夏場になると、保育園で園児たちが水遊びをしている光景を見かけますよね。
「子どもたちは楽しそうだけど、そもそも水遊びって、どんなねらいがあるの?」
「家庭で水遊びをするとき、どんなことに気をつけるべき?」
このような疑問を持ったことはありませんか。
今回は、保育園での水遊び保育のねらいや、家庭で水遊びをさせる際に配慮すべき点など、保育士のしおり先生にお話を伺いました。
この記事を読むと以下の4つがわかります。
- 保育園で水遊びをさせる理由
- 年齢別・水遊び保育のねらいと配慮すべきこと
- 夏の水遊びの注意点
- 水遊びで使えるかんたん手作りおもちゃ
ご家庭で安全に水遊びを楽しむために、ぜひ参考にしてみてください。
しおり先生
埼玉の保育園に6年間勤め、結婚を機に長野へ移住。みらいく県町に勤めています。
子どもたちの気付き・発見に寄り添い、思いを受け止めながら、笑顔溢れる楽しい日々を過ごせるよう保育に努めています!
目次
夏に保育園で水遊びをするねらいとは?
夏になると、子どもたちが保育園で気持ちよさそうに水遊びをしている光景を目にします。
そこで今回は、水遊びのねらいについて、教えていただけますか?
はい。子どもは、水遊びを通して水と触れ合う楽しさや水の怖さを体験すると共に、社会のルールなど多くのことを学んでいるのですよ。
水遊びのねらいについて、一つずつ詳しく解説していきますね。
ねらい①水に親しむことで感性を育む
水遊びのねらいの1つ目は、水に親しみ、感性を育むことです。
水は、こちらが意図しないさまざまな動きをします。何もしなければ静かな水も、少し手を入れると規則的に波立ったり、水を手で掬おうとしても、思うように掬えなかったり…。
水と触れ合うことで、子どもたちは水の動きを感覚的に掴んでいきます。
また、水が見せるいろいろな表情から、子どもは感性を刺激されます。夏の日差しを受け、キラキラと水面が輝く様子を見て、「きれい」「まぶしい」と感じたりしますよね。さらに、夏の暑いときに体に水がかかると、冷たくて気持ちがよいことを肌で体感します。
このように、水と遊び水に親しむことによって、子どもの感性の発達を促すねらいがあります。
ねらい②水の怖さと水遊びのルールを覚える
2つ目のねらいは、水の怖さを知り、水遊びのルールを覚えることです。
水遊びは楽しいものですが、一歩間違うと命に関わる危険もあります。水遊びの楽しさを味わうとともに、水の怖さも覚えてもらいたいのです。
ねらい③社会性を身につける
3つ目のねらいは、水遊びを通して社会性を身につけることです。
水遊びの時間は、
- 順番に並ぶ
- 走らない
- シャワーで体をきれいにする
など、皆が気持ちよく安全に過ごすための「決まり」があります。
状況によって変わる「決まり」を守ることを覚え、家や保育園以外の場所でも楽しく安全に過ごせるよう社会性を身につけることも、子どもにとって大切な学びです。
年齢別・水遊びのポイントと注意すべきこと
家庭で水遊びをする際、どんなことに配慮すればよいでしょうか?
年齢によって気をつけることがあれば、教えてください。
はい、家庭で水遊びをする際に配慮すべき点を、年齢別にご紹介しますね。
0歳児の水遊びのポイントと注意点
- 水遊びは、おすわりができるようになってから
- 小さめのビニールプール or たらいでOK
- 水温は30℃前後
- 絶対に目を離さない
- 熱中症予防を意識
- 水遊びの時間は10~15分
0歳児の場合には、いつから水遊びをさせてよいのかが気になるところですよね。
目安としては、おすわりができるようになったら、ちょっとずつ水遊びをさせてみるとよいでしょう。最初は嫌がる子も多いですが、手や足、肩に少し水をかけてあげて、水に興味を持ってもらうことから始めてください。
0歳児の場合、大きなプールは必要ありません。小さめのビニールプールやたらいに少しだけ水を張り、そこに座らせてあげます。
水の温度は30℃前後が最適です。水が冷たくなりすぎないよう、気をつけてください。
また、最大の配慮としては「絶対に目を離さないこと」です。
子どもにこまめに声かけをしてあげることで、親子のコミュニケーションも深まります。
時々肩や頭にやさしく水をかけてあげると、熱中症の予防にもなりますね。
水遊びは楽しい反面、体力も使います。0歳児の場合は、ご機嫌だからといって長時間の水遊びは控えましょう。
だいたい10~15分くらい遊んだら、切り上げてください。
1~3歳児の水遊びのポイントと注意点
- 水遊びを積極的に楽しむ年齢
- 絶対に目を離さない
- 水の深さは「立った時にふくらはぎの中間くらいまでが浸かる程度」
1~3歳児はだいぶしっかりしてきているので、積極的に水遊びを楽しむようになります。プールの中で水をかけ合ったり、寝転がったりするのが大好きな頃です。
0歳児ほど気を使うことはないかもしれませんが、それでも絶対に目は離さないで下さい。いくら水深が浅くても、子どもは溺れる可能性があることを十分理解しておきましょう。
水深の目安は、以下を参考にして下さい。
・ 立った時にふくらはぎの中間くらいまでが浸かる程度
・ 寝転がった時に顔が沈まない程度
4~5歳児の水遊びのポイントと注意点
- 小学校のプールの授業に馴染むための練習
- お腹くらいまでの深さのプールにも入れる
- スイミングスクールに通ったり、親子でプールに行くことも
- 慣れてきても油断せず水の事故に注意!
4~5歳児の場合は、もうすぐ始まる小学校のプールの授業に抵抗なく馴染めるように、というねらいがあります。
4~5歳になると、3歳以下の時よりも少し大きめの、お腹くらいまでの深さのプールにも入れるようになっている頃です。スイミングスクールに通っていて、すでに普通のプールで泳げる子どももいるでしょう。親子で近所のプールへ遊びに行くこともできますね。
しかし、慣れてきたからこそ油断して足を滑らせたりする事故も起きやすくなります。気を抜かず、十分に注意しましょう。
子どもが水遊びを嫌がる場合はどうする?
「よそのお子さんたちは水遊びを楽しそうにしていますが、うちの子は嫌がります。どうしたらよいでしょうか?」という悩みを抱えるお母さんから、相談をいただきました。
確かに中には水遊びを嫌がる子どももいます。そのようなお子さんに、家庭で無理やり水遊びをさせる必要はないと思います。
ですが、親御さんとしては、できれば水遊びへの抵抗をなくしてもらいたいですよね。
その場合には、まずは小さなことから少しずつ慣れさせるのがよいでしょう。
- 最初はプールを用意せず、水道の蛇口の水を少し触らせてみる
- 慣れてきたら、たらいに水を張り、中に入るのではなく外から水とおもちゃで遊ばせてみる
- さらに慣れてきたら、小さなビニールプールに少しだけ水を張り、足だけ浸からせてみる
- 足だけ浸かるのに慣れたら、少しずつビニールプールの水の量を増やして水の中に入らせてみる
このように、徐々に水に親しんでいくのがよいと思います。とにかく最初は、水に触れること、水に興味を持ってもらうことが大切です。
夏の水遊びで注意すべき2つのこと
夏の水遊びで注意すべきことはありますか?
はい、ひんやりと気持ちよい水遊びですが、気付かぬうちに体調に変化を起こしていることもあります。
水遊びの注意①涼しい水遊びでも、暑さ対策と体調管理を徹底!
熱中症にならないための体調管理を、しっかりと行いましょう。
- 屋外で水遊びをする際も、炎天下は避ける
- 木陰にプールを設置する
- 炎天下の場合にはパラソルやシェードで日差しを遮る
- 日陰が確保できない場合には、ラッシュガードの水着を用意する
- 日差しを避けるための帽子も必須
- 水や麦茶などで定期的な水分補給も忘れずに
夏の日差しは強烈です。涼しい水遊びだからと油断せず、熱中症対策はしっかり行ってください。
また、常に子どもの変化をチェックしておくことも大切です。楽しそうにしているけれど、よくよく見たら唇が紫になっていた、ということもありがち。
唇の色が紫になるのは、低体温症のサインです。
そんな時は、「また今度にしようね」と言って終わらせましょう。
プールから上がったあとも、しばらくは子どもの様子を確認し続けましょう。特に熱中症は、冷たいプールの中にいる間は分かりづらく、水から上がった後に体調に異変が出て気付くこともあります。
水遊びの注意②いかなる時も子どもから目を離さず安全対策を
消費者庁下の消費者安全調査委員会より、プール活動・水遊びに関するガイドラインが示達されています。
保育園や認定こども園向けに作成されたものですが、家庭のプールで事故が発生する可能性もありますので、参考にしていただくとよいと思います。
参考:『幼稚園等のプール活動・水遊びでの溺れ事故を防ぐために』消費者安全調査会
私も読んでみましたが、「プールのへりに座る・またぐ」などの例は、家庭で使う柔らかいビニールプールでこそ、子どもが面白がってやりそうだなと思いました。
そのままひっくり返って頭を打つこともありえますよね。
はい、水深の浅いプールで寝転がっていたら、水を飲んでむせてしまいそのまま…ということも十分考えられます。
水深が浅いから大丈夫、ということは決してありませんので、いかなる時も子どもから目を離さないでください。
保育園でも作っている水遊びに使える手作りおもちゃ
最後に、簡単に作ることができて、水遊びに使える手作りのおもちゃを教えてください!
はい、身近にある材料でかんたんに作れるおもちゃを4つ紹介しましょう。
ペットボトルを活用したシャワー
ペットボトルの下の方に穴をいくつか開けると、ペットボトルのシャワーができます。シールを貼るなどして飾ってあげると、子どもの気分も上がりますよ。
ペットボトルの切り口等、鋭利な部分はビニールテープでしっかり保護してくださいね。
牛乳パックで水中メガネ
牛乳パックの底をくり抜き、ラップを貼ります。ラップ側を水につければ、水中メガネに。水底の宝探しゲームなどで遊べます。水に顔をつけることが怖い子どもでも楽しく遊べるでしょう。
発泡スチロールやスポンジで魚釣り
発泡スチロールや食器洗い用のスポンジを魚の形にくり抜いて、プールに浮かべて魚釣りごっこをします。
水遊びの前段でおもちゃを手作りするのも、子どもにとって楽しい体験になります。
水遊び保育のねらいを参考にして夏は楽しく水遊びを!
今回は、保育園での水遊びのねらいと注意点について、保育士のしおり先生にお話を伺いました。
改めてまとめると以下のようになります。
・ 水遊び保育は、子どもの感性を育み、社会性を身につけるなどのねらいがある
・ 楽しく安全に水遊びをするため、年齢に関わらずどんな時も子どもから目を離さない
・ 水遊び中は、常に子どもの様子を見て体調管理を徹底する
・ 水遊びに使える手作りおもちゃを4つご紹介
外での水遊びは、夏にしかできない遊びです。
子どものためにも、さまざまな体験をさせてあげたいですね。 ぜひこの記事を参考に、親子で安全な水遊びを楽しんでください。
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この記事を書いた人
未だ子育てを経験していないが、保育士さんの話しを聞くうちにドンドン楽しそうに感じている!