3歳になるとイヤイヤ期が終わり、落ち着いて食事が食べられるようになるのは、親御さんにとって嬉しいことですよね。
食事を本能で食べていた1、2歳の頃とは違い、「お腹が空いた」と空腹を自覚できるようになるため、自分でできることが増えていきます。
一方で、好き嫌いをしたり、ごはんを食べなかったりと新たな問題にぶつかることも…。
この記事では、皆さんが気になる「3歳児の食事の不安」にお答えするべく、栄養士のりかこ先生へインタビューを行いました。
この記事を読むだけで次の3つのことが分かります。
- 3歳児の食事量や食事時間の目安
- 3歳児にとって食事が重要な理由
- ごはんをあまり食べない時、好き嫌いの時など、3歳児の食事あるある対処法
3歳児の食事で頭を悩ます日々から解放されて、家族で楽しく食卓を囲めるようになりますよ。
是非、実践してみてくださいね。
みらいく小布施栄養士
食事を通して人々の健康を支えたいという思いから栄養士を目指す。
子どもたちが心身共に満足できる給食の提供を目指し日々調理の取り組んでいる。
目次
3歳児の食事量やかかる時間はどれくらい?栄養バランスは
3歳児の食事量やカロリーの目安
子どもがたくさんごはんを食べてくれるというのは、お父さん、お母さんにとって嬉しいものですよね。そんな中、3歳の子どもを持つ親御さんから「食べ過ぎていないか心配…」というお悩みを聞きました。
3歳児の食事量の目安はどれくらいでしょうか?
自分のお子さんが食べすぎていないかと心配する声は、保育園でもよく聞きます。たくさん食べてくれるのは嬉しい反面、目安が分からないと心配になりますよね。
まず、3歳児が1日に必要な食事量の目安は、大人の食事量の2/3程度となります。必要なカロリーとしては、女の子が1,250kcal、男の子が1,300kcalです。
食べすぎていると不安になったときは、お皿が空になっている状態を見せながら「もう無いよ」と声をかけてあげるとよいでしょう。
言葉だけでなく、お皿が空っぽであることが見た目で分かると、納得してくれる子が多いですよ。
視覚的に分かるようにすることも大切なのですね。
「うちの子、食べ過ぎかな…?」と不安になった場合、誰に相談すればよいでしょうか?
まだ保育園等に行かれていない場合は地域の保健師さん、行かれている場合にはその園の栄養士さんに相談してみるとよいでしょう。
たくさんの子どもを見てきているので、色々なアドバイスがもらえると思いますよ。
3歳児の食事時間の目安
「食事を食べるスピードが遅い」という悩みも、親御さんからよく聞きますよね。3歳児の場合、食事時間の目安などはあるのでしょうか?
子どもによって個人差はありますが、30~40分を目安としてください。
ただ、食事中に集中力が切れて、遊び始めてしまう子も多いですよね。集中力が切れてしまったときは、ダラダラと食べさせずに一度食事を下げて、様子を見てあげてください。
また、噛む力や飲み込む力が弱いことが、食べるスピードの遅さに繋がっているケースも考えられます。同じものばかりを食べさせるのではなく、様々な食材に触れることで、噛む力、飲み込む力を養ってあげましょう。
食事+おやつで、栄養バランスを調整すればOK
野菜嫌いのお子さんの場合、成長に必要な栄養をきちんと食べさせてあげられているか、不安になりますよね。
野菜特有の苦味が苦手なお子さんは多いですね。どうしても食べてくれない場合は、おやつの時間を使って、足りない栄養を補いましょう。
栄養バランスをよくするポイントは一汁二菜、ごはん+汁物+主菜+副菜を用意することです。
具体的には、次のような食材を意識すると、簡単に栄養バランスが取れるので、覚えておくと便利ですよ。
- ごはん(ごはん、パン、麺など糖質中心)
- 汁物(野菜や海藻、大豆製品など)
- 主菜(魚や肉などのたんぱく質主体)、
- 副菜(野菜や海藻などビタミンやミネラル主体)
野菜嫌いなお子さんに、おすすめの調理法はありますか?
子どもが好きな味付けにしてみることをおすすめします。マヨネーズ等で和えて見ると食べられるかもしれません。また細かく刻んで色々な食材に混ぜてあげると食べやすくなります。
ただ、食経験の観点からいうと食材をしっかりと認識して食べられることが大切です。苦味を感じにくくするために大人が食べるものより長く加熱することで食べやすくなります。調理方法を工夫し様々な食材を通して食経験を積むことで苦手な食材を減らしていきましょう。
3歳児の食事は、成長や学びにつながる
「食育」という言葉もありますが、3歳児にとって食事はどのような点で重要なのでしょうか?
3歳児は食事を通して、以下のようなことを学んでいます。
一つずつ説明していきますね。
1:食事を通して、五感が養われる
3歳になると五感が発達し味や味覚、匂いをより楽しむことができるようになります。
様々な食経験を積むためには、たくさんの素材に触れることが大切です。
旬の食材や地元の野菜などを、毎日の献立に盛り込むことを意識するとよいでしょう。
子どもと一緒に食事を食べる時に「甘いね」、「柔らかくておいしいね」など、どのような表現をするのか教えてあげることで「これは甘いのか」「これは柔らかいんだ」と感覚をつかみやすくなります。
これを繰り返していくことで五感が養われ、自分で判断する力がついていきます。
食事の時間は、お子さまと親御さんがコミュニケーションを取る時間でもあります。お子さまの世界を広げてあげるためにも、積極的に話しかけてあげてくださいね。
2:食事のあいさつだけでなく、マナーが身に付く
「いただきます」「ご馳走様でした」の挨拶や食事を食べる姿勢を、家族がお手本となり見せるようにしましょう。
また、食事中に立ち歩かない、口に物を入れたまましゃべらないなど、家以外の場所で食事するときに恥ずかしくないよう、マナーも少しずつ教えてあげるとよいですね。
食事のマナーを「当たり前のもの」だと認識できるまでは、少し時間がかかります。
できないからと注意してばかりでは身につかないので、たくさんの経験を通じて身につけられるよう、焦らず気長に見守ってあげることも大切だと思います。
3:一人で食事できるようになり、楽しめるように
3歳になると手先が発達し、スプーンやフォークを器用に使えるようになるため、一人で食事が食べられるようになります。箸にも興味が出てくるため、興味を示したら練習を始めてみてもよいでしょう。
「自分で食べてみたい!」「やりたい!」という意欲が出てきたら、積極的にやらせてみてください。自分でできることを任せていくことで自信につながり、さらにできることが増えていきますよ。
この時期に、「食事中部屋が汚れて大変…」といった悩みを聞くことがあります。忙しい朝は、特に大変ですよね。
ただし、この時期は上手に食べられるようになるための大切な期間でもあります。
どうしても汚れが気になる場合は、床にレジャーシートを敷いたり、こぼれた食べ物が広がらないようすぐ拭くなどして、できるだけ自分でできることが増えるような環境を作ってあげましょう。
3歳児が喜ぶこと間違いなし!栄養満点&お手軽メニュー3選
ここでは、実際に保育園で出して人気だったメニューを3つご紹介します。
栄養満点で家でも簡単に作れるので、参考にしてみてくださいね。
肉味噌納豆丼
豚ひき肉と納豆、みじん切りにしたお好みの野菜をフライパンで炒め味噌で味付けし、ごはんの上にのせます。
納豆はタンパク質が摂れますし、一度に野菜をたくさん食べることができるのも魅力です。
白いごはんが苦手というお子さまも、丼ぶりにすることで食べてくれることが多いですよ。
《材料(大人2人、子ども2人)》
- 米:お好きな量
- 豚ひき肉:75g(◇)
- ひきわり納豆:60g(◇)
- 玉葱:50g(☆)
- 人参:25g(☆)
- しめじ:25g(☆)
- 小松菜:40g(☆)
- 砂糖:大さじ1(★)
- 味噌:大さじ1(★)
- しょうゆ:小さじ1(★)
- みりん:小さじ1(★)
- 油:大さじ1
《作り方》
- 野菜(☆)をみじん切りにしておく
- フライパンに油を入れ①をしんなりするまで炒める
- 豚ひき肉を炒める
- ➁と③を合わせ調味料(★)を入れる
- 火をとめ納豆を入れる
- ごはんの上に盛り付けたら完成
野菜オムレツ
オムレツの中にお好みの野菜を入れた野菜オムレツは、野菜がたくさん食べられるだけでなく、ウインナーや鶏肉を一緒に入れることで効率よくタンパク質を摂取することができます。
チーズを入れるとカルシウムも摂れるのでおすすめですよ。
《材料(大人2人、子ども2人)》
オムレツ
- 卵:130g(3個)
- 玉葱:50g
- 赤パプリカ:25g
- ピーマン:25g
- 牛乳:25g
- 油:小さじ1
ソース
- しめじ:85g
- えのき:85g
- 水:80g
- ハヤシルゥ:10g(★)
- ケチャップ:10g(★)
- 中濃ソース:10g(★)
- 砂糖:5g(★)
《作り方》
- 玉葱を2cmスライス、赤パプリカ・ピーマンを2cmの千切り、しめじ・えのきを1cm幅に切っておく
- ボールに卵を溶き牛乳を入れる
- フライパンに油を入れ、玉葱、赤パプリカ、ピーマンの順に入れ火を通しておく
- ③に卵を流し入れフタをし、しっかりと両面焼く
- 鍋に水をはりきのこに火を通しておく
- 調味料(★)を入れとろみが付いたら火を止める
- ④に⑥をかけたら完成
にんじんしりしり/ピーマンしりしり
しりしりの味付けは、野菜特有の苦味が和らぐため、野菜嫌いな子でも食べやすくなります。
卵とツナで和えることで、タンパク質が摂れるようにしてもよいですね。
《材料(大人2人、子ども2人)》
- 人参:150g
- ツナ水煮:70g
- 卵:50g(2個)
- 油:大さじ1
- かつおだし:50g(★)
- 砂糖:小さじ1強(★)
- 酒:小さじ1(★)
- しょうゆ:小さじ1 1/2(★)
《作り方》
- 人参を3cmの細切りにする
- フライパンにあぶらをいれ、人参を炒める
- 人参に油がまわったらツナ水煮、かつおだしを入れ柔らかくなるまで煮る
- 調味料(★)を入れ味がなじんだら卵を溶き入れる
- しっかりと火を通したら完成
3歳児の食事、どうしたらいい?困った時の対処法6つ
最後に「3歳児の食事あるある」の対処法を、6つご紹介したいと思います。
食事をあまり食べてくれないときには
なかなかごはんを食べ進めてくれないときは、どうしたらよいですか?
単純にお腹が空いていない可能性もあります。
お腹が空くように思いっきり外で遊んでみたり、おやつの時間をずらしてみたりすると、食べてくれるかもしれません。
また、食事に関心を持ってもらえるように野菜を型抜きしてみたり、盛り付けをデコレーションしたりすることで、食べることに興味を持たせることも大切です。
一緒にごはんを作ってみるのも良いですね。
3歳児の場合、食べられる量はその時の体調や気分などによって変化することがあります。
3~4日程度様子をみて、平均して食べられているか確認しましょう。
好き嫌いをするときには
好き嫌いが激しくなってきた場合は、どうしたらよいでしょうか?
子どもは味や固さ、見た目などの小さな変化で食べ物の好みが変わります。
口から出してしまうから「嫌い」というわけではなく、飽きていたり、食べづらいという意思表示かもしれません。
そんなときは、加熱時間を変えてみたり、切り方を変えたりすることで、調理方法を工夫してみましょう。
苦手な食材でも「一口は食べようね」と声かけをして食べさせてあげるなど、諦めずに出してみてください
好き嫌いが多いお子さまの中には、普段から甘いものやお菓子をたくさん食べているという場合があります。
甘いものはカロリーが高いため、体自体は大きくなっていたとしても、栄養バランスが偏ってしまいます。これを「エンプティーカロリー」といいます。
甘いものやお菓子は癖になりやすいので、「食べ過ぎてごはんが食べられない…」ということがないよう、与えすぎには注意しましょう。
食事しながら遊んでしまうときには
「食事中に集中力が切れて遊び始めるので、困っている…」という悩みも多く聞きますよね。こんなときは、どのように対処すればよいのでしょうか?
食べ物で遊んでしまう場合には「食べ物はおもちゃではない」ことをしっかりと伝えましょう。
食事に集中できない場合には、しっかりと食事に集中できる空間になっているか確認してみてください。食事中にテレビがついていると、意識がそれてしまい、食事に集中できなくなってしまいます。テレビは消して、食事に集中できるようにしてあげましょう。
また、周りにおもちゃなどがあると、そちらに注意がいってしまいます。空間を区切ることが難しい場合にはおもちゃなどを片付けたり、布などを掛けて見えなくしてみてください。
もしくは、お腹がいっぱいになっている可能性もあります。ダラダラと食べるのではなく、一度食事を下げて、次の食事時間までに食べ物を与えないなど、お腹の空き具合を調整してみてくださいね。
1回の食事時間が長いときには
1回の食事が1時間近くかかる場合は、どうしたら早くなるでしょうか?
食事に時間がかかる原因は様々です。
あまりお腹が空いていなかったり、噛むことに時間がかかってしまったり、食具(スプーンなど)が上手く使えていないなどの要因が考えられます。
食事前に体を動かす、食べやすい大きさに切ってあげるなど工夫することで、食べるスピードが早くなることがありますよ。
食事の時間になっても、席についてくれないときには
食事の時間になっても席についてくれない場合は、どのようにしたらよいですか?
遊びが楽しいと、食べる意欲がなかなか湧かないときがあります。
そんなときは、子どもが好きな食器を使ったり、季節のイベントに合わせて盛り付けを華やかにするなどして、食事に興味が湧くような工夫をしてあげましょう。
自分でごはんを食べようとしないときには
なかなか自分でごはんを食べようとしないときは、どうしたらよいでしょうか?
食べることを強要せず、楽しく食べられるような環境を作ってあげましょう。
食べることに興味が湧くよう、お気に入りの食器やスプーンを使ってあげてもよいですね。
また、お母さんやお父さんが楽しく、おいしそうにごはんを食べている姿を見せてあげることも大切です。食事を一緒に食べる時間を作り、しっかりとコミュニケーションを取るように心がけるとよいでしょう。
まとめ
今回は、3歳児の食事のお悩みについて、山本先生にアドバイスしていただきました。
まとめると、ポイントは次の6つです。
- 親子で一緒に食事を食べましょう
一緒に食べることで食事に興味を持ちやすくなり、コミュニケーションをとることができます。
- 様々な味や食材を経験させましょう
いつも同じ味付けや食材では飽きてしまいます。食の幅を広げるために様々な味や食感、香りを経験できる環境にしてあげましょう。
- 食事に関心を持てる工夫をしましょう
好きな食器を使ったり、野菜で型を抜いてみるなど工夫してみましょう。また、買い物に行ったり、野菜をちぎって料理を作るなど料理を一緒に作ってみてください。
- ゆったりとした気持ちで見守って
食事がスムーズにいかないことは多いですが、怒ってばかりだとお互いに食事が楽しくなくなります。イライラしすぎずゆったりとした気持ちで見守りましょう。
- 食べることを子どもに強要しないで
食事を食べないと「食べなさい」と言ってしまいがちですが、それでは楽しく食べることが難しくなってしまいます。食べない時には「今度は食べられたらいいね」と流し、次に期待しましょう。
- お父さん、お母さんの生活を見直してみましょう
食事中にテレビや、新聞、スマートフォンに夢中になっていませんか?苦手なものを避けたりダラダラ間食したりしていませんか?食事の雰囲気は大人が作るものです。まずはお父さん、お母さんが楽しく食事ができているか見直してみてください。
ごはんを食べない子どもを見ていると、「せっかく作ったのに…」と少しイライラしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、3歳児の食事において一番大切なのは、楽しくおいしく食事を食べるために、大人が雰囲気作りをすることです。
楽しく食べることができれば、食事もおいしいと感じられ食べる意欲も湧いてきますし、一緒に食事を食べることでコミュニケーションをとる機会にもなります。
食事を通して親子の仲を深めていけるよう、楽しく食事を食べることを心がけてみてくださいね。
\こちらの記事もおすすめです/
子育ての悩みに専門家が答えます!
↓みらいネット オンライン保育園はこちら↓
家庭で子育てをしているママたちが、オンラインで集まって交流したり、専門家とZoomを繋いで相談したり。一緒に子育てを楽しみましょう!