【保育士に聞く!】保育園の避難訓練って何するの?常備している防災グッズは?

災害はいつ起きるか予想ができないもの。いざという時、安全に避難するために日頃から意識して備えておく必要があります。

小さな子どもでも、自身で身を守る術(すべ)を学ぶため、保育園でもさまざまな工夫をしながら定期的に避難訓練を実施しています。

今回は、これから初めて避難訓練を行う保育士さんや、保育士を志していらっしゃる方、保育園での災害対策が気になっていらっしゃる保護者の方のために、実際の訓練をどのように行っているのか、保育士のちか先生にお話を伺いました!

ちか先生
中野みらいく保育園 副主任
ちか先生
県外の保育園で勤務した後長野に戻ってきました。みらいくに入職し4年目となります。子どもたちの「やってみたい!」という思いを大切に、なんでも一緒に取り組み、楽しみながら保育をしています!

避難訓練のねらいとは?

yamada
山田

こんにちは!保育園では毎月避難訓練を行っていると聞きますが、保育園で行っている避難訓練のねらいについて教えてください。

ちか先生
ちか先生

私たち保育士には、お預かりしている大切な子どもたちの命を守る責任があります。ですが、災害など予想外のことが起こると、大人でも冷静さを失いパニックに陥りやすいです。

そんな時でも、冷静に適切な判断・指示をし、子どもたちを安全に避難させられるように練習することが、避難訓練の大きなねらいです。

もちろん、大人のためだけでなく子どもたちにとっても、何度も訓練を繰り返すことで避難に慣れ、いざという時、落ち着いて行動できるようになってもらうというねらいがあります。

避難訓練で事前にする準備

yamada
山田

避難訓練を行うにあたって、保育園ではどのような準備をしていますか?

ちか先生
ちか先生

保育園ごとに、災害時の関係機関の一覧表や、安全対策の方法などが載った防災マニュアルがあるので、基本的にはマニュアルに則って準備をしていきます。

また、各クラスに非常用持ち出しリュックを用意し、すぐに持ち出せるようにします。中身の内容は、園児緊急連絡簿・救急箱・子ども用の着替え一式、0歳児のクラスには、おむつ・哺乳瓶・ミルク・月齢ごとのおもちゃなどです。毎月の訓練を行うにあたってもスケジュールを作り、全職員に周知しています。

(実際に避難用の窓の近くに、設置している非常時用持ち出しリュック・防災ずきん・避難用の靴)
yamada
山田

持ち出す非常用のグッズは、最終的にどれくらいの量になるのですか?

ちか先生
ちか先生

すぐに持って運べる身軽さも大切なので、各クラスにつき非常用持ち出しリュック1つに収まる量にしています。

yamada
山田

確かに、災害時にもたもたしてられないですよね。

ちか先生
ちか先生

はい。すぐに避難できて、両手が空いていることが大事です。

震災時や火災時の避難訓練の内容

yamada
山田

では、具体的に保育園ではどのような訓練を行っているのでしょうか?

ちか先生
ちか先生

児童福祉施設最低基準により、保育園では毎月1回は必ず避難訓練をしなければならないという決まりがあります。そのため、毎月地震もしくは火事を想定して、どちらかの訓練を行っています。

訓練の基本的内容は、災害発生から園外への避難です。

まず、どんな災害が起きても、必ず初めに子どもたちを保育者の元に集めます。その後は保育者間で声を掛け合って園外への避難に移ります。園内の電気を消し、地震の場合は避難経路を確保。瓦礫が飛散しないように全ての扉や窓を開けカーテンを閉めます。

火災の場合は、酸素が入り込まないよう、また、火が燃え広がらないように扉や窓は閉め、カーテンを開けます。火災の避難訓練時にも保育士間で声を掛け合って、作業を分担して行います。

ちか先生
ちか先生

避難準備ができたら、すぐに子どもたちと一緒に園外に出ます。月によっては、園で決めている避難所まで移動したり、消防署と連携を図り消火訓練や通報訓練を行ったりしています。

子どもに避難の大切さを伝える時のコツ 

yamada
山田

子どもに避難の大切さを伝えたり慣れたりしてもらうために、心がけていることはありますか?

ちか先生
ちか先生

小さな子どもたちにも災害の怖さや「いつもと違うな」ということを感じてもらえるよう、簡単な言葉で、避難することやその理由をしっかりと伝えます。

ただ、保育者の表情がこわばっていたり、焦っていたりすると、子どもも不安になって取り乱してしまう恐れがあるので、冷静かつ優しい表情で声を掛けることを意識しています。

例えば、地震が来た際に身体を丸める時は「“だんごむし”のポーズだよ」と伝えたり、不審者から身を隠す際は、「かくれんぼだから“シー”だよ」とお話ししたりするなど、子どもたちに不安感を与えすぎないようにしています。

避難訓練をする上で気をつけるべきポイント

yamada
山田

まだ小さい子どもたちの場合、避難訓練中に気を抜いてふざけたり、おしゃべりしてしまったりするなど、訓練に集中できていないこともあると思います。きちんと訓練を受けてもらうため、気をつけるべきことがあれば教えてください。

ちか先生
ちか先生

確かに、小学生くらいになってくれば地震や火災が起きた時の怖さが想像できると思うのですが、保育園児くらいの年齢だとそのイメージがなかなかできないケースの方が多いと思います。

子どもたちを誘導する側として、避難訓練の意義を真剣に伝えるなど、子どもたちが「避難しなきゃ」と本気で動いてくれるための声掛けを工夫するよう気をつけています。毎月の訓練の中で、うまくいった事例・うまくいかなかった事例をこまめに記録して、普段から知見を蓄積し、いざという時に備えています。

yamada
山田

避難訓練は何度も行って、改善を重ねていくことが大切なのですね。

ちか先生
ちか先生

そうですね。しかし、自分の時もそうだったのですが、小学生になると「また訓練か。訓練なら手を抜いてもいいか」と気がゆるんでしまいがちなので、難しい部分もあるかもしれません。難しいですが、子どもたち自身に「訓練は大事」と感じてもらえるようなコミュニケーションができるとよいですね。

yamada
山田

これから保育士を目指す人に向けて、避難訓練におけるアドバイスはありますか?

ちか先生
ちか先生

私たちが普段から大切にしていることは、子どもたちを安心させることはもちろんですが、やはり職員間の連携です。

その日によって登園児や職員の人数や子どもの様子が違うので、臨機応変に細かなことでも情報共有をし合うようにしています。「この窓は私が閉めるね!」「私は0歳児クラスを見てくるね!」など、日常でも保育をする上で職員間の声掛けは大切ですが、一刻を争う災害の場では、特に重要視されます。

例えば、園内の子どもたちや職員が安全かつ確実に避難できているかがわかるように、避難前・避難中・避難後と、職員間で声掛けし合いながら、何度も人数確認をしています。

yamada
山田

臨機応変な対応や、細かなコミュニケーションが大事なのですね。

まとめ

災害時に子どもたちをスムーズに避難させるためには、普段から訓練の大切さを伝え、訓練を繰り返し行い、いざという時に備えておくことが大事です。

保育士は子どもたちを落ち着かせ、時に場の空気を引き締めながら、職員間の連携を密にして避難訓練を積み重ねましょう。

非常時用持ち出しリュックには、防災マニュアルを参考にして、身軽に動ける程度の量を入れましょう。荷物が重すぎたり、両手がふさがってしまったりすると、避難時に怪我をする恐れがあります。

保育士だけでなく保護者の方々も、日頃から災害時の避難訓練を心がけ、臨機応変な対応力を身につけていきましょう!

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この記事を書いた人

yamada
山田怜奈
長野県立大学グローバルマネジメント学科2年の学生ライターです。こどもについてもっと知っていきたいです!

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