で初めて栽培する際に、おすすめの野菜を教えてください。
これから紹介する野菜たちは、プランターでも簡単に育てられる野菜で、保育園の栽培でもよく取り入れられています。
詳しい育て方は省略しますが、栽培期間やお世話内容を簡単にまとめましたので、野菜を選ぶ際の参考にしてみてください。
どんな野菜を育てたいかは、お子さんと一緒に決めるのもおすすめです。
ラディッシュ
- 春か秋に種まき
- 水やりは土の表面が乾いたら行う(水のあげすぎに注意)
- 収穫までに2回間引きを行う
- 種まきから約1か月で収穫
ラディッシュは、プランターの代わりに2Lペットボトルや牛乳パックを使っても育てることができます。
また、土やプランターがセットになった栽培セットも販売されているようです。
初めての栽培にはぴったりの野菜ですよ。
オクラ
- 5~6月に苗を植える
- 花が咲く頃に支柱が必要
- 虫がついていないか葉をこまめにチェックする
- 8月頃に収穫
オクラは5~8cmくらいに成長したら収穫できます。
「収穫どきかな」と思った次の日には硬くなっていた、という事もあるので、毎日よく観察することが美味しく食べるコツです。
もし硬くなってしまったら、野菜のスタンプ遊びに活用してみたらいかがでしょう。
オクラの可食部は上に向かって伸びていくので、保育園の子どもたちはそれをとても面白がっていましたよ。
ミニトマト
- 5~6月に苗を植える
- 苗を植える時に支柱を用いる
- プランターは1株に深さと幅が30cm以上の大きなサイズ
- わき芽をとったり、つるを支柱に固定したりするなどのお世話が必要
- 7月頃から収穫
ヘタが上に丸まってきたら収穫をしましょう。
株が元気に育つと1か月以上収穫を楽しむことができます。
保育園では、収穫したらシールを貼るようにしていました。
すると1つの株からどれだけ収穫できたのかわかり、子どもたちも「こんなに獲れたんだ!」と喜んでいました。
栽培のイメージが湧いてきました。
家庭菜園に使えるスペースや、手間のかかり具合を参考にしながら、ご家庭に合ったものを選びたいですね。
その他:色水遊びが楽しい花
また、以下の植物は色水遊びにぴったりな植物です。2種類とも丈夫で簡単に育てられます。野菜と並行で育てて、開花したら色水を作って楽しむのもおすすめですよ。
【 色水遊びが楽しい花 】
- バタフライピー
- ペチュニア
育てた花から色水を作るなんて、子どもたちの想像力や好奇心をくすぐりそうですね。
子どもと一緒に家庭菜園に取り組む時のポイント
これから子どもたちと一緒に植物を育てる親御さんたちに、アドバイスはありますか?
はい、保育園で意識していることを紹介したいと思います。
植物の成長過程を写真に撮っておく
日々お世話をしていると、変化に気づきづらいものです。
写真を使って見比べることで、子どもたちにとっても成長がわかりやすく、達成感や喜びに繋がります。
収穫まで短い・変化がわかりやすい種類を選ぶ
お世話をするたびに発見がある方が楽しめますし、興味もより長続きすると思います。
例えばラディッシュは種まきから4日程度で芽が出て、毎日葉が増えたり伸びたりと、成長を感じやすいはず。
ミニトマトは、日ごとに赤くなっていく様子が面白いようで、子どもたちも夢中になって観察していました。
疑問が生まれたら一緒に考える
植物を育てていると、「なぜ枯れてしまったのだろう?水やりをするのは何のためだろう?」というように発見と共に疑問が湧いてくることもあります。
その場で答えを教えてあげるのもよいですが、4〜5歳の子どもたちであれば図鑑やインターネットで一緒に調べてみたり、「なんでだろうね」と一緒に考えたりしています。
保育士としてはこのようなことを意識しながら子どもたちと植物を育てていますが、家庭ではもっと気楽にチャレンジしてみてほしいと思います。
子どもたちにとっては、育てた物を食べたり、たまに成長を見守ったりするだけでも多くの意味があるはずです。
まとめ
今回は、子どもと家庭菜園をするメリットや、上手な野菜の選び方について、ちさと先生に詳しいお話を伺いました。
現在日本では、死亡原因における生活習慣病の割合は約6割にのぼり、その生活習慣病になる原因の一つが「食習慣」となっています。
食育への理解を深め、子どもたちの食への関心を育むために、今回の記事がお役に立てば幸いです。
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