小さな子どもがいると、本屋や図書館にある絵本コーナーがよく目に付くようになりますよね。実際に、子どもたちが夢中になって絵本を読んでいる場面に遭遇することもあると思います。
そんな時、「子どもは一体何歳から絵本が読めるようになるのだろう」と考えたことはありませんか?
「まだ1歳で会話ができないけれど、どこまで意味が伝わるの?」
「意味が分からなくても、楽しめるの?」
「うちの子、絵本の読み聞かせに全然集中してくれないのだけど…」
そんな疑問や悩みを持つパパとママもいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、保育士のしおり先生に、1歳の子どもでも楽しめる読み聞かせのポイントとおすすめの絵本について伺いました。
この記事を読むと、以下のことが分かります。
- 絵本は何歳から楽しめるのか
- 1歳の子ども向け、読み聞かせのポイント
- 保育士さんのおすすめ、1歳児に人気の絵本5選
子どもへの読み聞かせの時間がもっと楽しくなると思いますので、ぜひ、参考にしてみてください。
しおり先生
埼玉の保育園に6年間勤め、結婚を機に長野へ移住。みらいく県町に勤めています。
子どもたちの気付き・発見に寄り添い、思いを受け止めながら、笑顔溢れる楽しい日々を過ごせるよう保育に努めています!
目次
絵本に触れる機会は0歳からでもOK!
家で絵本の読み聞かせをしても、なかなか集中できないという子どもが多いようです。保育園では絵本を読む機会が多いと思いますが、何歳ごろから読み聞かせるべきなのでしょうか?
絵本は0歳からでも楽しめますよ!
・ 言葉のリズム
・ 繰り返しの動き
・ 絵本の色 等々
小さな子どもは、絵本の内容よりもまずは、音やリズム、色、読み手の動きなどに興味を惹かれるのです。
0歳からが対象になっている絵本もたくさん出版されています。
1歳でしたら、イラストに単語や少しの言葉が添えられている絵本がよいでしょう。
初めは、大人が読み聞かせるというよりは、子どもが好きなように絵本に触ったり、ページをめくったり、気づいたことや目に入ったことを大人に知らせたりすることが中心になるかもしれません。
そのため、読み聞かせというよりは、親子で一緒に絵本をただ見て楽しむことが大切です。
・ ストーリーがなくてもイラストを見て楽しめる絵本
・ イラストのカラーや輪郭がはっきりした絵本
・ 食事や歯磨き、トイレなど、生活習慣に関する絵本
・ 繰り返しやリズム感など言葉の音を楽しめる絵本
・ 音の出る、しかけ絵本
上記のような絵本を選んでみましょう。
1歳の頃は、気に入った言葉や音を繰り返し聞いたり発したりして楽しむ時期です。「どんどん」「じゃぶじゃぶ」などのオノマトペが登場する絵本や、犬や猫などの身近な動物が登場し、鳴き声が表現されている絵本が子どもは大好きです。
また、食事やおやつなどを食べる、着替えやトイレなど生活のシーンが描かれている絵本も、自分の経験に重ね合わせて楽しむことができるので、子どもは好むことでしょう。
※オノマトペ:様々な状態や動きを音で表現した言葉のこと。主に自然界にある音や声といった、現実に聞こえる音を人の言語で表現した言葉。
1歳の読み聞かせは、子どもの反応を受け止め共感しながら読み進めるのがポイント
子どもの要求に合わせて読み聞かせをする
パパとママのお悩みのひとつに、子どもが絵本を最後まで読み切らずに立ち上がったり、飽きて別のことを始めてしまったり、自分でページをめくりたがって全然読み聞かせてあげることができない、といった声があります。
どうしたら子どもは絵本に集中してくれるのでしょうか?
1歳の時期は、絵本の内容をストーリーとして捉えて最後まで集中して聞くことは、まだ難しい時期ですね。
絵本もおもちゃのひとつと捉えているので、気分が変わったり飽きたりすれば、他の事へ興味や関心が移ります。
集中していないというよりは、絵本遊びに満足したよ、ということなのでしょうか?
そうですね。無理に読み聞かせを続けようとせず、やりたいことをやらせてあげましょう。
別の絵本を持ってきて、「こっちを読んで」とアピールする子どももいますよ。
逆に、ずっと同じ絵本ばかり読みたがる子どももいるのでしょうか?
同じ絵本の同じページを何度も読みたがる子どももいます。
内容は分からなくても、パパとママや保育士が喋る言葉のリズムや音の高低差が興味を惹くのです。
全く興味を持ってくれない場合は、その絵本を読み聞かせるのは諦めたほうがよいですか?
同じ絵本でも、話すスピードや抑揚の付け方を変えるだけで子どもにとって全く違う印象になります。
動物の鳴き声や、風や水といった自然の音など、表現を変えてぜひ色々と試してみてください。
子どもが絵本に興味を持つためのポイント
最初は興味を持たなくても、繰り返し読んでいくうちに子どもの方から「これを読んで」と絵本を持ってきてくれたら嬉しいですね。
子どもが絵本に興味を持つようになるためには、絵本の並べ方も大切です。
マガジンラックのような、表紙が見えるように置ける本棚に並べておくと、子どもにも分かりやすいですよ。
読み聞かせ=内容に興味を持たせて理解させること、と思っていましたが、1歳の頃はそこまでこだわらなくてよいのですね。
ストーリー性や話の展開を楽しんで集中するようになるのは、2歳半ばから3歳くらいから。その頃になると集中して最後まで楽しめるようになります。
1歳頃の子どもにとっての絵本は、パパやママのひざの上や隣同士で座り、スキンシップやコミュニケーションを深めるためのツールとして捉えてもよいでしょう。
子どもが絵本の内容に興味を示したら、どのようにしてあげるのがよいですか?
子どもが絵本のイラストを指でさしたら、「いたね」「ワンワンだね」と、子どもの気持ちを代弁し言葉にしてあげましょう。
このように子どもの反応にひとつひとつ大人が反応してあげることを繰り返すと、子どもの期待に寄り添うこととなり、子どもの脳の発達のための大きな刺激になります。
また、繰り返すうちに子どもも「ワンワン」「いたー」などと、言葉を発するようになります。
繰り返し絵本を読んで慣れていくことで、次は犬が登場するという見通しを持ち、その通り犬が登場することで得られる安心感も、成長発達のための大きな刺激となることでしょう。
子どもが絵本を触りたがったら、好きにさせてあげてもよいですか?
はい。1歳頃ですと自分でページをめくることも大好きな時期です。
紙が分厚く、小さな子どもでもめくりやすい素材の絵本もあるので、用意してあげるとよいですね。
まだ読んでいるページが途中なのに次のページを開きたがった場合は、その通りにさせてあげましょう。
子どもがそのような行動をする時は、イラストやストーリーではなく、絵本の感触を楽しんでいるのです。
ただ、ページをびりびりと破いたり、本を投げ捨てたりするときは、絵本は大切なものだよ、大事にしようね、と伝えてあげましょう。
物を大切にする、ということも教えてあげられますね。
その通りです。頭ごなしに「だめ!」と怒ることはやめましょう。
「怒る」のではなく「教える」ということを忘れないでください。
またそういう時は、「紙を破る遊び」をしたいだけということもあるので、読み終わった新聞紙など、破っても問題ない紙を用意してあげてください。
読んでいる途中で飽きてしまった時はどうしたらよいですか?
もし子どもが途中で飽きてしまっても、続けて読む必要はありません。
まだ終わってないよ?と強制的に座らせて読むことで、絵本の時間が苦手で苦痛になってしまうことも考えられます。
飽きたのかな?と思ったら、また絵本を読みたいと要求する時が来るまで、そっとしておきましょう。
読み聞かせを堅苦しく考えないでOK。親子で楽しむことが大切。
「読み聞かせ」という言葉のイメージとして、内容を理解させることや一冊の本を最後まで読むことが重要だと思っていましたが、先生のお話を聞いて印象がガラッと変わりました。
親子で楽しむことが大事なのですね。
絵本を「読み聞かせる」という言葉はとても堅苦しいのですが、絵本を使ってお子さんとスキンシップをしたり、一緒の時間を楽しんだりすることが大切ですね。
絵本が大好きになると、子どもは自分で本を選んだり、読んだりするようになっていきます。
そんな時が来るのも待ち遠しいですよね。
1歳の頃は、一緒に楽しむことをポイントに子どもと関わってみましょう。
子どもの反応をしっかり受け止め、共感し、言葉にして返してあげる。飽きたら強制せずにやめる。こうすることで、絵本が大好きな子どもに成長していくはずです。
保育士さんが1歳児におすすめの絵本を5冊ご紹介します!
1歳児でも楽しめる、しおり先生おすすめの絵本はありますか?
はい、保育園で1歳児に人気の絵本を5冊、ご紹介しましょう。
1.『くだもの』 /平山和子・作 福音館書店
くだもの (幼児絵本シリーズ)サクランボやいちご、桃や柿など、おいしそうな果物の大きなイラストがたくさん! ページを開くと、食べやすいようにカットされた果物のイラストに「さぁ、どうぞ」という言葉が添えてある絵本です。
みずみずしい果物のイラストを見て「おいしそう」と感じるのか、絵本に近づき、匂いを嗅いだり舐めたりする子どももいます。
身近な食べ物をいくつもたくさん見られるので、1歳の頃だけではなく大きくなっても読み続けられる絵本です。
2.『がたん ごとん がたん ごとん』 /安西水丸・作 福音館書店
がたん ごとん がたん ごとん (福音館 あかちゃんの絵本)コップやスプーン、哺乳瓶など、子どもにとって身近なものたちが「のせてくださーい」と言い、汽車に乗って進んでいく楽しいストーリーです。
たくさんのものを乗せた汽車がたどり着く場所は、小さな女の子のもと。
繰り返される言葉、はっきりとしたイラスト、期待の持てる展開と、1歳児におすすめしたい絵本です。
3.『いない いない ばあ』 /松谷みよ子・作、瀬川康男・絵 童心社
いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本)発売から50年。日本で一番売れている絵本です。温かみのあるイラストと親しみやすい言葉は、親子のコミュニケーションにぴったりです。
繰り返し読むことで、「いないいない」の次は「ばあ」だ、と子どもも予測できるようになり、初めて会う人とも「いないいないばあ」の遊びができるようになります。
ネコさんやクマさん、ネズミさんなど、色んな動物と「いないいないばあ」を楽しんでください。
4.『はらぺこあおむし』 /エリックカール・作、もりひさし・訳 偕成社
はらぺこあおむし人気の絵本『はらぺこあおむし』には、ボードブックという少し厚目にできた小さなサイズの絵本があります。1歳の子どもも、絵本を破ることなくページをめくったり、しかけを繰り返し楽しんだりできます。
小さなサイズなのでお出かけのときに持ち歩くのにも便利。
多少の水がかかってもすぐに浸透しない素材なので、安心ですね。
『はらぺこあおむし』は、1~2歳の頃はイラストやしかけを楽しみ、3歳からはストーリーを楽しむ読み方ができます。長くおつきあいのできる絵本なのです。
5.『どうぶついろいろかくれんぼ』 /いしかわこうじ・作 ポプラ社
どうぶついろいろかくれんぼ (これなあに?かたぬきえほん)動物の形が型抜きされている絵本。こちらも『はらぺこあおむし』のボードブックのように、分厚い素材でできているので、子どもが自由に読んでも破れたり指を切ったりする心配がありません。
動物の型抜きから、ページを開くとはっきりと動物の形が現れる動きがとてもリアルなので、子どもの目を惹くことでしょう。
こちらの絵本には、動物のほか、乗り物や果物など身近な素材を使ったシリーズがあります。この絵本が子どものお気に入りになったら、他のシリーズも揃えてみてはいかがでしょうか。
保育園での読み聞かせの現場に参加させて頂きました
取材の最後に、しおり先生が保育園の子どもたちに絵本の読み聞かせをするところにお邪魔させて頂きました。よろしければ、ご家庭でも参考にしてみてください。
今回、読み聞かせをしたのは『だるまさんが』(かがくいひろし作・ブロンズ新社)という絵本。
赤くて丸いだるまさんが、ページをめくると「どてっ」「ぷしゅー」という擬音と共に転んだり縮んだりします。
この日は0歳児、1歳児、2歳児が一人ずつ。
「絵本を読むよ~」と先生が絵本を見せると、みんな集まってよい子に座っていました。
「だるまさんが~……どてっ」と先生がページをめくると、2歳児の子は先生の声に合わせて体を揺らして転ぶ真似を。
1歳児の子も、身振り手振りで小さく体を動かして絵本の世界に没頭。
0歳児の子は、体こそ動かさないものの、最初から最後までずっと絵本に視線を向けていて、音や絵に興味を持っているのが伝わってきました。
だるまさんが「ぷっ」とおならをするところでは、しおり先生が「おっと失礼」とアドリブを入れていて、コミカルに読み進めて子どもたちを楽しませているのが印象的でした。
子どもたちも、ただ絵本の内容を受け身で聞くのではなく、体を動かして自分も参加することで、表現遊びの一環として捉えているようでした。
まとめ
今回は1歳の子どもを持つパパとママへ向けて、絵本の読み聞かせのポイントやおすすめの絵本について、保育士のしおり先生に話を伺いました。
まとめると、以下のようになります。
・読み聞かせは最後まで無理に読まなくてもOK、子どもの要求に合わせてあげる
・子どもは身の回りの食べ物や動物、生活習慣が登場する絵本が好き
・絵本のイラストや音を楽しんで、子どもと一緒に反応してあげることが大切
・絵本は親子のコミュニケーションツール
・保育士さんのおすすめ、1歳児に人気の絵本5選
どんな年齢の子どもでも、絵本にはさまざまな楽しみ方があると分かりました。
ぜひ日常生活に絵本を取り入れ、親子のコミュニケーションの時間にしてみてください。
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この記事を書いた人
未だ子育てを経験していないが、保育士さんの話しを聞くうちにドンドン楽しそうに感じている!