園児たちに「しっかり手洗いしてね」と伝えても、ササっと水をつけただけで言うことを聞かず困ってしまった。そんな経験はありませんか?
手洗いの大切さが理解されず、伝え方やサポート方法に悩む方は多いことでしょう。
そこで今回は、保育士の松木えりこ先生に「正しい手洗いの方法」と「子どもが楽しんで手洗いしたくなる伝え方やサポート方法」を教えていただきました。
感染症が流行している今、正しい手洗い方法を知りたいパパママも多いと思いますので、この機会に一緒に学びましょう!
みらいくに勤務して4年になります。子どもや保護者そして一緒に働く仲間達のサポーターとして日々奮闘しています。
常に上機嫌でいる事をモットーに、周囲を明るく楽しく支えていきたいと思います。
目次
保育園での手洗いの必要性
こんにちは!保育を学んでいる学生です。今回は、手洗いが必要な理由を教えてください。
保育園という集団生活の場で、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症予防をするには、手洗いが不可欠だからです。
ウイルスの感染ルートは「飛沫」と「接触」の2つの経路があり、手洗いしない状態では約100万個のウイルスが手に付着していると言われています。
ステップを踏んだ正しい手洗いをすることで、数個程度まで減らすことができます。
園児たちが安全に過ごせるよう、保育園では手洗いをしっかりすることを推進しています。
手洗いはいつするべき?
保育園では、いつ手洗いをしてもらっているのですか?
- 当園してすぐ
- おもちゃ、遊具で遊ぶ前後
- お昼ごはん、おやつを食べる前後
- お散歩の後
- くしゃみや咳が出た後
- トイレの後
まずは、登園してすぐに手洗いをしてもらいます。「手を洗いましょう」と声かけをして保育者と一緒に洗います。
その他、おもちゃや遊具で遊ぶ前後、お昼ご飯やおやつを食べる前後、お散歩の後、くしゃみや咳が出た後にも手洗いをしてもらいます。
外出後は「お外から帰ってきたら、手を洗おうね」、ご飯の前は「これからご飯だから、手をきれいにしようね」などと丁寧に声をかけて、手洗いを促しましょう。
小さい頃は、鼻水を垂らす子も多いので、鼻のかみ方や、鼻をかんだら手を洗うという指導もしています。もちろん、トイレの後にも手洗いをします。
感染症が拡大してから、手洗いの回数は変わりましたか?
2020年以降はやはり増えました。以前から感染症対策として徹底していましたが、登園してすぐの手洗いを更に念入りにしてもらうようになりました。
正しい手洗いのしかた
ぜひ正しい手洗いの方法を教えてください。
はい。手洗いは、次の7ステップで行いましょう!
1.流水で洗う
袖口に水がかからないように肘まで腕まくりをし、まずは両手を水洗いします。
0歳児は保育士が付き添いますが、1歳児になったら「手をあげようね」と声かけをして自分でやってもらいます。
2.石鹸やハンドソープを泡立てる
手でこすって、石鹸を泡立てます。
今は泡で出てくる石鹸もあるので、泡立てられているものを使うことが多いです。
3.手の平、手の甲、側面を洗う
手の平⇒手の甲⇒側面と洗っていきましょう。
「カメさんのお背中洗おうね~」といった声かけをしてどこを洗うのか分かるようにしています。
4.指先・爪の間を洗う
感染症は触れたものからうつることが多いので、念入りに洗います。
手を丸めて、手のひらに擦り付けるように指先や爪の間を洗いましょう。
5.指の間・手首を洗う
親指、人差し指、中指、薬指、小指と1本ずつ指の間を丁寧に洗います。
手首も「キュキュッキュ」と声をかけながら忘れずに洗いましょう。
子どもたちは4本の指を中心に洗い、親指を洗いそびれてしまいがちなので、「ぐるんぐるんぐるん」など声をかけながら、忘れずに親指も洗ってもらいましょう。
具体的には何秒くらい手洗いすれば、感染症予防になりますか?
15~25秒間かけて丁寧に手洗いをすると、感染症予防に効果的です。
秒数は子どもたちに伝えていますか?
洗いながら手洗い歌(手遊び歌)を歌うと、ちょうどよい時間になりますよ。
6.しっかり洗い流す
流水で丁寧に両手についた泡を流しましょう。2回すすぎ洗いをします。
「まだここに泡がついているね」と声をかけながら洗いましょう。
7.タオルで手を乾かす
子ども一人ひとり用意したタオルで、水滴をしっかり拭き取ります。
しっかり拭き取らないと雑菌が付きやすくなりますので、最後は保育者が確かめて拭いてあげてください。
上記の流れを、子どもたちがパッと視覚的にわかるよう、手洗い場にイラスト入りのポスターを貼っておくと、それに沿って楽しく手洗いできるのでおすすめです。
子どもにとって、正しい手洗いの方法を覚えるのは大変ですね。
そうですね。今はネットでイラスト付きの説明がたくさん見つかるので、活用してください。
子どもの手洗いのサポート方法
小さな園児はなかなか1人では洗えませんが、どうサポートしたらよいですか?
1歳くらいまではうまく重心が取れないこともありますので、保育者が体を後ろから支えてあげて一緒に洗います。
蛇口までが遠いようであれば、踏み台を用意してハンドソープをすぐ近くに置くなどの工夫で、園児も手洗いがしやすくなります。
楽しみながら子どもが手洗いするテニック
子どもたちにいくら言っても、パパっと済ませてしまいます。どう伝えたらよいのでしょうか?
ゲーム感覚で手洗いに取り組む
ゲーム感覚で「誰が一番、キレイに洗えるかな?」などと、声をかけて促しましょう。
加えて、「洗ってね」と園児に言うだけでなく、学生さんや先生も一緒になって洗うことで、子どもも真似っこしてくれます。隣で年上のお兄ちゃん・お姉ちゃんが洗っていると、子どもは真似したくなるのです。
「洗ってね」とこちらからお願いするのではなく、子どもたちの方から「やりたい」と思わせるのですね。
手洗い歌やダンスを取り入れる
手洗い歌やダンスを取り入れてみましょう。遊び感覚で、子どもたちも楽しんで手洗いしてくれます。
たとえば「花王ビオレu 泡ハンドソープ」の「あわあわ手あらいのうた」は、お話感覚で進んでいきます。子どもたちも読み聞かせ感覚でワクワクしながら、手洗いできます。
「おやゆびキュキュッキュー」や「てのひらシュシュッシュー」はリズミカルで、子どもにとってもわかりやすい歌です。
「Wash Your Hands」という動画は、ジャニーズの人気アイドルと一緒に手洗いができます。振り付けも簡単なので、きゃきゃっと遊び感覚で手洗い歌を覚えて、実践してくれますよ。
歌やダンスを上手に取り入れることで、石鹸やハンドソープをつけて飽きずにしっかりと手洗いをしてくれるでしょう。
その方法で、実際に子どもたちは積極的に洗ってくれますか?
今の子はYoutubeを見て知っているので、音楽が流れるとノリノリで手洗いをしますよ。特にアイドル系のリズムがよい歌は、子どもたちが楽しんでやりやすいです。
手洗いスタンプーカードを活用する
もし、それでも手洗いを嫌がる子がいた場合、他に楽しんで洗ってもらうための工夫はありますか?
月齢の低い子には難しいですが、3歳を過ぎたらスタンプカードを導入してみましょう。
1回手洗いするごとにスタンプを押したりシールを貼っていったりすると、子どもたちは達成感を得られます。
それだけでなく、シールを選んで集める喜びもあるのだと思います。子どもたちが前向きに手洗いしたくなるきっかけを用意してあげるとよいですね。
シールを選べるのは嬉しいですよね。
スタンプでもよいのですが、色や種類を選べるのは子どもたちにとっても楽しみになります。自分で選んで決めるということも良い経験なのです。
ウイルスや菌のことを伝えるためには?
手洗いができても、ウイルスや菌のことはなかなか理解されないので、もやもやします。どう伝えたら子どももわかってくれますか?
ウイルスや菌については小さな子どもには理解しにくいですし、うまく伝えるのも難しいです。
「手を洗うと、バイキンをやっつけられるよ」「手洗いすると、パパママも元気でいられるんだよ」など、わかりやすい表現で伝えてあげましょう。
身につけて欲しい生活習慣について描いてある子ども向けの絵本や動画を活用して、伝えるのもおすすめです。
なるほど、それは伝えやすいですね。他に、子どもが自ら進んで手洗いするようにするためにどのような工夫をしていますか?
ゲーム感覚で「誰が一番に洗えるかな?」と促してみることもあります。そうすると「私が洗うの!」と、進んで手洗いしてくれますよ。
大事なポイントとしては、丁寧に手洗いができたら、「すごいね」と褒めてあげることです。褒められることで、園児のやる気もアップします。
手洗いを通して身につけてほしいこと
園児に手洗いを通して身につけて欲しいことは何ですか?
「正しい手の洗い方」と「手洗いの習慣」です。保育園は集団生活のため、きちんと手洗いの習慣をつけ、「ウイルス感染しない・させない方法」を身につけてほしいと願っています。
まとめ
集団生活を安全に過ごすため、正しい手洗い方法を覚えて習慣化させることはとても重要なことです。けれど、頭ごなしに伝えたり、ただ優しくお願いしたりしても、なかなか園児は実行してくれません。
手遊び歌やダンスを取り入れたり、スタンプやシールを活用したりして、子どもたち自身が楽しんで手洗いできるよう工夫してあげましょう。だんだんと正しい洗い方も覚えて、自ら進んで手を洗ってくれるようになりますよ!
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この記事を書いた人
長野県立大学グローバルマネジメント学科2年の学生ライターです。こどもについてもっと知っていきたいです!