家の中には、小さな子どもにとって危険な場所がたくさんあります。
- 小型電池やお金があるリビング
- 柔らかい布団やクッションがある寝室
- 10センチの水が溜まるだけ危険な浴室
- 等々
大人にとって何てことない場所も、小さな子どもにとっては命に関わります。
この記事では、須坂市役所 健康福祉部 健康づくり課 保健師の望月佳奈さんに、家の中の危険についてインタビューしました。
この記事を見ると、次の5つが分かります。
- 家の中で発生する事故の割合
- リビングで起こる事故と防ぎ方
- 寝室で起こる事故と防ぎ方
- キッチンで起こる事故と防ぎ方
- 水回りで起こる事故と防ぎ方
この記事を見ながら、家の中に潜む危険を一緒に確かめて、子どもが安全に過ごせる場所へ変える際の参考にしてみて下さい。
目次
家の中で起こる赤ちゃんや子どもの事故は、どのぐらいありますか?
家の中で起こる赤ちゃんや子どもの事故は、どのぐらいありますか?
2020年に消費者庁が行った調査によると、14歳以下の子どもがいる4人に1人が「家の中で事故、またはヒヤリハットの経験がある」と回答しています。
ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、ヒヤッとしたり、ハッとしたりすることです。
14歳以下の死因は、多いものから順に、交通事故、窒息、溺水、転落となっています。つまり、不慮の事故が乳幼児の不慮の事故の上位を占めています。(※2015年の消費者庁の調査による)
特に、0歳の赤ちゃんの死亡事故は、56%が家の中で起きています。家の中にどんな危険があるか知り、事故が起きないよう注意してください。
家の中に潜む危険な場所は?
家の中に潜む危険について、次の4つに分けてお聞きしました。
- リビング
- 寝室
- 水回り
- キッチン
家族で過ごす時間の多いリビングは、どのような危険がありますか?
家族で過ごす時間の多いリビングは、どのような危険がありますか?
リビングでは、誤飲、窒息が起きやすいです。
赤ちゃんは、生後4カ月頃から何でも口に持っていくようになります。食べてはいけない物を誤って飲み込み、それをのどに詰まらせると息ができなくなります。これが誤飲と窒息です。
誤飲すると危険な物にはタバコ、小型電池、磁石、洗剤、お金などがありますが、誤飲物の約半数はタバコです。
また、ボタン電池は誤飲すると食道に詰まったり、胃の中に留まったりして、重症事故に繋がりやすいので注意して下さい。
ボタン電池は、子どもの手の届かない所に置きましょう。他にも、電池が使用されている物は、フタが外れやすくなっていないか確認して下さい。
誤飲対策では、子どもの目線になって、誤飲しそうな小さな物や危険な物を、床やテーブルの上に置かないように気をつけて下さい。
寝室にはどんな危険がありますか?
寝室にはどんな危険がありますか?
寝室では、窒息や転落が起きやすいです。
1歳未満の赤ちゃんは、寝ている間にタオルや枕、よだれかけなどで口が塞がってしまうことがあります。また、母乳やミルクを吐き戻して、窒息してしまうことがあります。
さらに、首がすわっていない時にうつぶせになると、窒息してしまう危険もあります。
窒息対策では、柔らかい布団やクッションの上に赤ちゃんを寝かせないで下さい。うつぶせで寝た時は、目を離さないようにすることが大切です。
また、窒息を防ぐために赤ちゃんの周りに、次のものを置かないように気をつけて下さい。
・タオル
・ぬいぐるみ
・ひも
・ポリ袋
よだれかけを付けている場合は、外しておきましょう。
次は、転落です。
寝返りやハイハイ、つかまり立ちができるようになると、ベッドから転落してしまうことがあります。
ベビーベッドの場合、柵が身長の高さに合っているか、ベッドの中に踏み台となるような物がないか確認して下さい。
大人用ベッドの場合は、ベッドガードの設置がおすすめです。転落してもケガをしないように、床に座布団などを敷いて対策してみて下さい。
キッチンには、どんな危険がありますか?
キッチンには、どんな危険がありますか?
キッチンでは、やけどや、切る、刺さるなどのケガが起きやすいです。
まず、やけどについてです。子どもの皮膚はとても薄く、大人よりもやけどをしやすい傾向があります。
食事の支度中に、テーブル上の熱い液体や食べ物が子どもに掛かってやけどしてしまうことが多いので気をつけて下さい。
また、テーブルクロスや電気コードを引っ張って、熱い物をこぼすことがあります。電気ポットや炊飯器の蒸気に手を出して、やけどしてしまう危険もあります。
大人が熱い物を持っている時はに周りに子どもがいないか確認しましょう。子どもが小さいうちは、テーブルクロスを使わないで下さい。
次に、ケガについてです。
キッチンには包丁などの刃物やガラス食器など、危険な物が多くあります。
刃物は使い終わったらすぐに片付けるようにし、危険な物が入っている所には、ストッパーを使って開けられないようにして下さい。
キッチンに入れないように、ベビーゲートを設置するのもおすすめです。
浴室や脱衣所などの水回りには、どんな危険がありますか?
浴室や脱衣所などの水回りには、どんな危険がありますか?
水回りでは溺水(できすい)が起きやすいです(溺水とは、おぼれることを言います)
赤ちゃんや子どもの溺死事故の多くが、家の浴室で起きています。特に、1歳前後が多いと言われています。
大人と一緒にお風呂に入っていても、大人が髪を洗っている間や着替えを取りに行っている間など、ほんの少し目を離した隙に溺れてしまうことがあります。
また、子どもが1人で浴室に入ってしまい溺れてしまうこともあります。
水回りの事故を避けるためには、浴室に鍵を掛け、子どもが1人で入れないようにするのがおすすめです。また、入浴後はお風呂の水を抜いておくと安心です。
子どもは、洗面器やバケツに張ってあるわずか10センチの水でも溺れてしまうことがあります。
水の量が少なくても子どもの手の届くところには置かないようにし、水遊びの時も、子どもを1人にしないように気をつけて下さい。
専門家からのメッセージ
最後に、保護者の皆さんへメッセージをお願いします。
家の中にある危険な場所をお伝えしてきましたが、階段も危険な場所です。
ハイハイをし始める頃から、階段での転落が起こりやすくなります。階段の上下に転落防止の柵を設置し、子どもが1人で階段に近付けないようにして下さい。
保護者が安全対策をとることで、子どもの事故は防げます。
しかし、子どもの動きは予測がつきません。また、子どもの成長はとても早いので、昨日まで出来なくても今日できるようになることがあります。
「まさかやらないだろう」と思い込まずに、子どもの成長や目線に合わせて、家の中に危険な物や場所がないか見直してみて下さい。
まとめ
ここまで、須坂市役所 健康福祉部 健康づくり課 保健師の望月佳奈さんに、家の中に潜む危険についてインタビューしたことをお伝えしました。
改めてまとめると、次の通りです。
・0歳の死亡事故の56%は家の中で起こる
・リビングでは、お金や小型電池などの誤飲に気を付ける
・キッチンでは、やけどとケガに気を付ける
・水回りでは、浴室や浴槽で溺れないように注意
・階段では転落に注意
保護者が家の中の危険な場所をを知り、対策することで事故は防げます。
起こってから後悔しないために、すぐに家の中を確認してみて下さい。
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