1歳の子どもと海水浴へ!保育士が教える安全チェックリストと注意ポイント

夏といえば、やっぱり海!青い空の下、家族で海水浴を楽しみたい——そう思う保護者の方は多いのではないでしょうか。一方で、「赤ちゃんや1~2歳の子どもを連れて行って大丈夫?」という不安もつきまといますよね。

実際、毎年のように全国で水難事故のニュースが報じられています。ほんの一瞬の油断が、大きな事故につながってしまうこともあるのです。
そこで今回は、保育士さんに「子どもと一緒に海水浴を楽しむ時に気をつけたいこと」についてお聞きしました!

子どもと一緒に安心して夏の海を楽しむためのポイントを、わかりやすくご紹介します。

ちか先生
中野みらいく保育園 保育サポーター
ちか先生
県外の保育園で勤務した後長野に戻ってきました。みらいくに入職し4年目となります。子どもたちの「やってみたい!」という思いを大切に、なんでも一緒に取り組み、楽しみながら保育をしています!

1. 子どもの海水浴、ここが危ない

小川

夏に海水浴を計画するご家庭も多いと思うのですが、赤ちゃんや小さな子どもを連れて行く時に気をつけたいことはなんですか?

ちか先生
ちか先生

海は楽しい場所ですが、その一方で、小さな子どもにとっては危険も多いですよね。大人に比べて体力も抵抗力も弱いため、急な体調変化や事故につながりやすい点をまず理解しておくことが大切です。

小川

具体的には、どんなリスクがあるのでしょうか?

ちか先生
ちか先生

代表的なものを挙げると——

①波や潮流による転倒・流され

水深が浅くても波の力は強く、子どもはすぐにバランスを崩してしまいます。

②熱中症や脱水

 水に入っていても汗をかいているので、気づかないうちに体調を崩すことがあります。

③クラゲや日焼けなどの外的トラブル

 夏場はクラゲの被害や、強い日差しによる皮膚トラブルも心配です。

こうしたリスクを知って、大人が意識的に守ってあげることがとても大事です。水深が浅くても波の力は予想以上に強いので、少し目を離すだけでも、転倒や波に流される危険があります。必ず大人が体ごと支えられる距離にいてください。

2. 安全に楽しむための基本ルール

小川

では、子どもと海水浴を楽しむために、どんな基本ルールを守ればよいでしょうか?

ちか先生
ちか先生

大切なのは、“ちょっとした油断をなくすこと”です。具体的には、次のポイントを必ず押さえましょう。

①ライフジャケットや浮き具を使う
 浮き輪だけでは体がひっくり返る危険があります。必ず年齢や体格に合ったライフジャケットを 着用してください。
②監視員のいる海水浴場を選ぶ
 万が一の時にすぐ助けてもらえる環境は安心です。混んでいても、監視員がいる場所を優先しましょう。
③子どもから目を離さない
 写真を撮るのに夢中になったり、スマホばかり見ていたりするのはとても危険です。“ほんの少しの油断”でも事故は起こります。
④波打ち際の浅瀬で遊ぶ
 子どもは好奇心で少し深いところに行きたがりますが、膝下くらいの浅瀬でも十分楽しめます。無理に泳がせる必要はありません。

小川

なるほど。保育現場でも徹底している工夫はありますか?

ちか先生
ちか先生

保育園でも水遊びやプールでは、子どもと一緒に遊ぶ保育者のほかに必ず監視担当の人員を配置しています。複数の大人が同時に見守ることで、子どもたちの安全を守っているんです。家庭でも“今日はお父さんが見守り担当、お母さんは荷物や日陰担当”というように役割分担すると、より安心できますよ。

小川

海は楽しい場所ですが、一歩間違えば危険な環境でもあります。ライフジャケットを着用する・目を離さない・役割分担——この3つを水遊びの合言葉にしたいですね。

3. 熱中症・体調管理のポイント

小川

海水浴で特に心配なのが熱中症です。子どもは大人よりも影響を受けやすいと聞きますが、どの点に注意すればよいでしょうか?

ちか先生
ちか先生

子どもは大人に比べて体温調節が未熟なので、海に入っていても熱中症になることがあります。実際に保育園でも、プール遊びの時は暑さの度合いを常に注意しています。意識すべきポイントは次のとおりです。

①こまめな水分補給
 海に入っていると涼しく感じるため、喉の渇きに気づきにくいです。10〜15分おきに少しずつでも水分をとらせてください。
②休憩は必ず日陰で
 直射日光の下にいるだけで体力が奪われます。パラソルやテントを用意し、必ず日陰で休むようにしましょう。
③ラッシュガードや帽子の着用
 日焼けは皮膚の炎症だけでなく、体温の上昇にもつながります。衣服でカバーすることが熱中症予防にもなります。
④遊ぶ時間を短く区切る
 長時間遊ばせるのは危険です。保育園でも、“10分遊んで10分休む”といったメリハリをつけています。家庭でもタイマーを使ってあらかじめ休憩の時間と遊ぶ時間を決めたり、「そろそろおやつだよ」と声をかけたりして工夫してみてください。

小川

子どもは楽しいと、なかなか自分から休みたがらないですもんね。

ちか先生
ちか先生

その通りです。だから親が休憩時間のきっかけを作ることが大切です。「おやつタイムにしよう」「写真を撮ろう」など、自然に休ませる声かけが効果的ですよ。

小川

海では、「水浴びしているから涼しい=安全」ではありません。こまめな水分補給・日陰で休む・遊びは短時間にする、この3つを守るだけで、事故のリスクはグッと減らせます!

4. 海でのヒヤリ体験談と対策

小川

海では思いもよらないトラブルが起きると聞きますが、実際にヒヤリとした体験をしたことはありますか?

ちか先生
ちか先生

いくつか代表的なケースと対応をご紹介しますね。

・波にのまれて転倒した
 波打ち際で遊んでいた子が、突然来た大きな波で倒れてしまったケースがあります。すぐに抱き上げたので大事には至りませんでしたが、子どもは大人より足腰が弱いので、一瞬でバランスを崩します。
👉 対策は“大人が常に手を添えておくこと”。体ごと支えられる距離で遊ぶのが鉄則です。そして、波や水の変化に対して注意を欠かさないようにしましょう。
・砂浜で迷子になった
 海は人が多く、背丈の低い子どもはすぐに見失ってしまいます。数秒の間に親の視界から消えることも珍しくありません。
👉 対策としては“目立つ帽子やラッシュガードを着せる”、“家族で待ち合わせ場所を決めておく”ことが有効です。
・日焼けでぐったりした
 楽しくて気づかないうちに長時間遊んでしまい、帰宅後に皮膚が真っ赤に。熱を持って眠れなくなる子もいます。
👉 対策は“こまめに日焼け止めを塗り直す”、“休憩ごとに日陰へ移動する”。服でカバーするのも有効です。

小川

本当にちょっとした油断でこういうことが起きてしまうんですね。

ちか先生
ちか先生

そうなんです。トラブルを想定して、先回りして防ぐことが大切です。特に海は自然が相手ですから、プール以上に予測できないことが起きると心に留めておきましょう。

小川

ヒヤリとした経験は、「次は気をつけよう!」という意識につなげることが大事です。安全対策を重ねることで、海の楽しさを安心して味わえるのですね。

5. 海ならではの楽しみ方を安全に

小川

海水浴というと“泳ぐ”イメージがありますが、小さな子どもでも安心して楽しめる方法はありますか?

ちか先生
ちか先生

もちろんありますよ。ただ、1歳〜未就学くらいの子にとっては、泳がせるよりも以下のように浅瀬や砂浜で楽しむほうが安全でおすすめです。

・貝殻ひろい
 砂浜には小さな貝殻や石がたくさん落ちています。小さな子どもは、それらを宝探しのように集めるだけでも十分楽しめます。また、色や形の違いを見つけたり、手で触れたりすることで感触遊びにもなります。
・波打ち際での砂遊び
 バケツやシャベルを使って砂を積んだり、水を流したり。波が来て形が変わる様子を観察できるのも、よい学びになります。
・足だけチャプチャプ
 波打ち際に座って足をつけるだけでも、冷たさや波のリズムを感じられます。泳がなくても、海を体感できますよ。

小川

なるほど、泳がなくても楽しめるんですね。

ちか先生
ちか先生

そうなんです。“海に来たから泳がなきゃ”と考えなくて大丈夫。年齢や体力に合った遊びを選ぶことが、安全にもつながります。大人も一緒に「きれいだね」「気持ちいいね」と共感することで、子どもにとってかけがえのない思い出になりますよ。

小川

海は泳ぐ場所というだけではなく、自然と触れ合う場所でもあります。小さな子には砂浜や浅瀬での体験を中心にすることが、一番安心で楽しいのですね。

6. まとめ

今回、保育士さんにお話を伺ってわかったことは、海は楽しい場所であると同時に、赤ちゃんや1歳〜未就学の小さな子どもにとっては多くの危険が潜んでいる環境ということです。
波や潮流に流されるリスク、熱中症や脱水、クラゲや強い日差しによるトラブル——どれもちょっとの油断で起きてしまう可能性があります。ですが、ライフジャケットを着ける・目を離さない・遊ぶ時間を短く区切るなど、保護者が安全意識を高く持てば、多くの事故は防ぐことができることもわかりました。
また、海での楽しみ方は泳ぐだけではありません。波打ち際で砂遊びをしたり、貝殻を集めたり、足だけチャプチャプしたり——それだけでも子どもは自然を全身で感じ、楽しめます。
「安全が確保されてこそ、遊びが学びにつながる」
最後に心に残ったのは、保育士さんのこの言葉です。この夏、子どもの笑顔を守るために——必ず見守り、短時間で、そして安全に。家族で安心して海を楽しむための合言葉として、心にしっかり留めておきましょう!

保護者向けチェックリスト(持ち物&注意点)

カテゴリチェック項目
持ち物ライフジャケット(子どものサイズに合ったもの)
持ち物ラッシュガード・帽子・日焼け止め
持ち物飲み物(こまめに水分補給できるように)
持ち物タオル・着替え(遊びの後に体を冷やさないため)
持ち物簡易テントやパラソル(日陰づくり用)
持ち物応急セット(絆創膏・虫刺され薬など)
持ち物ビーチマットやレジャーシート(砂や熱から体を守る)
持ち物水遊び用の靴(ケガ防止のため)
持ち物小さなバケツやおもちゃ(遊びながら安全に楽しめる)
注意点必ず大人がそばで見守る(スマホに夢中にならない)
注意点遊ぶのは膝下程度の浅瀬に限定
注意点時間を区切って必ず休憩(10〜15分ごと)
注意点迷子対策に目立つ服装や待ち合わせ場所を決めておく
注意点天候や体調が少しでも不安なら入水は控える
注意点食後食後は入水させない(消化不良防止のため)
注意点水温が低い場合は長時間入らない
小川愛海
子育てに役立つ情報を取材していきます。

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