お片付けしようねと声をかけても言うことを聞かない。決まった場所に片付けられない、気づけば家の中は子どものおもちゃだらけでぐちゃぐちゃ。
言っても聞かない子どもにイライラして、つい怒ったり怒鳴ったりしてしまうこともあるかもしれません。
子どものお片付けの悩みは尽きません。
- 子どもが素直にお片付けする方法が知りたい
- 片付けをしない子どもにイライラしてしまうのが辛い
- 子どもに、何でお片付けしなくちゃいけないの?と聞かれた時に答えに困る
今回はそんなお悩みに応えるべく、保育士のちさと先生に、子どものお片付けに関するインタビューを行いました。
この記事を読むと、次の5つが分かります。
- 片付けない子どもに対するイライラの対処法
- 子どもがお片付けを出来ない理由と対処法
- 保育士が教える子どもにお片付けをさせるアイデア
- 保育園では出来るのにおうちでお片付け出来ない理由
- お片付けを嫌がる子どもへの接し方
記事の中では、保育士さんが実践している、保育園で子どもたちがお片づけをしてくれる方法をお伝えしています。
マネするだけで、お子さんが今よりも片付けてくれるようになるはずなので、ぜひ参考にしてみて下さい。
ちさと先生
3人の子どもの育児をしながら、みらいくで担任を持ち3年目。子ども達が「毎日楽しかった♡」と思えるよう全力で楽しい保育!!を心掛けています。
目次
片付けない子どもにイライラするのは仕方のないこと
子どもが片付けをしないことでイライラしてしまう方も多いようですが、これは仕方のないことですか?
はい、仕方のないことです。うまくいかなければ怒ったり叱ったりしてしまうのは当然です。
保育士の私だって、自分の子どもがお片付けをしなくてイライラしてしまうこともありますよ。
大切なのは、感情的に怒ってしまった後の対応です。
「片付けが出来なくて怒られても、親の愛情は変わらない」ということを言葉や態度で伝えてください。
その上で「次はどうやったらお片付けが出来るか」を一緒に考えましょう。そういった行動が「子どもの自己肯定感をあげます。
自己肯定感はすべての力のベースとなる能力です。
画像引用:文部科学省「我が国の子供の意識に関するタスクフォース」
しかし実は、親が怒るのを我慢しすぎると、それを見て成長した子どもも自分の感情を我慢して心を閉ざしてしまうこともあるんですよ。
喜怒哀楽の感情はしっかり表現して、子どもも感情豊かに育つようコミュニケーションを取っていきましょう。
子どもを叱る時は、「お片付けしないから怒ってるんだよ」と、具体的な理由を伝えてみてください。「何がいけないのか」「なぜ怒られているのか」子どもが分かるように伝えることが大切です。
お片付けができるようになる年齢は?
自分でお片付けができるようになるのは、どれくらいの年齢からなのでしょうか?
まだ自分で歩くことも出来ない子どもに、お片付けをさせるのは現実的に不可能ですよね。
目安として、おもちゃを持って一人歩き出来るようになった頃から、お片付けも覚えられるようになります。
1人で歩き始めるのは平均的に1歳前後ですが、早い子は8ヶ月くらいから歩くようになります。おもちゃを持って歩けるのはもう少し先(平均2歳前後)になりますが、お子さんの成長の様子に合わせて、お片付けを教えるタイミングを見つけてください。
最初は、子どもと一緒にお片付けの練習をしてください。
「おもちゃはこの箱に入れてね」等の言葉をかけるだけで大人は何をすればいいのかイメージできますが、子どもには難しいです。
片付けを楽しく一緒に取り組む方法として、次のような取り組みをすると、少しずつですが片付けが出来るようになります。
- 「ママは一つ片付けた」「○○くんはいくつできるかな」と一緒に楽しむ
- 「電車を箱に入れて」「絵本を本棚に返して」と一つずつ順番に片付ける
- 親が「箱に入れる係」子どもが「おもちゃを運ぶ係」など役割分担をする
2~3歳児が片付けをしてくれない3つの理由
片付けが理解できる2~3歳児でも、なかなかお片付けをしてくれないことがあります。どんな理由があるのでしょうか?
次の3つの理由が考えられます。
1:片付けの場所が決まっていない
2:まだ遊び足りないから
3:片付けよりも遊びに興味がむくから
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1:片付けの場所が決まっていない
場所が決まっていないと、子どもはお片付け出来ません。
闇雲に「お片付けしようね」と言われても、どこに?どうやって?お片付けって何?と困ってしまい、ますますお片付けが苦手になってしまいます。
後ほどお伝えしますが、片付ける場所やルールを決めておくと、やり方を覚えて取り組んでくれますよ。
2:まだ遊び足りないから
遊び足りなくてお片付けをしないということは大いにあり得ます。そういう時は、子どもの気が済むまで遊ばせてあげましょう。
でも、いつまでも遊ばせているのも…と思いますよね。
それは大丈夫です。子どもは子どもなりに、一つの遊びに始まりと終わりがあるので、子どもの中で「終わり!」と決まったら切り替えられますよ。
遮られると、子ども自身が決めていた遊びのシナリオが崩されてしまうので、とてもお片付けをする気分にはなれません。
それでも、もう一回、と駄々をこねることもありますので、ある程度遊ばせたら「じゃあこれが終わったらお片付けしようね」と約束して終わりを決めてあげましょう。
また、どうしてもいったん遊びから離れて欲しいときは「後で続きをやろう」「だから、このままにしてご飯を先に食べよう」と、続きがすぐ出来る提案をしてあげると良いです。
3:片付けよりも遊びに興味がむくから
ずっと遊んでいたいという子どもはたくさんいます。遊びに夢中になっている時、やりたい遊びがある時に「お片付け」と言われても聞く耳を持ちません。
だからといって、「どうすれば子どもにお片付けをさせることが出来るのか」と工夫するのを諦めてはいけません。
やりたいことと、やらなければいけないことの分別をつけないと、ずっとお片付けができないままになってしまいます。
先ほどの話と少し似ているのですが、遊びの時間に見通しをつけ、何か別の楽しい約束をすると、気持ちの切り替えがしやすいです。
- これで最後ね、お片付けしたら抱っこしてあげるね
- 終わったらママとおやつ食べようね
- ちゃんと終わらせてお片付けできたらおいしいご飯食べようね
お片付けをが終わったらもっと嬉しいことがあると分かると、子どももそこに向けて動いてくれます。
子どもに片付けをしてもらうねらい
片付けを続けることで、以下の能力が身につくと言われています。
- 整理(選択力)大切なものことを選び取る力
- 収納(想像力)先のことを想像する力
- 片付け(習慣力)続ける力
子どもには難しい話ですが、この中でも特に、続ける力を伸ばすことで自信をつけてくれます。
お片付けを継続できたら、思い切り「今日もお片付けが出来たね!偉かったね!」と褒めてあげてください。
また、「毎日お片付け出来たらママ嬉しいな!」「○○くんがお片付けしてくれると、ママがおいしいおやつを準備する時間ができるな!」と、子どもにとってプラスの提案をしてあげるのも、続ける力を伸ばすのに効果的です。
お片付けの意味が分からなくても、お片付け=プラスのイメージを持たせてあげればスムーズに取り組んでくれます。
しかし実際には「出しっぱなしのおもちゃを踏んだら怪我をして危ない」「無くしたら悲しい」という経験から、だから言ったじゃん!と、子どもを叱りがちです。
マイナスのイメージと結びつくのは、子どもも親も悲しいので、お片付け=マイナスのイメージは持たせないようにしましょう。
保育園でも実践!自分でお片付けするようになる対策法
子どもがお片付けをできるように、保育園で実践している方法があれば教えてください。
次の2つのことを実践しています。
- 片付けやすい環境づくり
- 片付けたくなるような雰囲気づくり
一つずつ解説していきますね。
片付けやすい環境づくり
これまでお話ししてきた通り、片付け方が分からない、片付けというものがそもそも分からないのでは、子どもはいつまで経ってもお片付けが出来ません。
子どもがお片付けをしやすい環境やルールを大人が決めて、サポートしてあげましょう。
1:おもちゃの種類分けをする
まずはおもちゃの種類分けです。
- 車や電車
- ブロック
- クレヨン
- おままごとセット 等々
子どものおもちゃはたくさんの種類がありますよね。それらを一箇所にまとめて片付けようとしても、ぐちゃぐちゃになってしまいますし、次に遊ぶ時も欲しいものを探すのに一苦労です。
ですので、種類ごとに分けてお片付けするようにしましょう。
2:おもちゃを戻す場所を分かりやすくする
おもちゃの収納方法
種類分けしたおもちゃを戻す場所ですが、これはここ、これはここ、と口で言っても子どもはなかなか覚えられません。
保育園で実践しているのが、片付ける箱やカゴにそれぞれのおもちゃの写真を貼ることです。
ブロックはここ、電車はここ、というように写真と照らし合わせながら、子どもも楽しんでお片づけしてくれますよ。
絵本の収納方法
絵本は、ここにしまうんだよ、という棚を決めています。シリーズやサイズが違っても、まずは決められた場所にしまうということが大切です。
もしシリーズごとに分けて片付けて欲しいというのであれば、おもちゃと同じように写真や文字を書いたテープを棚に貼り、そこに片付けてくれるよう促しましょう。
※こちらが実際に見せていただいた、おもちゃの写真を貼ったカゴです
お片付けが上手に出来ると、「先生見てー!」と報告に来てくれる子もいます。
お子さんが小さいうちはもっと大きな箱を使って「大雑把」でも良いので「ここに入れればよい」という成功体験をさせてあげてください。
お片付け=成功体験の感覚ですね。
そうですね。出来たときには、めいっぱい褒めてあげます。
3:子どもの手の届く場所に収納場所を作る
保育園では、子どもの目線の高さに合わせた棚に、先ほどの種類ごとに分けたカゴを入れて仕分けしています。
カゴをさっと引き出してそこに入れるだけなので、子どもも簡単に出来るし、種類が混ざってぐちゃぐちゃにもなりません。
目につくところに写真付きのおもちゃの箱があると、子どもにとってとても魅力的に映るような気がします。
遊びの時間じゃないのに取り出してしまう、片付けた側からもう一回遊び出す、という心配はありませんか?
そういう場合は、遊ぶ時だけおもちゃの箱を床に置き、お片付けが終わったら子どもの目の届かないところにしまうと良いですよ。
片付けたくなるような雰囲気づくり
1:お片づけの時間に音楽を流す
伝え方にも様々ありますが、当園ではお片付けの時間になると音楽を流しています。こちらも驚くほどに、パッと切り替えてどの子もお片付けを始めてくれますよ。
大人でも、目覚ましが鳴ったら起きる、チャイムが鳴ったらお昼休みなど、音を合図に行動を切り替えることがありますよね。
子どもも同じように、この音楽が鳴ったらお片付けの時間ということを繰り返し教えて覚えさせれば、こちらが声をかけなくても自然とお片付けモードに入ってくれます。
流す音楽は何でもいいのですか?
当園ではとなりのトトロのテーマソングを流していますが、子どもに馴染みのある音楽であれば何でもいいと思います。
戦隊モノのテーマソングなどは、子どもが興奮してしまう可能性もあるので、オルゴールやチャイムなど優しい音楽の方がいいかもしれません。
2:お片付けをゲームにする
どっちが早くお片付け出来るか先生と競争しようか!と提案すると、すごい速さでお片付けを始めてくれます。
また、車のおもちゃを全部集めたら勝ち、ブロックをたくさん集めた方が勝ち、等の方法も効果的ですよ。
もちろん、なるべく子どもに勝たせてあげてくださいね。
3:子どものペースに合わせてあげる
子どもが一生懸命頑張っている時に「早くして」等、急かすのは絶対にやめた方がいいです。
お片付けが遅くてついイライラしてしまうかもしれませんが、そこで急かしてしまったら、せっかくやる気になった子どもの気分を損ねてしまいます。
どうしても急いで欲しい場合は、「はやく一緒にお散歩行きたいな~」と促す、「いつも一人で頑張ってるからお母さんもお手伝いしようかな」と一緒にやる等、子どものやり方を否定しない方法を試してみてください。
4:片づけができたら褒める
上手にお片付けができたらたくさん褒めてあげましょう。
最初にお伺いした、お片付け=プラスの体験ですね。
はい、その通りです。頑張ったことを褒めてもらえるのは素直に嬉しいのと、特に大好きなお母さんから褒められるのは特別嬉しいことなんです。
お片付けが当たり前に出来るようになっても、偉いね、お片付けできたね、という声かけは気づいた時にしてあげてください。
5:完璧にできなくてもOK
少しだけ片付け忘れてしまったり、決められた場所にしまえなかったり、完璧に出来ないことは多々あります。それでも、出来なかったことを指摘するのではなく、出来たことを褒めるようにしてあげてください。
お片付けをやろうとした気持ちが何よりも大事です。
親としては、いつかは完璧にお片付けして欲しいと思うのですが、どういった方法が良いですか?
「今日はここまでできたね」と褒めた後に、「ここに残っているおもちゃかわいそうだね」「次はここもやってみようね」と促すのが効果的です。
保育園では片付けをするのに家では片付けをしない理由
保育園では率先してお片付けをするのに、おうちでは出来ないという子どももいるようです。
これはどうしてなのでしょうか?
お母さんに甘えたいのでしょう。大人と同じように、子どもにも社会の顔とおうちの顔がしっかりあります。
保育園でしっかり者の子どもも、お家に帰ってきたらお母さんにべったり甘えて、お片付けやお手伝いが出来ないということはよくあります。
- 好きな子にいいところを見せたい
- リーダーシップを取ってみんなをまとめたい
- 先生に褒められたい 等々
理由は様々ですが、子どもは子どもなりにお家とは違うしっかり者の一面を見せたがっている場合もあります。
確かに私たち大人も、会社と家では、がらりと生活態度が変わることがありますよね。そんな子どもにもお片付けをさせるには、どのような工夫が必要ですか?
次の3つの方法に挑戦してみてください。
- 困った様子を見せる
- お片付けが出来ると嬉しいと伝える
- 一緒にやろうと声をかける
子どもがお片付けをしない時、諦めて自分でやってしまうお母さんは多いです。そんな時に「お母さん、このおもちゃどこにしまうのか分からないよ~」と困った素振りを子どもに見せてみてください。
すると、お母さんを助けたい、自分が活躍したいという気持ちが働きお片付けをしてくれます。 もちろんその後は「すごいね!助けてくれてありがとう!」とたくさん褒めてあげましょう。
子どもはお母さんが大好きですから、困っているお母さんを助けた経験を積むことで自己肯定感が高まり、お片付け以外も率先してやってくれるようになりますよ。
一緒にやろうと提案するのもいいですね。基本的に子どもは大人の真似をしたがるので、一緒にやろうと誘うことも効果的ですよ。
その時も「これはどこにしまうのかな?」と頼るような素振りを見せると、やってあげたいという子どものやる気を引き出すことが出来ます。
子どもが片付けを嫌がるときの対処方法
まずは子どもの話を聞く
まず、子どもがお片付けをしたくないという気持ちに共感してから、頑張ろうね、と誘導すること。
やりたくない!と駄々をこねたら頭ごなしに怒るのではなく、「そうだよね、やりたくないよね」と子どもの話を聞いてあげてください。
「お母さんもやりたくないよ」と、親も子どもと同じ気持ちを持っていることを伝えてあげると、自分が思っていることは悪いことじゃなかったんだ、と子どもも安心します。
子どもの気持ちを受け止めてあげるイメージですか?
その通りです。否定すればするほど子どもも悲しくなってしまい、反抗したりわがままを言ったりしてしまいます。
まずはしっかり、子どもがお片付けをしたくないという気持ちを受け止めてあげてください。
心理学者のジョナサン・フリードマン氏が行った研究で、キツく伝えるより優しく伝えた方が3倍の子どもが言うことを聞くという結果も出ています。
「お母さんもお片付けしたくないけど、〇〇ちゃん(子ども)とおやつ食べながらゆっくりお話ししたいから頑張ろうよ」と、これまで繰り返しお伝えしてきた、お片付けをする=プラスのイメージを与えます。
一緒に片づけたり簡単な作業に切り替える
それでもお片付けをしたくないという子には、どうしたらよいでしょうか?
子どもの成長はそれぞれ違います。
「この子にはまだ、このお片付けの方法は早かったんだな」と考え、次のような方法を試してみてください。
- 8割はママがお片付けして、2割だけ一緒にお片付けをする
- キッチリ片付けなくても大きな箱を用意して「ここに入れれば良いんだよ」と簡単にする
まとめ
ここまで、子どものお片付けについて保育士のちさと先生に伺ったことをお伝えしました。
まとめると、以下のようになります。
- お片付けしない子どもへのイライラは我慢出来なくてもしょうがない
- お片付けが出来ない理由をきちんと理解して対処する
- お片付け=プラスのイメージを持たせる
- スムーズにお片付けしてもらうために事前準備を行う
- 子どもの気持ちに寄り添い共感する
子どもがおもちゃや絵本を片付けられないのは、片付ける場所が具体的に決まっていなかったり、まだ遊び足りなかったりします。
ここでお伝えした、保育園で行っている子どもたちに片付けてもらう2つの方法を試してみてください。
少しずつでも、お子さんが自分から片付けてくれるようになるはずですので。
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入園前のお子さんと一緒に、保育園の様子をのぞいてみませんか?子育てのお悩みに、保育士や看護師などの専門家が答えます!
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この記事を書いた人
未だ子育てを経験していないが、保育士さんの話しを聞くうちにドンドン楽しそうに感じている!