食を通じて子どもを育てる!家庭と保育園での「食育」について栄養士に聞いた

「食」は、私たちが生きていくために欠かせない重要要素の1つです。

特に幼い子どもたちにとっては、食を通じての経験は、身体だけでなく心の発達を育む上で重要な成長機会となります。食の大切さを伝え、子どもの健やかな成長をサポートする「食育」は、大事な教育の1つとして注目されています。

そこで今回は、学生ライターの小川が、栄養士の茅野先生に保育園での食育の重要性と意義、具体的な実践方法、家庭での継続的な取り組み方について伺いました。

子どもたちの健やかな成長のため、食育に関する知識を深め、保育園と家庭での連携を促進していきましょう!

みらいく早苗町栄養士
茅野ももこ先生
病院や社員食堂の栄養士として、6年間勤務し、昨年から保育園で栄養士をしています。
食事や食育を通して「食」の面から子ども達の成長をサポートしたいという想いで日々業務に取り組んでいます。

そもそも食育とは?

小川

最近よく「食育」という言葉を耳にしますが、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか?

ももこ先生

食育とは、文字通り「食に関する教育」のことを指します。それは、ただ食べることだけではなく、食の大切さ、食材の選び方、栄養のバランス、食事のマナー、食材の出所など、食に関する幅広い知識や、意識を身に付けることを目指す教育のことです。

食育の意義

小川

保育園で食育に取り組む意義は何でしょうか?

ももこ先生

保育園は、子どもたちが初めて社会的な環境で食事を共にする場所です。

この時期に食に対する興味関心を持つことは、その後の食生活や健康意識の形成に非常に重要です。そのため、保育園での食育は、子どもたちが食べ物を通じて感謝の気持ちや共有の大切さ、地域や文化を理解していくための「基礎づくりの場」となります。

食育は国も推進している取り組みの1つ

小川

平成17年に食育に関する「食育基本法」も制定されましたよね。

ももこ先生

はい。この法律は、「国民が健康で豊かな人生を送るための基盤として、食育の推進が重要である」と明記されています。それにより、地域、家庭などでの食育の取り組みが促進されてきた背景があります。

小川

保育園もその取り組みの一環として、食育を重要視しているのですね。食の大切さや楽しさを、子どもの頃から学べる機会があることは、素晴らしいですね。

保育園での食育の重要性

小川

先ほどの話で食育の基本を知りましたが、具体的に保育園での食育がなぜ重要なのか教えてください。

食生活の基盤づくりとなる

ももこ先生

まず、保育園は子どもたちの健全な食生活の基盤を形成する場として非常に大切です。子どもたちはこの時期に栄養バランスのよい食事の重要性や、食のリズムを学びます。この学びは、将来の食生活の質を向上させる大きな要因となるのです。

小川

なるほど、その基盤がしっかりしていれば、将来的にも健康的な食生活を継続しやすいのですね。

食事や食べ物への興味・好奇心を育む

ももこ先生

次に、保育園の時期は食べ物への興味や好奇心を育む時期でもあります。新しい食材や料理に触れることが多いタイミングですから、味の多様性や食材の違いを体験して、食に対する好奇心や興味を広げるのに最適なのです。

小川

確かに、子どものころの食体験は大人になっても忘れられないものが多いですよね。

人としての基本的な価値観を学ぶ

ももこ先生

食事の時間は、ただお腹を満たすだけでなく、人としての大事な価値観を育む機会でもあります。一緒に食事を共有する中で、待つことの大切さや、感謝の気持ち、相手への思いやりなど、多くの人間としての基本的な価値観を学ぶことができるのです。

小川

そう考えると、食事の時間は本当に大切ですね。食べることだけではなく、そこにはたくさんの学びや経験が詰まっていると感じます。

保育園で行われている実践的な食育の方法

小川

保育園では、具体的にどのような形で食育を取り入れているのでしょうか?

ももこ先生

食育の実践方法は多岐にわたりますが、ここでは主な3つをご紹介しますね。

バランスの良い食事の提供

保育園での食事は、子どもたちにとっての主要なエネルギー源です。そのため、栄養バランスに基づいた献立の作成が不可欠です。たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなどのバランスを考慮しながら、美味しい食事を提供することが基本です。

ももこ先生

地域の旬の食材を活用することも重要です。これにより、子どもたちは季節感を感じながら、新鮮で栄養価の高い食材を味わうことができます。

食材の調理過程を見せる・収穫を体験させる

子どもたちには、食材がどのようにして料理に変わるのか、調理の実演を見せることが有効です。また、子どもたちが直接参加することで、食に対する興味や理解を深めることができます。

ももこ先生

さらに、畑や農園での収穫体験も大切です。自らの手で野菜や果物を収穫することで、食べ物への感謝や食の大切さを実感することができます。

食に関するお話を聞かせる

食材がどこから来たのか、どのようにして育てられたのかなど、食材の出所や関わる人たちのエピソードを共有することも重要です。これにより、子どもたちは食材に対する理解や感謝の気持ちを深めることができます。

ももこ先生

それぞれの方法は、子どもたちの成長や健康、社会性の形成に役立つものばかりです。このような内容を保育園のカリキュラムに取り入れることで、子どもたちの豊かな人生の礎を築く手助けをすることができます。

実際に保育園で実施している食育計画の例を紹介します。

小川

なるほど、このように月齢ごとにねらいを決めて取り組んでいるのですね!

家庭でも食育をするためのアドバイス

小川

保育園での食育はとても大切だとわかりました。一方で、家庭ではどのように食育を進めるとよいでしょうか?

ももこ先生

実は家庭こそが、食育を日常的に行って欲しい場所です。ここで、アドバイスとして提案したい取り組みを紹介します。

家庭での食育の取り組みの例

子どもと一緒に献立を考え、料理をする

食材の選び方や調理方法を学ぶことができます。自ら作った料理は、特別に美味しく感じるものです。

「おいしいごはんノート」をつくる

一緒にごはんを食べたら、何を食べたかを絵で描き、「おいしいごはんノート」に記録しましょう。そうすることで、3食しっかり食べる習慣づくりに繋がります。

家庭菜園をする

限られたスペースでも、ベランダや窓辺でプランターを使って野菜の栽培が可能です。収穫した食材を使って料理することで、食のサイクルを実感できます。

親子で一緒に楽しむ食の活動の提案

食材の買い物をする

スーパーマーケットや地域の市場を訪れ、一緒に食材を選ぶことで、季節感や食材の鮮度を学ぶことができます。

料理教室の参加

地域で開催される料理教室やワークショップに親子で参加することで、新しい料理法や食文化を学ぶことができます。

食に関する絵本を読む

色とりどりの野菜や楽しい食事のお話がたくさん詰まった絵本を一緒に読みましょう。

絵本の中のキャラクターたちの様子を見ることで、食べ物への興味が湧き、食事がもっと楽しいものに感じられるようになります。絵本を通じて食に対する理解を深め、食事の時間をより豊かなものにしましょう。

ももこ先生

重要なのは、食育を「学び」ではなく、「楽しむ」ものとして捉えることです。食事や食に関する活動の時間を、親子でのコミュニケーションの場として最大限に活用することが、食育成功への鍵となります。

小川

家庭での食育も、とても楽しそうですね!これらのアドバイスを参考に、大人と子どもが食育により楽しんで取り組んでもらえると嬉しいですね。

まとめ

本記事では、保育園での食育の意義や実践的な取り組み方法について、栄養士の茅野先生に伺いました。

食事の時間や食に関する活動は、子どもたちが健全な食生活を築く基盤を形成するだけでなく、食材への興味や好奇心を引き出し、作り手への感謝など、人として大事な価値観を育む重要な機会であると学びました。

保育園では、栄養バランスに基づいた献立の作成、調理の実演、食に関する教育など、様々な方法で食育を取り入れて実践しています。

家庭では、食育を「学び」として捉えるよりも、親子で食に関する活動を「楽しむ」ようにすることが、食育成功の秘訣です。子どもと一緒に献立を考えたり、家庭菜園をしたり、食に関する絵本を読んだりして、家族で過ごす時間を楽しむと共に、食に関しての感性を育てていきましょう!

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この記事を書いた人

小川愛海
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