「1歳の夏、どうやって水遊びを楽しませてあげよう?」公園の噴水や児童館の水遊び広場もいいけれど、毎日通うのは大変。暑さや人混みを避けて、家で手軽に水遊びをさせてあげたい…と考えるパパママは多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、身近にある道具を使ったおうちでの水遊び。実は1歳児にとって、水遊びは涼しいレジャーというだけでなく、五感や運動機能の発達を支える大切な体験なのです。
今回は保育士さんに、「1歳児の水遊び」をテーマに安全のポイントやおうちでできるアイデアを聞きました。短い時間でも楽しめる水遊びのヒントをたっぷりご紹介します。

ちか先生
県外の保育園で勤務した後長野に戻ってきました。みらいくに入職し4年目となります。子どもたちの「やってみたい!」という思いを大切に、なんでも一緒に取り組み、楽しみながら保育をしています!
目次
1. 1歳児の水遊び、ここが大切

暑い季節になると“1歳の子に水遊びをさせたいけれど大丈夫かな?”と心配する保護者の方も多いです。子どもと家庭で遊ぶ時、大切なことはなんですか?

水遊びは子どもにとって楽しいだけでなく、発達を促してくれる貴重な機会です。例えば、水の流れを目で追ったり、“ジャー”“つめたい”などの言葉と結びつけたり…。水遊びは五感を刺激するので、運動能力の促進や言葉の理解などにつながります。
そんな学びの場面が多い水遊びですが、水の事故が起こりやすい危険な環境でもあります。そのため、一番大切なことは、なんといっても“安全な環境づくり”です。
1歳の子どもはまだ危険を自分で避ける力が十分ではありません。水の事故は2〜3cmの深さでも起きてしまうので、必ず大人がそばで見守ることが基本です。そのうえで、時間は短めに設定してあげましょう。水に触れて冷たい感覚を楽しむだけでも、十分に学びがありますよ。

安全な環境を整えることが何より大事なんですね。
2. 家でできる水遊びアイデア

実際に家庭でできる水遊びには、どんなものがありますか?

手軽に楽しめる方法があるのでご紹介しますね。特別な準備をしなくても、身近な道具で十分ですよ。
①洗面器・タライ
少量の水で手をパシャパシャ。コップやスポンジを使うと移し替え遊びに夢中になります。
✨ 発達ポイント:手先のコントロールや集中力の発達につながります。
②ペットボトルシャワー
ペットボトルに穴を開けて即席シャワーに。水が落ちる動きに興味を示しやすいです。
✨ 発達ポイント:水を目で追い、次にどう動くかを予測する力が育ちます。
③色水あそび
食紅で安全に色をつけ、透明カップに入れると色の変化を楽しめます。
✨ 発達ポイント:視覚刺激が豊かで、色の名前を伝えることで語彙力upにもつながります。
④氷あそび
食紅で色付き氷をつくり、お皿にのせて遊びます。「冷たい!」という感覚を体感でき、夏の暑さ対策にもなります。
⑤屋外ならジョウロや水鉄砲
ベランダや庭では水鉄砲やジョウロも活躍します。ただし足元がすべりやすいので、マットやタオルを敷いてしっかり安全対策をしましょう。
こうした遊びはどれも短時間でできるので、子どもが飽きる前に終わりにできますし、安全面の工夫をすれば家庭でも安心して楽しめますよ。
3. 安全面で気をつけたいこと

工夫次第で、おうちの中でも楽しく水遊びができるんですね。特に安全面で気をつけることはありますか?

いくつかポイントがあるのでお伝えしますね。
①水の量
洗面器程度で十分です。実際に、わずか2cmの水深でも子どもが溺れてしまったという事故が起こりました。小さな子どもは顔が水につくだけで身動きがとれなくなるため、たとえ少量でも油断しないようにしましょう。
②必ず大人がそばで見守ること
ちょっと目を離した数十秒の間に事故が起きてしまうケースがあるので、注意が必要です。
③直射日光や熱中症への注意
日陰を選び、遊ぶ時間は5〜10分程度の短時間で区切りましょう。
④冷えすぎ注意
終わったあとは体をしっかり拭いて着替えさせ、冷えすぎを防ぎましょう。
安全が確保されてこそ、遊びが学びにつながります。保育園でも、「必ず複数の職員が見守る」「水の量を少なくする」「時間を区切って遊ぶ」など、事前に危険がないかを安全チェックリストで確認することを徹底しています。ご家庭でも、「水の量を少なく」「必ず見守る」を合言葉にしてみてくださいね。
4. 室内でできる“なんちゃって水遊び”

もっと手軽に水に触れる感覚を楽しんでもらう方法はありますか?

はい、水をそこまで使わなくても“なんちゃって水遊び”として感覚遊びを取り入れることができますよ。
①氷入り袋やジェルボール
ひんやりした感触やぷにぷにしたボールの感覚に夢中になります。袋に入れて遊べば床も濡れず安心です。
②霧吹き遊び
霧状の水なら広がりにくく、バスタオルの上であれば濡れてもすぐに乾きます。霧が当たる感触も新鮮ですよ。
水を大量に使わない室内遊びでも、“ひんやり”“しっとり”といった感覚は十分に育てられます。雨の日や外に出られない時の選択肢としておすすめです。
5. 1歳児が水遊びで得られること

水遊びは楽しいだけでなく発達にもよいということですが、具体的にどんな成長につながるのでしょうか?

実は水遊びは、さまざまな領域の発達を促してくれるとてもバランスのよい遊びなんです。例えば、以下のようなものです。
①感覚:冷たい・流れる・光に反射するなど、五感を豊かに刺激します。
②運動:手で水をすくう、容器を持ち替えるなど、手指の発達や物をつかむ力につながります。
③言葉:『つめたい』、『ジャー』などの擬音語や色の名前を学ぶきっかけになります。
④社会性:大人や兄弟と一緒に「楽しいね」と共感する体験が、心の安心感や人との関わりを深めます。

このように水遊びは、感覚・運動・言葉・社会性などを総合的に育んでくれる“万能遊び”なんです。特別な道具や広いスペースがなくても工夫すれば家で水遊びを楽しむことはできますし、短い時間でも子どもにとっては大きな学びになります。
6. まとめ
今回保育士さんのお話からわかったことは、家での水遊びは工夫次第で安全にできるということです。
例えば、
①洗面器に水を張ってコップでジャーッと移し替える
②ペットボトルシャワーで水の流れを見て楽しむ
③色付き氷を触って「つめたい!」を体験する
どれも特別な道具は不要で、家にあるもので十分に楽しめる遊びです。こうした遊びを通して、子どもは五感を刺激され、手指の動かし方や言葉の使い方を学ぶこともできます。
ですが何より大切なのは、「必ず見守る・短時間・安全に」 という3つの基本です。わずか2cmの水でも事故は起こり得るため、この意識が欠かせません。
水遊びは、楽しいだけでなく子どもの発達を促す大切な機会でもあります。安全を守りながら、ぜひご家庭でできる水遊びを実践してみてくださいね。

子育てに役立つ情報を取材していきます。
