母乳とミルクだけで大丈夫?乳児の脱水症状を防ぐ水分補給の方法とタイミング!

お子さんが母乳やミルクをしっかりと飲んでくれていたとしても、お風呂上がりや夏場の外出時など汗をかいたタイミングで「水分が足りているかな…?」と不安になったことはありませんか?

今回はそんなお父さんやお母さんの不安を解消するため、病児保育の看護師を務めるまきこ先生から「乳児の水分補給の方法やタイミング」について教えていただきました。

この記事を読むと以下の3つのことが分かります。

  • 乳児がとるべき1日の水分量の目安
  • 乳児におすすめな飲み物とタイミング
  • 乳児を脱水症から守る方法

大事なお子さんが脱水症になるのを防ぐために、1日に必要な水分の摂取量や水分補給のタイミング、飲ませ方などポイントをおさえておきましょう。

まきこ先生
まきこ先生
病児保育 看護師
大学病院やクリニックで小児科を学び、病児保育室、小規模保育園などで勤務。長野県へ移住後も子どもと触れ合える仕事に就くことができ、喜びを感じる毎日です。子どもとその家族の笑顔を守りたい、病児保育室で過ごす時間が楽しくてホッとできるように…を心がけています。

乳児がとるべき1日の水分補給の量と内容

母乳やミルクだけで水分は足りる?

manami

現在8ヶ月の女の子の育児をしています。母乳やミルクだけだと「脱水症状にならないかな…」と不安になることがあるのですが、大丈夫でしょうか?

まきこ先生
まきこ先生

生後4~5か月までの乳児の場合、母乳やミルクがしっかり飲めていれば水分補給も十分にできていると考えていただいて問題ありません。

母乳の約90%は水分です。母乳だけ飲んでいる場合は、お母様がしっかりと水分を摂取することで、母乳の出も良くなりますよ。

母乳やミルク以外の水分補給はいつから?

manami

母乳やミルク以外の水分補給を始めるのは、いつ頃からが良いでしょうか?

まきこ先生
まきこ先生

母乳やミルク以外の水分を摂り始めるのは、離乳食が始まる生後5~6か月頃からがおすすめです。

まずは哺乳瓶に入れた湯冷まし10~30ml程度から始めて、味に慣れさせてあげましょう。

離乳食と同じように、最初はスプーン1杯の湯冷ましからスタートしてみても良いですね。

manami

なぜ離乳食が始まる生後5〜6ヶ月頃からが良いのですか?

まきこ先生
まきこ先生

基本的に母乳やミルクがしっかりと飲めていれば、それ以外の水分を絶対に摂らなければならないというわけではありません。

離乳食開始期は母乳やミルク以外のものを口にするようになるタイミングでもあるので、「味に慣れさせる」という観点で、この時期から母乳やミルク以外の水分補給を与え始めるのが良いのではないかとされています。

manami

最初は湯冷ましから始めた方が良いですか?

まきこ先生
まきこ先生

そうですね。慣れない味だと嫌がってしまい、むせて誤嚥につながるリスクも考えられますので、余計なものが入っていない湯冷ましが適していると思います。

温度は母乳と同じくらいの人肌程度(36度程度)になるようにして、少ない量から少しずつ飲ませてあげることを意識すると良いでしょう。

乳児に必要な1日の水分量の目安

manami

母乳やミルクなどを含めて、乳児が1日あたりに必要な水分量の目安を知りたいです。

まきこ先生
まきこ先生

乳児が必要とする水分の摂取量は、体重1㎏あたり150mlが目安とされています。月齢でいうと生後3~4ヶ月だと800ml、6ヶ月ごろで1000ml、1歳児では1200mlほどとなります。

manami

実はうちの子、目安となる量を飲めない時期があって…。「ちゃんと水分は足りているのかな?」と不安になっていました。

まきこ先生
まきこ先生

そうだったんですね。特にミルクを中心とした育児をされている方は、飲んだ量が数字で見えるので不安になられる方も多いですよね。

先ほどの数値はあくまでも目安ですので、お子さんによって個人差があって当然です。
離乳食など食事でも水分は摂れるので、水分を多く含む食べ物やメニューを入れるのも一つの手段ですね。

今回のテーマとは少し観点がずれてしまいますが、「栄養」の観点で言うと体重が増えていればそこまで心配する必要はないかなと思います。

まきこ先生
まきこ先生

ただし、唇が乾燥していたり肌にハリがない状態が続いているようであれば、脱水症の可能性が考えられますので、お子さんをしっかりと観察してあげてくださいね。

manami

乳児とひとくくりに言っても、母乳やミルクが中心となる低月齢のお子さんと、離乳食が始まった後のお子さんでは、水分の飲ませ方は少し違ってきますよね。

まきこ先生
まきこ先生

そうですね。
基本的には汗をかくなどして体内から水分が出ていってしまった際に水分を与えてあげることが前提ですが、母乳やミルクが中心となる月齢の低いお子さんでしたら、授乳の時間を少し早めるなど臨機応変に対応していただけたらと思います。

乳児に水分をあげるタイミング

manami

子どもにいつ水分をあげたら良いかタイミングが知りたいです。

まきこ先生
まきこ先生

水分摂取が必要となるのは、体から水分が奪われる以下の3つのタイミングです。

  • 寝起き
  • お風呂上がり
  • 発熱や嘔吐をしているとき
まきこ先生
まきこ先生

もちろんこれ以外にも、お出かけなどで汗をかいてしまったときや母乳やミルクの間隔が空いてしまうときなども必要に応じて水分を与えてあげると良いでしょう。

離乳食開始前で母乳やミルク以外の飲み物に慣れていないというお子さんは、のどが渇いたタイミングでチャレンジすると良く飲んでくれることがありますよ。

注意点としては、赤ちゃんは大人のように一度に多くの水分を摂ることが出来ないので、少量ずつこまめに飲ませてあげることを意識していただけたらと思います。

乳児におすすめの飲み物と水分補給の方法

乳児にあげる飲み物の種類

manami

ここまでで、乳児に必要な水分の量とタイミングが分かりました!具体的に何を飲ませてあげたら良いのでしょうか?

まきこ先生
まきこ先生

まずは湯冷ましや赤ちゃん用の麦茶をあげると良いですよ。それぞれの場合で気をつけるべきポイントが異なるので、説明していきますね。

湯冷まし

まきこ先生
まきこ先生

まず湯冷ましについては、煮沸消毒することがポイントとなります。

日本の水道水は安全と言われていますが、残留塩素やトリハロメタンを取り除くためには、煮沸消毒して冷ました状態の「湯冷まし」がより安心です。

manami

市販のミネラルウォーターでも良いですか?

まきこ先生
まきこ先生

市販のミネラルウォーターを選ぶ場合は、硬度が120mg/ℓ未満のものを選びましょう。

多量のミネラルも乳児に負担をかけてしまいます。また、冷えた飲み物はお腹を壊してしまう恐れがあるので、常温~人肌程度のものにしてあげてください。

ドラックストアやスーパーなどで赤ちゃん用のイオン飲料が市販されていますが、普段の水分補給としては特に必要ないかなと思います。飲む必要がある時だけ、医師の指示のもと飲むものだと考えていただけたら大丈夫です。

麦茶

まきこ先生
まきこ先生

離乳食がどれだけ進んでいるかにもよりますが、大人用の麦茶を与える場合は少し薄めて飲ませてあげると良いでしょう。

乳児の場合、最初から濃い味の食べ物に慣れてしまうと、濃い味がおいしく感じ薄い味のものを嫌がってしまう場合があります。

離乳食でも、味付けのない状態からスタートするのはそのためです。飲み物に関しても同じで、薄味のものから飲ませてあげることを意識していただけたら良いのではないかと思います。

manami

水分補給のために、乳児用の果汁ジュースを飲ませるのは良くないですか?

まきこ先生
まきこ先生

乳児の場合、水分補給のためにジュースを飲ませるというのはおすすめではありません。

食事や飲み物のバリエーションを増えてきたタイミングで、あくまでも「バリエーションのひとつ」と捉えていただく方が良いのではないかと思います。

乳児の水分補給の方法

manami

初めて母乳やミルク以外のものを飲ませてあげるとき、どうやって飲ませてあげたら良いか分からず、ネットでたくさん検索してしまいました。

まきこ先生
まきこ先生

同じような悩みを抱えていらっしゃる親御さんは多いですよね。

始めは哺乳瓶の中身を湯冷ましに変えて飲ませたり、乳児用のスプーンで1杯ずつあげたりするのがおすすめです。

お水の味に慣れてきたら、スパウトマグやストローマグに変えましょう。スパウトマグは哺乳瓶のような突起のついたマグカップです。まだストローがうまく吸えない乳児であっても、哺乳瓶のような吸い口のため比較的飲みやすいですよ。

まきこ先生
まきこ先生

ストローマグは、スパウトマグがストローになったマグカップです。ストローが細めのもの、太めのものとあるため、赤ちゃんがむせてしまったりうまく吸えない場合には、お口の動きに合ったものを使いましょう。

哺乳瓶を嫌がる場合の水分の与え方

manami

周りのお母さんで、「子どもが哺乳瓶を嫌がるので、どのように水分をあげたらいいか分からない…」と悩んでいる方がいました。おすすめの対処法があれば教えていただきたいです。

まきこ先生
まきこ先生

これも多く聞かれる悩みの一つですね。実際に、保育園に入るまでずっと母乳を飲んでいたお子さんの中には、哺乳瓶を嫌がってしまうお子さんも多いです。

可能であれば、色々な種類の哺乳瓶や乳首を試してみていただけたらと思います。哺乳瓶によって吸い口の形状や材質が異なるので、お子さんの好みにフィットすると飲んでくれることもあります。

まきこ先生
まきこ先生

どうしても哺乳瓶を嫌がるお子さんの場合には、スプーンの方がすんなりと飲んでくれるということが多いですよ。

嫌がっているお子さんに無理にすすめるのは、親御さんにとってもお子さんにとってもつらいですよね。「絶対に哺乳瓶で飲ませないといけない」と頑張りすぎず、離乳食の食事のときのようにスプーンで少しずつ飲ませてあげるのが良いと思います。

乳児の脱水症状を防ぐためにとるべき対策

乳児の水分不足のサインとは?

manami

外出などで我が子が汗をたくさんかいてしまったとき、「脱水症にならないかな…」と心配になります。誰でも分かる「水分不足のサイン」があれば教えていただきたいです。

まきこ先生
まきこ先生

水分が不足している時によく見られるサインは、以下の4つが挙げられます。

  • おしっこの量や回数が減る
  • 急に不機嫌になる
  • 唇やおなかの皮膚がカサカサと乾燥している
  • ぐったりしている
manami

お腹の皮膚をチェックするというのは初めて聞きました。チェックする上でのコツなどはありますか?

まきこ先生
まきこ先生

赤ちゃんのお腹の皮膚はプリッと張りがあるのが特徴です。もしお腹の皮膚を軽く指でつまんで寄せたときに、シワシワと乾燥しているようであれば、水分が足りていない可能性があります。

服の中なので頻繁にチェックするのは難しいと思うので、おむつを変えるついでに見てあげるのが良いかなと思います。

乳児はまだ自分の言葉で、のどの渇きを伝えることができません。母乳やミルクなどの水分を最後に飲んだのがいつなのか気にかけて、時間が空き過ぎないようにこまめに飲ませてあげましょう。また親御さんが「何か変だな…」と感じたらそれは何かのサインであることが多いです。

まきこ先生
まきこ先生

一番そばにいるお母さんやお父さんだからこそ気づけることも多いと思いますので、違和感を感じたら早めに病院を受診するのが一番安心だと思います。

manami

たしかにそうですね。いつもと違うな…と不安になった際は、自己判断はせず早めに受診するようにしたいと思います。他に気をつけるべきポイントがあれば教えてください。

まきこ先生
まきこ先生

熱中症が起こりやすい環境と水分不足が重なった状況などで、赤ちゃんがぐったりしている場合には脱水症状が進んでいる恐れがあります。水分補給をしつつ早めに医療機関を受診しましょう。

体内から出ていく水分量に対して、飲んだり食べたりできていない場合は、脱水症が進んでしまう可能性があるので注意が必要です。

脱水症が進んでいる場合の飲み物としては、経口補水液(イオン飲料水)がおすすめです。経口補水液は吸収力が高くミネラルのバランスも良いので、「飲む点滴」と呼ばれています。

まきこ先生
まきこ先生

いずれにしても、「いつもと様子が違ってぐったりしているな…」と感じた際は、できるだけ早めに病院を受診することをおすすめします。

乳児が水分補給を嫌がる場合

manami

夏場は特に汗をたくさんかくので水分補給が大切ですよね。そんな中、母乳やミルク以外の飲み物を嫌がって飲んでくれない場合はどのように対処したら良いですか?

まきこ先生
まきこ先生

お子さんによっては水分をあまり摂りたがらない子もいらっしゃいますよね。もしかすると、喉が渇いていないのではなく味が好みではない可能性も考えられます。

赤ちゃんのうちは湯冷ましや赤ちゃん用麦茶など味が薄いもので十分です。大人用の麦茶やイオン飲料などの味を覚えてしまうと、それでないと嫌がる…ということも出てきてしまいます。

まきこ先生
まきこ先生

お風呂上がりや遊んでいる合間など、喉が渇いていそうなところを見計らってすすめてみましょう。

離乳食が始まる前の乳児の場合

manami

下痢や嘔吐で体内から水分が出てしまっているとき、脱水症状にならないか不安になります。どんなことに注意して水分を与えたら良いですか?

まきこ先生
まきこ先生

それぞれ対処法が違うので、説明しますね。

下痢をしているとき

まきこ先生
まきこ先生

それ下痢をしているときは脱水症になりやすいため水分補給したほうが良いですが、あげるときには少量ずつ与えてあげてください。お子さんが欲しがるタイミングで、欲しがる量を少しずつ…が良いですね。

下痢をしていても食欲がある時は、消化の良いうどんやおかゆ、やわらかく煮た野菜スープなどを食べられると、栄養と水分の両方が摂れて安心です。

また、牛乳や冷たい飲み物は下痢を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。牛乳が好きで欲しがってしまうとか、脱水が心配だからといって飲ませ過ぎるのには気をつけましょう。

嘔吐をしているとき

まきこ先生
まきこ先生

吐いた直後に水分を与えると、またすぐに吐いてしまう可能性があります。吐かなくなってから、場合によっては1~2時間くらい空けて、様子を見ながら少しずつ飲ませてあげるようにしましょう。勢いよく、または大量に飲むと、また吐いてしまう恐れがあります。

まとめ

いかがでしたか?暑い日などは、母乳やミルクだけで水分不足にならないかと心配になりますよね。
しかし、母乳やミルクが栄養補給と水分補給を兼ねているので、しっかりと授乳していれば脱水症状を防ぐことができます。

「いつもと様子が違うな」と気づくことができるのは、一番そばにいるお母さんやお父さんです。
赤ちゃんの機嫌や表情などの様子をこまめに観察しながら、しっかりと体調管理をしてあげてくださいね。

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この記事を書いた人

Manami
広島県在住。0歳女の子の子育てに奮闘するママライターです。 自分が今まさに「知りたい!」と思っているテーマを、皆さんに分かりやすくお伝えします!

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