時々おこるお子さんの大きな”いびき”に、不安になっていませんか?
“いびき”は、大人に限らず病気のサインである場合もあります。そこで、看護師の土屋先生に「”いびき”の原因・危険な”いびき”の見分け方・成長への影響・知っておきたい対処法」などを教えてもらいました。
目次
子どもが”いびき”をかく原因は?
子どもってスヤスヤ寝ているイメージですが、1歳くらいの赤ちゃんでも”いびき”をかくことがあるんですか?
1歳くらいの乳幼児でも”いびき”をかくことがあります。
子どもが”いびき”をかく原因は何ですか?教えてください。
“いびき”は鼻や口から声帯までの間の「上気道」と呼ばれる部分のどこかで、睡眠中に空気の通り道が塞がれたことによって起こります。
子どもの場合、”いびき”をかく原因は主に3つ考えられます。
1.扁桃腺・アデノイドの肥大
喉の両側にある扁桃腺と呼ばれる器官や、鼻から喉の奥に当たる上部にあるアデノイド(咽頭扁桃)という器官が大きいと、気道が狭くなり”いびき”をかく原因になります。
扁桃腺やアデノイドはウイルスや細菌から体を守る役目を担っているため、風邪を引いたときには肥大化することがあります。扁桃腺・アデノイドは5~7歳ごろが最も大きく、その後次第に小さくなります。
画像出典:creative commons
2.鼻づまり
風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻がつまっていると鼻呼吸がしづらくなり、口呼吸をするため、”いびき”をかく場合があります。
3.疲労
一日中外で遊んだり、たくさんの人に会ったりして疲れていると、疲労回復するために体がたくさん酸素を取り込もうとして口呼吸になることにより、気道が振動して”いびき”が出やすくなります。
また、熟睡している時も、気道を支えている筋肉が緩み、気道が狭くなることで”いびき”をかきやすくなります。
肥満も”いびき”の原因になる?
知り合いの話ですが、肥満が”いびき”の原因と言われたそうですが、子どもにも当てはまりますか?
極度の肥満は子どもでも”いびき”の原因になります。しかし、大人ほどその数は多くありません。
子どもの”いびき”への対処法
今日からできる”いびき”への対処法を教えて下さい。
体を横向きで寝かせる
1つ目の対策は、体を横向きで寝かせることです。それ以外にも顔の向きや、首の角度を変えることで、空気が入りやすくなると”いびき”をかきづらくなります。
風邪やアレルギーの症状には早めの対処を
2つ目の対策は、風邪やアレルギーの症状がある場合は早めに小児科を受診し、症状を放置しないことです。鼻づまりが解消されれば、”いびき”をかかなくなる可能性があります。
また、眠っているときの様子を動画撮影しておくことで、受診の際の診断の手助けにもなります。
動画の撮影は音声だけでも良いのでしょうか?
音声だけでなく、上半身の洋服をはだけさせて、胸が見える状態で映像を撮影すると良いでしょう。
これは、陥没呼吸という異常な呼吸がないか視覚的に確認するためです。陥没呼吸とは、呼吸をしているときに、鎖骨の上やみぞおちのあたりがペコペコとへこむような呼吸のことを指し、呼吸が苦しい時に現れるサインです。
枕の使用は”いびき”対策になる?
枕を使えば、”いびき”は治りますか?
一般的に、乳幼児には枕を使用する必要がないとされていますので、”いびき”を治すには横向きに寝かせてあげる方が効果的でしょう。
人間の背骨は、重い頭を支える首や身体への負担を減らすために、S字カーブを描くように曲がっています。
そのS字の姿勢を寝ているときにも保てるよう、敷き布団と首の隙間を埋めるために枕が使われるのですが、乳幼児は、背骨のS字カーブがまだ発達しておらず、隙間がほとんど生まれないため、枕を使用する必要はありません。
また、1歳くらいのお子さんだと、乳幼児突然死症候群が起きる可能性があるので、枕を使わないことが推奨されています。
お子さんがどうしても枕を使いたがるという場合は、お子さんが寝付いた後に枕を外すなどして対応しましょう。
危険な”いびき”の見分け方
危険な”いびき”の特徴を教えてください。
次のような様子がみられる場合、病気のサインである可能性があります。
- 毎日のように大きな”いびき”をかく
- 眠っている途中に呼吸が止まることがある
- 日中も眠そうで集中力がない など
ただし、疲れている時や鼻が詰まっている時などにも、一時的に”いびき”をかくことがあります。お子さんが元気に遊べていて、ぐっすり眠れているようであれば様子を見ても良いかと思います。
”いびき”をかく病気「睡眠時無呼吸症候群」
1歳の子が”いびき”をかくのですが、睡眠時無呼吸症候群では?と心配です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大人だけの病気ではなく、子どもでも発症することがあります。
子どもの場合は、診断基準が大人と違い1回の無呼吸時間が10秒以下でも、2回の呼吸停止があれば無呼吸と診断できるようです。子どもの睡眠時無呼吸症候群は、扁桃腺やアデノイドの肥大が原因になることが最も多いです。
ご紹介した対処法を試しても”いびき”が続くようであれば、かかりつけの小児科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
ひどい”いびき”が引き起こす悪影響
毎晩ひどい”いびき”で、子どもの体や成長への影響が心配です。
“いびき”や楽に呼吸ができないことによって、夜間に十分な睡眠が取れていない場合、日中の眠気や集中力の低下が起こることがあります。
身体の成長に必要な成長ホルモンは睡眠が始まった直後に多く分泌されます。そのため、”いびき”によってぐっすり眠れないと、成長ホルモンの分泌が阻害され、発育や発達、就学後であれば学習に影響が出る恐れもあります。
実際にあった事例ですが、1歳くらいから睡眠時の”いびき”が気になり始め、受診して検査をしたところ、アデノイドが大きいことが原因だと言われたお子さんがいました。
睡眠中の呼吸が苦しく、身体の酸素濃度が低いことが分かったので、アデノイドを切除する手術を受けました。手術から回復した後は親御さんが驚くほど”いびき”も軽減し、身長も順調に伸びたそうです。
単なる”いびき”と油断せずに、お子さまの様子を細やかに観察してあげることが重要ですね。
まとめ
お子さんが”いびき”をかいていると、心配に感じることもあると思います。疲れたときなどの一時的な”いびき”ならば、あまり心配する必要は無いと思います。
しかしお子さんが毎日のように”いびき”をかいている、また危険な”いびき”の兆候があれば、一度かかりつけ医の小児科や耳鼻咽喉科を受診してみましょう。健全な発達を促すためにも”いびき”の原因になる病気がないか調べてもらうと安心ですね。
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