原因は様々ですが、子どもにも口内炎ができることがあります。特に小さなお子さんの場合、痛がって食事や水分を摂れなくなってしまうこともあるので、親御さんとしても心配ですよね。
今回は、病児保育で看護師を務めるまきこ先生に、子どもに多い口内炎の原因や対処法について教えていただきました。
この記事を読むことで、以下の4つのことが分かります。
- 子どもにできる口内炎の主な原因と症状
- 子どもに口内炎ができたときの対処法
- 病院へ行く目安
- 口内炎があっても食べやすい食事
是非参考にしてみてくださいね!
病児保育 看護師
大学病院やクリニックで小児科を学び、病児保育室、小規模保育園などで勤務。長野県へ移住後も子どもと触れ合える仕事に就くことができ、喜びを感じる毎日です。子どもとその家族の笑顔を守りたい、病児保育室で過ごす時間が楽しくてホッとできるように…を心がけています。
目次
子どもに口内炎ができる主な原因
まきこ先生、よろしくお願いします!
友人の1歳半のお子さんの話なのですが、ごはんを嫌がってグズるので口の中を見たところ、口内炎のようなものがあったそうです。子どもにも口内炎ってできるんですか?
お子さんも大人と同じように口内炎ができますよ。大人と少し違うのは、疲労などで免疫が落ちたときにできやすいだけでなく、ウイルス感染などが原因で口内炎を引き起こすこともあり、様々な原因が考えられる点です。主な原因を説明していきますね。
傷による口内炎
日常生活の中でできる口内炎として多いのが、口の中にできた傷からバイ菌が入って炎症を起こす「カタル性口内炎」というものです。
食べ物を食べているときに口の内側を噛んでしまってできた口内炎もこれに該当します。子どもの場合ですと、どこかにぶつけた拍子に舌や口の内側を噛んで傷ができるケースも多いですね。
ストレスや免疫力の低下による口内炎
ストレスや免疫力の低下が原因で生じる口内炎を「アフタ性口内炎」と言います。
新生児期~乳児期の赤ちゃんの場合、免疫力が落ちたときなどに常在菌のカンジダ菌が繁殖することで生じる「鵞口瘡(がこうそう)」という口内炎が多く見られます。鵞口瘡になると舌の上が真っ白になるので、親御さんも気づきやすいのではないかと思います。
免疫力が低下すると、赤ちゃんでも口内炎ができてしまうんですね。ちなみに、鵞口瘡の場合は病院に行った方が良いですか?
鵞口瘡は珍しい病気ではありません。カンジタ菌はおしりかぶれの原因となることもありますし、口の中の場合でも基本的には心配していただかなくても大丈夫です。治療法もありますので、気になる場合は一度病院を受診することをおすすめします。
ウイルス感染による口内炎
子どもの口内炎の原因となる病気には、ウイルス感染が原因となる以下のような病気があります。
- 手足口病
- へルパンギーナ
まだ月齢が低いお子さんを持つ親御さんは「初めて聞いた!」という方も多いかもしれませんね。それぞれの詳しい症状については後ほど紹介します。
子どもがかかるウイルス性の口内炎の症状は?
一言で「口内炎」と言っても、色々な原因があるんですね!
近々我が子が保育園に入園する予定なので、うつる可能性がある「ウイルス性の口内炎」について知りたいです。先ほど教えていただいた手足口病とヘルパンギーナはどういった症状が出るのですか?
手足口病とヘルパンギーナは、どちらもエンテロウイルス属の感染によって起こるウイルス性の口内炎です。いずれも口の中に水疱ができますが、手足口病は熱が出ないこともあり、比較的軽症で済むこともあります。それぞれの症状について詳しく説明しますね。
手足口病
手足口病になると、その名の通り手の平や足の裏、口の中に赤い発疹が出ます。
他にも唇の裏や頬の内側、舌などの粘膜にも水疱や潰瘍(口内炎)ができ、発疹や水疱はお尻や膝の周り、手足の指先などにも出ることがあります。まれに、発熱や下痢を伴うこともあります。
典型的な水疱が形成されていれば判断もしやすいですが、一口に手足口病と言っても発疹の出方にも種類があります。自分で判断せず、まずは小児科を受診して診断してもらうのが一番安心かと思います。
お子さんからうつって大人がかかり、「口内炎がしみてとても痛い…」とおっしゃる方も多いので、親御さんも注意が必要です。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、突然38℃以上の高熱が出て、のどや口の中、口唇に発疹や潰瘍ができるのが特徴で、下痢を伴うこともあります。急に熱が上がるケースが多いので、びっくりされる親御さんも多いですね。
大人が感染しないために気をつけること
もし子どもがウイルス性の口内炎になった場合、子どもからの感染を防ぐために何か気をつけるポイントはありますか?
基本的には、手洗い・うがいとマスクの着用によって予防することができます。
お子さんのよだれを拭き取った手をそのままにしたり、スプーンなどの食器類を共有で使うことによってうつってしまうことがあるので、注意してくださいね。
また、便にもウイルスが排出されるので、オムツ替えの後はしっかりと手洗いをして部屋の換気をするなどして、家族が感染するのを防ぎましょう。
子どもに口内炎ができたときの治療法
病院を受診した場合
子どもの口内炎で小児科を受診した場合、お薬なども出ますか?
口内炎で痛みがひどく食事や水分が摂れない場合は、塗り薬やうがい薬が処方されることがあります。ただし、お薬を塗ったからといって、すぐに治るというわけではなく、炎症を抑えたり痛みを和らげるといったものです。
残念ながら、口内炎を引き起こすウイルス感染症にはそれ自体を治す薬はありません。そのため、病院を受診しても、基本的には対症療法になります。一般的には3〜7日で自然に軽快していくので、特に対処はせずに様子をみることも多いですね。
病院を受診する目安は?
口内炎があっても熱がない場合、どのタイミングで病院を受診するのが良いでしょうか?
熱がない場合も、口の中を痛がっていたり長引いているようであれば、一度受診した方が良いでしょう。もし、口内炎が原因で食事や水分が摂れていない状態が続くと、脱水症になる可能性があるので早めに小児科で相談することをおすすめします。
1食だけ食べられなかった…ということであればそこまで心配する必要はありません。
ただし、2食以上続けて食べられない状態が続くようなときは、口内炎以外の他の原因も考えられます。「いつもと様子が違うな…」と違和感を感じた際は、できるだけ早めにお医者さんで診ていただいた方が安心かなと思います。
市販薬は使ってもいい?
口内炎には市販薬もありますよね。少しでも楽になるなら試したいのですが、問題ないでしょうか?
基本的には子どもにも使えるものであれば問題ありませんが、原因が明らかでない状態で市販薬を使用するのは、症状を悪化させてしまう場合もあるのでおすすめできません。
病院を受診して診断がついたうえで使用しましょう。
子どもにも使える市販薬としては、スプレータイプ、塗り薬、貼り薬などがあります。年齢や性格によって使いやすさは異なりますが、小さなお子さんだとスプレータイプが使いやすいかもしれませんね。塗り薬は、綿棒などを使って塗ってあげると良いでしょう。
子どもに口内炎ができたときの対処法
覚えておきたい3つの対処法
子どもに口内炎ができたとき、どんなことに気をつけてあげれば良いですか?
ウイルス性口内炎も、その他の口内炎も、対処法として次の3点を意識していただけると良いかなと思います。
- こまめに水を飲む
- 口内を清潔に保つ
- 口内炎がしみない食事にする
子どもの場合は口の中が痛いと口が開けっぱなしになり、乾燥しやすくなります。口内が乾燥すると、ウイルスや細菌が増殖しやすくなるので治りにくくなってしまいます。
乾燥を防ぐために、こまめに水分を摂るようにしましょう。痛みで嫌がるような場合は、スプーンやストローなどを使って少しずつ飲ませてあげると良いですね。
口内を清潔に保つ必要はありますが、歯磨きは痛がってしまう可能性があので、うがいでも構いません。できるだけ痛い思いをしないよう、食事のメニューも気をつけてあげましょう。
口内炎の原因を見分けることはできる?
それぞれの口内炎を見分ける方法などはありますか?
口内炎は炎症部分の色の違いや、発熱や発疹を伴うかなどで判別することができます。
たとえばヘルパンギーナの場合、喉の奥に水疱や白いモヤモヤとしたものができます。喉を痛そうにしていたり、食事を飲み込むときに痛がっていることで気づくことが多いです。
手足口病は、口の中だけでなく手足にも水疱や発疹ができることで判別されることがあります。
ただし、ネットなどの情報をもとに自己判断してかえって症状が悪化してしまうこともあるので、まずは小児科を受診して診断してもらうのが一番安心ですね。
子どもが口内炎でごはんを食べないときは?
刺激が少ない食べ物にする
口内炎の痛みが原因で食事が食べられない場合、食事を選ぶうえで何かポイントはありますか?
痛みがあるうちは、刺激が少なくのど越しの良い食べ物を食べさせてあげると良いでしょう。
具体的には、以下のようなものです。
- うどん
- おじや
- あんかけ
- 豆腐
- ゼリー
- プリン
- アイス(冷たいので痛みを感じにくい)
反対に、以下のものは刺激や痛みが強いので控えてあげましょう。
- オレンジなどの柑橘類
- 醤油や塩気の強い食べ物
- カレーなど味の濃いもの
- 温度が高く熱いもの
- クラッカーやおせんべいなど硬い食べ物
栄養バランスを考える
友人のお子さんはプリンやゼリーであれば食べてくれるそうですが、それだけだと栄養バランスが気になりますよね。
反基本的には少しでも食べられていれば問題ありませんが、栄養が気になるときは柔らかく煮た野菜をおじやに混ぜ込んだり、あんかけにしたりすると良いですね。麺類が好きというお子さんが多いので、煮込みうどんなども食べやすいのでお勧めです。
また、口内炎を早く治すという意味ではビタミンB2、B6も意識して摂れるようにしてあげましょう。ビタミンB群は粘膜の修復を促したり、新陳代謝を助けて正常な状態に保つといわれています。
<ビタミンB2を含む食材>
納豆、卵、海藻
<ビタミンB6を含む食材>
鮭、バナナ、サツマイモ
脱水症状がみられる場合は病院へ
色々工夫しても口を開けてくれない場合は、どうしたら良いですか?
水分が摂れていれば様子をみても大丈夫です。ただし、水分も摂れていなくて、くちびるが乾燥してぐったりしているなど脱水症状がみられるときは、早めに受診しましょう。
まとめ
子どもの口内炎を引き起こす原因にはいくつかあります。発熱などの症状を伴うときは、できるだけ早めに小児科を受診するようにしましょう。
口内炎の対処法は、こまめに水分をとり、口内を清潔に保つこと。痛みがあるうちは、刺激が少なくのど越しの良い食べ物を食べさせてあげてください。
原因は様々ですが、ほとんどの口内炎は数日〜1週間ほどで軽快していきます。痛みのある期間は大変ですが、食事を工夫しながら乗り越えていきましょう。
お子さまの症状が、1日も早く軽快することを祈っています。
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この記事を書いた人
広島県在住。0歳女の子の子育てに奮闘するママライターです。 自分が今まさに「知りたい!」と思っているテーマを、皆さんに分かりやすくお伝えします!