子どもが目の前で怪我をしたり、突然具合が悪くなった時のことを考えると、応急手当ては身につけておきたいものです。
特に、少しずつ大きくなって動きが活発になってくると、いつの間にか生傷ができたり、ボタンや電池などを口に入れて飲み込んでしまう可能性もあります。
子どもの命を守るためにも、いざという時に対応できるようになっておきたいものです。
そこでこの記事では、長野県内消防本部救急隊員の救急救命士さんにいざという時の子どもの応急手当についてインタビューしました。
この記事を見ると、次の4つが分かります。
- 子どもが誤飲した際の2つの対処方法
- 子どもの転落事故を未然に防ぐ方法
- 子どもが熱中症になった時の対処法
- 子どもがプールや海で溺れた時の対処方法
記事を参考にしていただくと子どもの応急手当がわかります。ぜひ参考にしてみてください。
救急救命士
救急隊員(救急救命士)として急病・事故・けが等の現場に出動し処置にあたる。近年は、地域の救急講習の講師として救急法等の普及に従事している。
目次
小さな子どもに多い事故とは?
まず初めに、小さな子どもに多い事故とはどんな事故なのか、救急救命士さんに聞いてみました。
小さな子どもに多い事故とはどんな事故なのでしょうか?
多いのは、のどに物を詰まらせる事故や誤飲の事故です。
のどに物を詰まらせてしまうと、窒息してそのまま死に至るケースもあるので注意が必要です。
予防のポイントとしては、トイレットペーパーの芯です。
トイレットペーパーの芯の中を通る物は、小さい子どもがのどに詰まらせてしまう可能性があります。
・ビー玉などおもちゃ
・小銭
・カプセル型の洗剤
・乾電池
豆やグミなど食べ物も注意が必要です。
小さな子どもの手の届かないところに置いたり閉まっておきましょう。
事故を未然に防ぐことが大切です。
もしのどに物を詰まらせてしまったら、どうしたら良いのでしょうか?
のどに物を詰まらせてしまった時の対処方法は、次の2つがあります。
1.胸部つきあげ法
2.背部こう打法
1つ目の胸部つきあげ法は次の通りです。
1.前腕に仰向けにさせる。頭部はやや下に傾け、しっかり固定させましょう。
2.胸部を指2本で突き上げるように押していく
3.異物が吐き出されたか確認しながら続ける
2つ目の背部こう打法は次の通りです。
1.前腕にうつ伏せで寝かせる。アゴはしっかり固定させましょう。
2.頭部を下にして肩甲骨の間を手のひらでたたく
3.異物吐き出されたか確認しながら続ける
子どもの様子を確認しながら、慌てずに対応してください。
なぜ子どもは転んだり転落したりする事故が多いのでしょうか?
意外に多いのが、家の中での事故として転倒や転落がありますよね。
これらはどういう状況や原因で事故につながるのでしょうか?
小さい子どもは頭が大きいので、もともとバランスが悪く転倒しやすいです。
歯ブラシやお箸などを咥えたまま転倒すると、重大な事故に繋がります。
また、家の中の窓際にソファが置いてあったり、ベランダに踏み台になるような物が置かれているの場合には注意が必要です。
知らないうちにそこを登って、窓やベランダから転落するという事故も起きています。
これらを予防するには、窓際・ベランダには、踏み台や登れるような物は置かないことが大切です。
熱中症対策は、どのような方法があるのでしょうか?
熱中症の対応について教えてください。
まず症状ですが、ぐったりしたり吐いてしまうことがあります。
特に赤ちゃんは、自分では「暑い」と言葉で伝えられないので、近くにいる大人がしっかり見ていて気づかなければなりません。
小さい子どもは私たちよりもずっと背が低いので、熱いアスファルトや地面に近いところをお散歩していることになります。
もし、ぐったりしたり熱中症の症状が出たら、とにかく体を冷やすことが大切になります。
ガーゼで包んだ冷却材などを次のような場所に当てると、より効果的に冷やすことが出来ます。
・脇の下
・太ももの付け根
・首元
子どもがプールや海で溺れた場合は、どうすれば良いでしょうか?
万が一、子どもがプールや海で溺れてしまった場合はどうしたら良いのでしょうか?
子どもが溺れた場合、助けようと思ってすぐに水に飛び込み、助けようとした方も溺れてしまうという事故も時々起きています。
ですので、浮き輪やロープを投げるなど、なるべく水に入らずに助けるということが基本になります。
陸に引き上げた後、反応が無ければ心肺蘇生法をする必要があります。
のどに物を詰まらせたり、転倒、転落、熱中症も症状が重くなると、最終的には心肺蘇生法が必要です。
心肺蘇生法が必要な場合はどうしたらいいのでしょうか。
まずは119番へ連絡してください。周りに誰か他の人がいれば救急車を呼んでもらいましょう。
その後すぐに、呼吸の確認をしてください。
10秒間普段通りの呼吸があるか確認します。
おなかや胸の上がり下がり、吐く息を頬で感じながら普段通りの呼吸があるか確認します。
なければ胸骨圧迫に移行します。
胸骨圧迫は、胸の真ん中ちょっと下あたりを指2本でその子の胸の厚さの3分の1がしずむ強さで1分間に100~120回程度のリズムで30回圧迫しましょう。
その後は人工呼吸を行います。
首の後ろを持ち上げ子供の口と鼻を覆い、2回胸が軽くあがる程度息を吹き込みます。
胸骨圧迫30回、人工呼吸2回を次のタイミングまで繰り返してください。
・救急車の到着
・AEDの開始
・その子に反応がある
心肺蘇生法以外の応急処置は?
今回のケース以外でも、応急処置が必要なケースは考えられます。
・広範囲のやけど
・蜂に刺される
・蛇に噛まれるなど
小さい子どもは自分で「痛い、苦しい」はなかなか伝えられません。
普段から近くにいる大人がしっかり様子を見てあげることが大切だと思います。
事故が起こってしまった場合、状況を冷静に判断して症状にあった対応をしましょう。
もし判断に迷ったら、その時は迷わずに救急車を呼んでください。
まとめ
ここまで、長野県内消防本部救急隊員の救急救命士さんに、いざという時の子どもの応急手当についてのインタビューをお伝えしました。
大切な子どもの命を守るために参考にしてみて下さい。
※この記事は2021年6月1日現在のものです。