2歳児の「噛みつき(かみつき)」どうしたらいいの? 噛みつきの理由と対応のポイントについて保育士が答えます!

「2歳の子どもが噛みつくのはなぜ?」
「どうしたら噛まなくなるの?」

そんな疑問にお答えします。

大人や友達と言葉でコミュニケーションが取れるようになってくる2歳頃の子ども。少しずつ子どもが話せる言葉が増えていくのは、嬉しいですよね。

ところが…その子が、ちょっと気に入らないことがあると突然噛みついてくる。そんな悩みを持つお父さん・お母さんもいるではないでしょうか。

この記事ではそんな悩みに答えるべく、子どもが噛みつく理由や、噛みつきが起きた時の対応の仕方について、保育士のあやみ先生にインタビューを行いました。

この記事を読むと次の5つが分かります。

  • 2歳頃の子どもの噛みつきの理由
  • 噛みつきをした時の対応の仕方
  • 噛みつきが落ち着いてくる時期
  • 保育園で行っている噛みつきの防止策と起きた時の対応について
  • 噛みつきが落ち着くように日頃から親ができること

ぜひ、参考にしてみてください。

保育士
あやみ先生


3児の母です。
子育て経験を活かしながら、子どもたちと一緒に全力で楽しむことを目標に保育をしています。

2歳児の噛みつきは気持ちの表現手段のひとつ

山本

2歳児によく見られる噛みつきですが、悩まれている親御さんからは、「もしかして愛情不足・・・?」という心配の声も聞かれます。
子どもが噛みついてしまうのはどうしてでしょうか?

あやみ先生

自分のお子さんが周りの人を噛んでしまうと、お父さん・お母さんとしては本当に心が傷まれると思います。お辛いですよね。
噛みつきの理由は決して、家庭での愛情不足による精神不安定ではないのですよ。安心してくださいね。

2歳の頃は、少しずつ話せる言葉が増え、会話ができるようになってきます。そのため、一見すると自分の思いや気持ちを言葉で伝えられそうに見えますよね。

ですが、2歳の頃というのはやっと自分自身の感情に気づき始め、「自我」に目覚めてきたばかりの子がほとんどです。

まだまだ自分の気持ちを具体的な言葉にして相手に伝えることは難しく、会話のキャッチボールが上手にできない時もあります。

「イヤだ!」というネガティブな感情が理由で噛むこともありますが、友達に関心があって構ってほしい時や、関わりたいけどどうしたらよいかまだわからない時に噛んでしまう場合もあります。

つまり噛むという行動は、自分の思いがうまく言葉にできない、相手に伝わらない、というもどかしい気持ちの表現のひとつなのです。

大切なのは、嚙みついた時の子どもの気持ちを汲み取り、寄り添うこと

山本

子どもが噛んでしまう時というのは、衝動的ですよね。親が噛みつくことを止めようと思っても、なかなか予測できないこともあると思います。
噛みつきが起きた時は、どのような対応をしたらよいのでしょうか?

あやみ先生

一番大切なことは、「子どもの気持ちを汲み取り、代弁しながら子どもに寄り添うこと」です。

2歳のお子さんは、まだ自分の気持ちをうまく理解できていないのです。噛んでしまったことだけを取り上げて叱ること、感情的に怒ることは、子どもにとって何の学びにもなりません。

・どうしたの?嫌な気持ちになっちゃったんだね。

・気持ちが伝わらなくて悲しかったね。

と、まずは子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。子どもが「気持ちを理解してもらった」と実感することで、親御さんの次の言葉がすんなりと子どもの心に届くはずです。

・(噛んだところを見せて)噛むとこんな風になってしまうよ。

・噛んだら噛まれた人が痛いから、噛まないでね。

と、もう噛まないようにと柔らかく伝えましょう。

山本

まずは子どもの気持ちを受け止めることが大切なのですね。
子どもへの伝え方のポイントはありますか?

あやみ先生

私が大切にしていることは、ただ「噛んではいけない」だけではなく、「どうして噛んではいけないのか」という理由も合わせて伝えることです。
そして子どもにしっかりと伝わるよう、子どもと目線を合わせて話すようにしています。

子どもにすぐに理解してもらうのは難しいと思いますが、「自分もされたら痛いよね?」と問いかけるなど、相手の気持ちも少しずつでも想像できるようになってもらいたいと思っています。

「まずは『子どもの気持ち』を受け止め、寄り添ってあげることが大切です。(あやみ先生)」

噛みつきは一体いつまで続く?繰り返し丁寧に伝えることの大切さ

山本

噛みつきはいつ頃に落ち着くものなのでしょうか?

あやみ先生

噛みつきは、実は小さな頃にはよくあることなのです。
すぐにはなくならず、時間がかかることもありますが、成長するにつれ、少しずつ減っていきます。

お子さんが噛む行動をした時は、その度に必ず子どもの気持ちを代弁して寄り添い、もう噛んではいけないということをその理由とともに、子どもに繰り返し丁寧に伝えましょう。

大変かもしれませんが、諦めずにしっかりと子どもに関わっていくことで、必ずお父さん・お母さんの気持ちを理解してくれる日が来るはずです。

保育園での子どもの噛みつき、保育士さんはどう対応しているの?

山本

子どもの噛みつきについて、保育士の先生方はどのように対応をされているのでしょうか?

あやみ先生

噛みつきをする子どもは、いつどんな時に衝動的に噛むかわかりません。
最初にも言いましたが、「イヤだ!」というネガティブな感情を持つ時だけではなく、構ってほしい時やテンションが上がった時にも、自分の気持ちの表現方法がわからず、好きな友達やそばにいる保育士を噛んでしまうことがあります。

まずは未然に防ぐため、十分に配慮をする

あやみ先生

まずは「未然に防ぐために十分に配慮をする」ことが最も大切です。
噛みつきが見られる子どもには、必ず保育士がそばについて目を配ります。
怪我をする出来事が起きないよう、その子の行動パターンを予測して保育をしています。

山本

なるほど、普段からとても注意を向けてくださっているのですね。
ですが、どれだけ気をつけていても、突発的な噛みつきは防げないことがありますよね…。

あやみ先生

はい。十分に配慮していても防ぎきれなかった場合、当園では次のように対応しています。

噛みつきが起きた場合【子どもへの対応】

あやみ先生

まずは噛まれてしまった子どもにしっかりと寄り添い、「痛かったね」「びっくりしたよね」と、先に噛まれた子どもの気持ちを受け止めます。
そして、手当をしながら「○○ちゃん(噛みつきをした子ども)は、こんな気持ちだったのかもしれないね」と相手の気持ちも伝えます。

次に、噛みつきをした子どもの気持ちを受け止めて、「こういう風に伝えられたらよかったのかもしれないね」と気持ちの伝え方を教えます。
もし、まだ気持ちの切り替えが難しく「ごめんね」が言えない場合は、噛まれてしまった子どもの頭を撫でたり、痛かったところを一緒にさすってあげたりして、和解できるよう導いていきます。

山本

噛んだ子、噛まれた子、それぞれの気持ちを察して相手に伝えてあげるのですね。

あやみ先生

そうです。
「相手はこういう気持ちだったのか」と知ることで、自分の気持ちの伝え方を学んでいきます。お互いに相手がどういう気持ちだったのかを知ってもらうことが大切です。

噛みつきが起きた場合【保護者への対応と再発防止】

あやみ先生

怪我を未然に防ぐことができなかったことは、保育士や園の責任でもあるわけですから、噛まれてしまった子どもの保護者には、どういった状況だったかを詳しく説明し、深くお詫びをします。そして今後はさらに気をつけることをお約束します。
そのため、噛まれた状況はしっかりと見て把握するようにしています。そして、以後同じことが起きないよう、職員間で対策を話し合い、皆で再発防止に努めます。

気持ちを言葉で伝えられるよう、「ごっこ遊び」を取り入れよう

山本

噛みつきが落ち着くように、普段から親ができることはあるのでしょうか?

あやみ先生

はい。子どもの話をしっかり聞く、こちらからもたくさん話しかけるなど、家では「ごっこ遊び」のような、言葉のやりとりを楽しめる遊びを取り入れるとよいですね。

保育園でも想定されるコミュニケーションのパターンを、おうちでも実践してみましょう。

・「貸して」「いいよ」「だめよ」

・「今使っているから、終わったらね」

また、子どもがおもちゃを「貸して」と言っても貸してもらえなかった時に、自分の気持ちをどのように言葉にしたらよいかも伝えていきます。気持ちを切り替えられるような言葉がけもよいですね。

・「あのおもちゃで遊べなくて、残念だったね」

・「もう少ししたら、もう一度言ってみようか」

・「違うおもちゃで遊んで待っていようか。(似ているおもちゃなどで)これはどうかな?」

「遊びの中で『言葉のやり取り』を楽しく取り入れると良いですね。(あやみ先生)」

成功体験が子どもの自信に繋がる!

あやみ先生

噛みつくのではなく、言葉のやりとりをすることで相手と分かり合え、マナーを守ることで気持ちよく楽しめることを、子どもに繰り返し経験させましょう。

そういった経験の積み重ねで、「噛まなくても過ごせた」という成功体験が子どもの自信となり、少しずつ噛みついて気持ちを伝えようとする行動が減っていくことでしょう。

まとめ

今回は、2歳の子どもに見られる噛みつきへの対応の仕方や、子どもが噛みつく理由、保育園ではどう対応しているかについて、保育士のあやみ先生にお話を伺いました。

子どもの成長過程の中では、子どもが「噛みつく」という行動によって気持ちを伝えようとする時期もあります。
大人は、「噛みつく」という行動の表面だけを見て子どもを叱ってしまうことは避け、子どもの気持ちをしっかりと言葉で代弁し、寄り添ってあげることが大切です。

決して、相手を攻撃する行動ではないのだということを理解して、繰り返し丁寧に子どもに伝えていき、粘り強く子どもと関わっていきましょう。

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この記事を書いた人

山本
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