保育みらいフォーラム実行委員会 分科会レポート

レポート作成者:中山こころ(広報チーム)

対象会議:Partnership & Operations Team / Design & Experience Team

開催日:2026年1月30日

今日という日の意味

神社での祈願を終えた16時過ぎから、私たちは審査のあり方について熱い意見交換を続けていました。18時からの正式な分科会でも、その熱量は冷めることなく、むしろ一つひとつの言葉に重みが増していったように感じます。

この日、私たちが向き合ったのは「競技化」という言葉の持つ意味でした。

Partnership & Operations Team で見えてきたもの

参加者:関さん、伊藤さん、前阪さん

「保育クリエイティブバトルを競技として位置づける」——この一文が持つ可能性と怖さについて、私たちは率直に語り合いました。

競技化すれば、保育の技能は確かに見えやすくなります。順位がつくことで「この人すごい」と思える瞬間が生まれます。でも同時に、評価されることへの怖さや、「1位じゃなければ意味がない」という空気が生まれてしまうかもしれません。

関さんが他の技能競技大会の事例を調べることになり、伊藤さんが論点を整理し、前阪さんが学生や教育機関の声を聞く——それぞれの役割が決まりました。

でも、私たちの中には共通の不安がありました。

「競技という言葉を使っていいのだろうか」

Design & Experience Team で溢れ出た本音

参加者:水野さん、冨岡さん、佐塚さん、當麻さん、中山

こちらのチームでは、もっと具体的な設計の話から始まりました。技能5輪の評価手法を参考に、測定できる部分と判断が必要な部分を分けて考える。1日目は専門技能の審査、2日目は子どもとの関わりを見る実技審査。全国から15人が集まり、上位4人が決勝へ。

でも、話せば話すほど、疑問が膨らんでいきました。

「保育って、個人の技能だけで評価できるものなのかな」

「正解のない保育に、順位をつけることって意味があるのかな」

特に、子どもの参加方法については、全員が強い違和感を抱いていました。

ステージの上で、大勢の視線を浴びながら保育をする——それは子どもにとってどんな体験になるのでしょうか。審査のために子どもを「使う」ことになってしまわないでしょうか。

冨岡さんの提案で、県大のプレイルームで実演し、映像を中継する方式が浮上しました。子どもたちがいつもに近い環境で過ごせるように。カメラに慣れている子を選び、保護者にもきちんと説明して同意を得る。

でも、それでも根本的な問いは残ります。

「私たちは、何のために子どもたちに協力してもらうのだろう」

「大学生だけでいいのか」という問い

もう一つ、大きな疑問が出ました。

「まだ保育士として働いていない学生が、本当にロールモデルになれるのだろうか」

高校生に「こんな保育者になりたい」と思ってもらうためのイベントなのに、現場経験のない学生の保育を見せることに意味があるのか。むしろ、保育士3年目くらいまでの若手も含めた方が、リアルな刺激になるんじゃないか。

この問いには、誰も即答できませんでした。

本当に技能審査でいいのか

さらに深い問いも出ました。

「ピアノや絵本の読み聞かせや壁面制作を細かく評価することが、保育の本質を表すんだろうか」

ある人が言いました。「保育に正解はないって言いながら、順位をつけるのは矛盾してない?」

別の人が応じました。「もしかしたら、技能審査じゃなくて、『私流の保育』を語る場の方がいいんじゃないか」

でも、そうすると高校生審査員には評価が難しくなる。じゃあ、技能審査と発表会を分ける? 順位をつける部分とつけない部分を作る?

議論は広がるばかりで、簡単には答えが見つかりませんでした。

「学生主体」って本当はどういうこと?

会議の終盤、誰かがこう言いました。

「私たち、大人たちの意見とAIの提案を追いかけているだけになってない?」

その言葉が、会議室の空気を変えました。

「学生主体」と言われているけれど、私たちはどこまで自分たちで決めていいんだろう。どこからが「大人の事情」で、どこまでが私たちの理想なんだろう。

そもそも、このフォーラムの一番の目標は何だったんだろう——ロールモデルを創ること? 保育士を増やすこと? 業界の認知を上げること?

Screenshot

ゲストの起用について考えたこと

芸能界からゲストをお招きする話も出ました。子どもたちに人気のある方、お笑い芸人の方、保育に関心を持ってくださっている方——何人かの名前が挙がりました。

でも、ここでも私たちは立ち止まりました。

「有名な人を呼べば盛り上がるけれど、それは誰のためなんだろう」

高校生が「あの人に会いたい」と思って来てくれるのは嬉しい。でも、ゲストが主役になってしまったら、保育の技能や学生の挑戦が脇役になってしまわないだろうか。

バランスの取り方を、私たちはまだ見つけられていません。

私たちが決めたこと、決められなかったこと

決まったこと:

子どもはステージに上げず、プレイルームで実演する

映像中継で観客・審査員が見る

ゲストの役割や起用方法を引き続き検討する

決められなかったこと:

競技形式で順位をつけることが本当に正しいのか

大学生だけでいいのか、若手保育士も含めるべきか

技能審査なのか、発表会なのか

「学生主体」の本当の意味は何なのか

私が感じたこと

会議が終わった後、私は一人で考えていました。

私たちは今、すごく大事な岐路に立っているんだと思います。

「競技化」という言葉を選べば、分かりやすくなります。順位がつけば、話題にもなります。でも、保育の本質から離れてしまうかもしれません。

「発表会」という言葉を選べば、優しい空気になります。でも、インパクトが弱くなり、社会に届かないかもしれません。

どちらが正解かは、まだ誰にも分かりません。

でも、一つだけ確かなことがあります。

私たちは、答えを探すことを諦めていない。

関さんは他の大会を調べてくれる。伊藤さんは論点を整理してくれる。前阪さんは現場の声を聞いてくれる。水野さんも、冨岡さんも、佐塚さんも、當麻さんも、それぞれの視点で考え続けてくれる。

そして私も、この疑問を抱えたまま、次の会議に臨みます。

次に私たちがすべきこと

大人たちに、率直に疑問をぶつける

現場の保育士さんや園長先生に話を聞く

参加してくれる可能性のある学生や若手保育士の声を聞く

高校生にとって、本当に魅力的な企画なのか確認する

そして何より——

私たち自身が、このフォーラムで何を実現したいのか、もう一度言葉にする。

参加学生インタビュー

中山

今日の分科会で多くのことを話し合ったと思いますが、その中で感じたことや考えたことなどあれば教えてください。

キックオフイベントの後、それぞれが考えていることを共有する機会がなかったのですが、今回話し合う中で、保育の技術をバトルとして評価するのは本当にいいことなのかなどといった、個々の考えを聞くことができて良かったです。また、学生が前向きに参加できる大会にしたいという思いの共有もできていい会になったと思います。

當麻

0から1を作っている状態で難しいところもあるけど、メンバーが自分の思いをしっかりと持っていてそれを伝えることができているから、いい場だなと思いました。私は、何かを始めたいけどどうすればいいかわからないという友人たちにこのプロジェクトを紹介したのですが、今回話し合っている姿を見て、その友人たちの仲間を作れた感じがしたのですごくうれしいです。

佐塚

今回、初めて全員が集まって今後の方向性を確認することができたので、それが良かったと思います。また、今回の分科会では今までよりも具体的な話をたくさんして、言語化することで自分の考えもまとまったし、周りのみんながどう考えているのかも聞けたので良かったです。

最後に

神社で祈ったこと、覚えていますか?

私たちは、きっと「うまくいきますように」とお願いしたんだと思います。

でも今、「うまくいく」ってどういうことなのか、自分でもよく分からなくなっています。

順位がつくこと? たくさんの人が見に来ること? 保育士が増えること?

それとも——

子どもたちが笑顔でいられること。参加した学生が誇りを持てること。高校生が「保育っていいな」と思えること。

答えは、まだ見つかっていません。

でも、この問いを持ち続けることこそが、私たちの誠実さなんだと信じています。

——中山こころ

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