1歳頃になると、肉も魚も食べられるようになり、ご飯のバリエーションが増えてきます。一方で、子どもの好き嫌いが出てきたり、日々の慌ただしさで献立がワンパターン化したりと、ご飯に関するパパ・ママの悩みが増える時期かもしれません。
そこで、中野みらいく保育園 栄養士のかなこ先生に「1歳児のご飯」についてインタビューをしました。
この記事を読むと、次の4つがわかります。
- 1歳児のご飯の適量、硬さ、味付け
- 1歳児に食べさせてはいけないNGフード
- 簡単レシピ&レパートリーを増やす方法
- 1歳児の食べ方についてのお悩み解決法
また、保育園で実践しているご飯の工夫についてもお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
夜の保育園みらいく 栄養士 かなこ先生
自分で作った食事でみんなを笑顔にしたいという思いから栄養士を目指す。
子どもたちの笑顔のため、食材の大きさや切り方など、日々試行錯誤しながら調理している。
とくに、離乳食を食べる時期の経験がその後の食べ方や好き嫌いなどに大きく影響を与えることから、小規模でひとりひとりにフォーカスできるみらいく各園で栄養士として日々奮闘中。
1歳児のご飯の量・硬さ・味付け
種類が増える1歳児のご飯。量・硬さ・味付けについて、栄養士のかなこ先生に聞いてみました。
1歳児にちょうどよいご飯の量は?
1歳児のご飯の適量を教えていただけますか?
1歳児の1食あたりのご飯の適量は、ご飯や野菜、魚や肉などすべて合わせて145~180g程度です。それぞれの目安は次の通りです。
軟飯90g+野菜・果物の合計40g+魚、肉、卵などの合計15g~30g=145g~
もしくは、軟飯90g+野菜・果物の合計40g+豆腐50g=~180g
タンパク質の過剰摂取は食物アレルギーを誘発してしまう可能性があるので注意が必要です。
また、子どもの体重など体格差によって胃の大きさが異なりますので、上にあげた量がすべての子どもの適量というわけではありません。
毎日の食事を通じて、ひとりひとりに合った適切な量を与えることが大切になります。
また、朝・昼・夕と、大人と同じ時間に食べさせることをオススメします。食事のリズムを作るという意味もありますが、パパ・ママと一緒に食べる食事は、子どもにとって楽しく嬉しい時間になります。
1歳児にちょうどよいご飯の硬さは?
1歳児にちょうどよいご飯の硬さは、どれくらいでしょうか
お米は、柔からめに炊いてください。炊飯器の目盛り線に、少しかぶる程度の水で炊くとちょうどよいです。
おかゆほどの柔らかさだと咀しゃくをせずそのまま飲み込んでしまうため、吐き出す可能性があります。
子どもの月齢に合わせて、お米の硬さを調節していくことが大切です。
他の食材も、歯茎で噛むことができる硬さなら大丈夫です。離乳食完了期に入ると、食べられる食材が増えていきます。
1歳児に適したご飯の味付けは?
食べられる食材が増えると言うことは大人と同じご飯をあげても問題ないでしょうか?
1歳児には、大人と同じご飯の味付けは濃すぎます。まだやめましょう。同じ食材を用意して、柔らかくして薄味にしてから与えるようにしてください。
離乳食の基本は、大人と同じご飯の「硬さ」と「味付け」を変えることです。
味付けをする前のものを小皿にとっておき、醤油の量を調整するなどの対応をしましょう。
保育園では味の付いていないものと味付けしたものを半分ずつ混ぜて調理することもあります。
パパ・ママと同じものを食べられることは、子どもにとってとても嬉しいことです。
ご飯を作る側としても、「大人も子どもも一緒に食べられる料理」だと気持ちが楽になると思います。
1歳児に食べさせてはいけないNGフード
1歳児にまだ食べさせてはいけない「NGフード」はありますか?
あります。判断に迷ったら、以下のポイントを参考にしてみてください。
- 硬いもの
- のどに詰まらせる危険性のあるもの
- 糖分・脂質が多く、消化・吸収しにくいもの
一つずつ詳しく説明していきますね。
1.硬いもの
弾力のあるエビやイカは、しっかりと奥歯が生えそろった3歳以降に食べさせましょう。1歳ですとまだ噛み切れずに、そのまま飲み込んでしまう可能性があります。
またアレルゲン性も高いので注意が必要です。
2.のどに詰まらせる危険性のあるもの
餅、おにぎりなど口の中でまとまってしまうものやブドウ、ミニトマトなど丸いものは注意が必要です。
ブドウやミニトマトは、それ自体は子どもの口に入る大きさですが、丸いままだと窒息する危険があります。
おにぎりは食べやすいように一口大に作ることで、逆にブドウやミニトマトのようにのどに詰まらせてしまう可能性があります。
【対策】
餅、ブドウ、ミニトマト…1/2、もしくは1/4の大きさに切る。
おにぎり…丸型のボール状ではなく、あえて一口で食べられない形の「たわら型」や「三角型」に作る。
3.糖分・脂質が多く、消化・吸収しにくいもの
子どもは大人に比べて内臓が未熟です。そのため、ジュースやスナック菓子などの糖分や脂質が多いものを摂取すると、消化が追いつかずお腹がゆるくなってしまう原因になります。
また、揚げ物も同じ理由です。1歳半を過ぎるまでは摂取を控えましょう。
忙しいパパ・ママに最適!簡単にできるレシピとレパートリーの増やし方
育児・家事・仕事で忙しいと、毎日の献立が悩みの種というパパ・ママも多いと思います。そんな方におすすめの、パッと作れるレシピを教えてください。
はい、簡単にできるレシピを3つご紹介しましょう!手づかみで食べられる離乳食後期のご飯です。まとめて作ってストックしておくと便利ですよ。
具たくさんのふわふわ卵焼き
【材料】(3~4人分)
- 卵1個
- 絹豆腐50g
- ブロッコリー20g
【作り方】
- ブロッコリーはみじん切りにし、ラップに包んでレンジで加熱する。
- 豆腐とブロッコリーを混ぜる。
- 卵を加えて、耐熱容器で加熱をする。
※野菜の内容を変えることで、バリエーションが増えます。
※加熱時間はご家庭にあるレンジに合わせて調整してください。
キャベツと人参のおかか和え
【材料】(3~4人分)
- にんじん 1/4本
- キャベツ 1~2枚
- 醤油 少々
- おかか 少々
【作り方】
- にんじんとキャベツを1センチの大きさに千切りする。
- 耐熱容器に入れてラップをし、レンジで蒸す。
- 醤油とおかかを加えて和える。
※にんじんなどの固い食材をつかう場合には加熱して柔らかくしましょう。
鶏ひき肉のハンバーグ
【材料】(10~15回分)
- 鶏ひき肉 150g
- 豆腐 150g
- 玉ねぎ 20g
- ほうれん草 30g
- 卵 1個
- 小麦粉 少々 ・みそ 適量
【作り方】
- 豆腐はキッチンペーパーで包み、レンジで加熱して水切りをする。
- 野菜類はみじん切りをし、レンジで加熱する。
- 容器に小麦粉以外のすべての食材を入れて、よく混ぜる。
- 食べやすい大きさに丸めて、小麦粉をまぶす。
- フライパンに薄く油を入れ、両面をしっかり焼く。
3つのレシピ、どれも簡単にできてアレンジもしやすそうです!ちなみに食材を冷凍庫でストックする際の注意点はありますか?
豆腐やゆで卵は食感が変わってしまうため、なるべく冷凍は避けましょう。
葉物野菜、根菜類などは冷凍に向いているので、カット野菜を冷凍ストックしておくと、料理が楽になりますよ。特に根菜類は繊維が壊れて、柔らかく調理することができるようになるので冷凍すると便利です。
毎日の献立を考えるのが大変!レパートリーを増やすには?
毎日の献立を考えるのが大変という方のために、レパートリーを増やすコツを教えていただけますか?
はい、レパートリーを限りなく増やせる方法が2つあります!
- 調味料を変える
- 食感をコントロールする
この2つを意識すれば献立のレパートリーを一気に増やすことができます。
1歳になると、味付けに調味料を使うことができるようになりますよね。
味付けをしていない状態の食材を小分けに冷凍しておき、醤油、みそ、塩などの調味料を変えるだけでも味を変えることができます。
また、食感のコントロールをすることもポイントの一つです。
例えば、むね肉、ひき肉など、同じ「鶏肉」でも食感が異なる食材に変えるだけで別のメニューになります。
スープの具材や、混ぜご飯の具を変えるだけでも、いろんな食材が食べられます。
毎回栄養バランスを意識しながら完璧な献立を考えていると、ストレスになることも。
そんな時は「ちょい変え」をしてみましょう。
献立を考えるのが苦手な方は、インターネット検索やクックパッドを参考にする方法もあります。その際は、レシピの調味料の量を子ども向けに減らして薄味にし、硬さも調整しましょう。
1歳の誕生日にお祝いしてあげたい!どんなレシピがおすすめ?
何か特別なお祝いしてあげたいとき、どんなレシピにすればよいでしょうか?
生クリームを使わずに、自作ケーキを作る方法あります。たとえば、砂糖を減量したパンケーキを焼いて、バナナやいちごなどのフルーツをトッピングすると華やかですね。
もしくは、クレープを焼いて、生クリームの代わりに「水切りヨーグルト」でデコレーションをする方法もあります。アンパンマンやミッキーの形に切ってあげれば、お子さんも喜んでくれます。
このとき、クレープは生地を厚めにすることがポイント。薄めの生地だと、子どもの歯ではかみ切れない可能性があるためです。
水切りヨーグルトとは?
ヨーグルトの水気を切ったもの。ボウルにざる、キッチンペーパーをのせ、ヨーグルトを加えて、ラップをして冷蔵庫で2時間以上置いたら完成!
はじめての誕生日だからと、今まで食べたことのないナッツ類やフルーツが含まれたケーキをあげると、アレルギーを発症する危険性があります。
今まで食べたことのある安心な食材でお祝いしてあげてください。
一緒にデコレーションすることも、子どもにとって楽しい経験になりそうですね。
そうですね!袋にバナナを入れてつぶし、ホットケーキに入れ、バナナホットケーキにするなど、一緒にできることはたくさんありますね。
1歳児の食べ方についてのお悩み解決法
遊び食べをする子どもにイライラMAX!どう対応したらよい?
遊び食べをする子どもにイライラしてしまいます。どうしたらよいのでしょうか?
「遊んだらご飯はおしまい」「歩いたらご飯を下げる」などのルールを決めましょう。遊び食べをしていた子どもも、何回か繰り返すと次第に食事の時の決まりごとを覚えていきます。
なるほど!やってみます。あとは、子どもの食べムラが激しく、どうしたら食べてくれるのかと悩みます。
子どもは大人よりも味覚に敏感です。
ピーマンの苦み、ゴボウなど繊維質で飲み込みづらいもの、トマトや酢など酸味のあるものは苦手意識のある子もいるかもしれません。緑色の野菜を嫌がるなど見た目に抵抗のある子もいます。
パパやママがおいしそうに食べている様子を見せることで、子どもも食べるようになることがあります。また、嫌がってもお皿に置き続けることで、ある時興味が湧いて食べることもあります。
好き嫌いが激しい子どもの様子を見ると、栄養バランスが心配になるかもしれませんが、焦る必要はありません。成長の中で食べられるようになっていきます。
もぐもぐせずに丸呑みしてしまう。よく噛んで食べてもらうには?
子どもがもぐもぐせずに丸呑みしてしまうので、心配です。
丸呑みが多いと不安になりますよね。
離乳食は小さく刻んで与えはじめますが、歯が生えてきたり、噛む力がついてきたりなど、子どもの成長に合わせて食材の大きさや硬さを変えていきましょう。
ポイントは、「一口量」を覚えてもらうことです。
「一口量」とは何ですか?
子どもが一口でほおばることができるご飯の量のことです。
身長や体重がひとりひとり違うように、口の大きさもそれぞれ違います。
一口量を覚えてもらうには、食材を「あえて大きく切る」ことが大切。
大人は「サイズが大きいから少しずつかみ切って食べよう」と考えることができますが、子どもはなんでも一口で口に入れたがります。
そのため、あえて大きく切ることで、「口に入らない=前歯を使ってかみ切る必要がある」と覚えてもらうことができます。
この時に、丸い形状ではのどに詰まらせる危険性があるため、スティック状などにして与えましょう。
まとめ
1歳になると、食べられるご飯の種類も増え、離乳食も終盤になります。
それと同時に、子どもの好き嫌いの主張が強くなったり、バラエティ豊富な献立を考えるのが苦痛になったりするなど、パパ・ママの悩みが増えるかもしれません。
子どもの好き嫌いにはパパ・ママが同じご飯を食べて興味を湧かせたり、忙しい時は時短レシピにしたり、調味料や食感を工夫してレパートリーを増やしたりすることもできます。
無理せず、子どもと向き合っていきましょう。
ぜひ、この記事を参考にしていろいろと試してみてくださいね
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この記事を書いた人
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普段は小説を読んだり、思ったこと・感じたことを文字にしたりすることが好きです♪